宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

オリオン宇宙船、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡も、とりあえずOK

2014年01月17日 | 宇宙 space
アメリカの上下両院が2014年の包括的歳出法案に合意し、9月30日までの予算が成立する見通しになりました。

この法案でNASAの予算は176億ドルになります。
NASAが要求した予算は177億ドルなので、要求額に近い予算になったんですねー

ただ、NASAの予算を減額する圧力は強く、
一時は160億ドルと大幅に縮小される可能性もあったようです。

でも、この法案では2013年よりも1億2000万ドルも増額になってたりします。

176億ドルのうち41億ドルは“Exploration(探査)”にあてられたもので、
この分野には、NASAが2014年に試験打ち上げを予定している、Orion(オリオン)有人宇宙船の開発費11億9700万ドルと、
オリオン宇宙船の打ち上げロケットスペース・ランチ・システムの本体と、地上設備を合わせた開発費19億1800万ドルなどが含まれています。

また、惑星探査など“Science(科学)”分野の予算は52億ドルで、
この分野には、2018年に打ち上げを予定している、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の開発費6億5820万ドルなどが含まれているようです。

最近は民間によるロッケト打ち上げや、宇宙開発が目立つだけに、
NASAによる宇宙開発が計画通りに進みそうで、とりあえず一安心ですね。

上:2014年9月に打ち上げられる、オリオン宇宙船の試験機
下:ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の反射鏡セグメント

3回目の超音速飛行試験を無事完了 “スペースシップ2”

2014年01月16日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
ヴァージン・ギャラクティック社の“スペースシップ2”が、1月10日に3回目となる超音速飛行試験を実施しました。
最大速度マッハ1.4、到達高度は過去最高の約22キロを記録し、試験は無事完了しています。
“スペースシップ2”はこれまでに28回の滑空飛行と、2回のロケットモーターを噴射しての動力飛行を実施しています。

3回目となる動力飛行の目的は、機体に装備された姿勢制御システムの試験と、機体尾部に施された新しい耐熱コーティングの試験を行うこと。

飛行試験は1月10日に行われ、モハーヴェ空港から“ホワイトナイト2”に吊るされて離陸。
高度約14キロで分離後、“スペースシップ2”はロッケトモーターに点火、約20秒間燃焼し続け、機体はこれまでの試験でもっとも高い、高度約22キロにまで達しました。

そして、姿勢制御システムを使っての機体制御、耐熱コーティングも想定通り機体を高熱から守り、試験は成功に終ったんですねー
13分にわたる飛行の後、
“スペースシップ2”は無事に着陸しています。


“スペースシップ2”は、現在ザ・スペースシップ・カンパニーによって開発が行われ、ヴァージン・ギャラクティック社によって運用される予定の“サブオービタル宇宙船”です。

“サブオービタル宇宙船”とは、スペースシャトルやソユーズ宇宙船などとは異なり、地球を回る軌道には乗らないんですねー

でも、一般的に宇宙とされている高度100キロを飛行する宇宙船です。
宇宙にいられる時間は数秒なんですが、“青い地球”や“黒い空”を眺めることができ、自由落下時には無重力状態も味わえたりします。

現在、いくつかの会社によって“サブオービタル宇宙船”の開発が行われていて、
その中でも“スペースシップ2”は、もっとも実現に近い機体なんですねー

まだ宇宙空間に達したことがないのですが、
ヴァージン・ギャラクティック社では今年中の商業飛行を目指しています。
時期は明らかにされていないのですが、そう遠くはないうちに高度100キロを超える飛行試験が行われるはずですよ。


こちらの記事もどうぞ ⇒ “クラブツーリズム・スペースツアーズ”は宇宙専門の旅行会社

国際宇宙ステーションの運用が2024年まで延長へ

2014年01月15日 | 宇宙 space
アメリカ、ロシア、日本、カナダとヨーロッパ宇宙機関が、1988年に建造を始めた国際宇宙ステーションは、これまで2020年までの運用が予定されていました。

でも今回、オバマ政権が4年の延長分に必要な予算処置を認めたので、少なくとも2024年まで延長されることになったんですねー
延長には年間約30億ドルかかり、国際宇宙ステーションの耐用年数からすると、最大で2028年まで延長することも可能なようです。

ただ、国際宇宙ステーションに参加する他国の反応は、公式にはまだ明らかになっていないのが気になるところなんです。
今回の延長は、NASAが計画する小惑星や火星への有人飛行に向けた、長期の宇宙滞在の研究に役立つほか、
化学・医学的な成果のさらなる社会への還元、また民間企業による宇宙輸送のさらなる活発化などが期待されています。

あと、有人宇宙開発におけるアメリカの優位性の維持もあったりしますが…

ロシアは前から国際宇宙ステーションの運用延長に、どこよりも意欲を燃やしていたようで、
アメリカなど他の国が撤退した場合でも、ロシア側のモジュールを中心に分離・独立し、“OPSEK”と呼ばれる宇宙ステーションを構築する計画を提案していたんですねー
まぁー ロシア単独で宇宙ステーションを維持するのは大変なので、当然ロシアは今回の延長は歓迎だと思いますが…

ヨーロッパ宇宙機関は、すでにNASAの新型宇宙船“オリオン”のサービス・モジュール開発を担うことを決めていて、有人宇宙開発に関しては、おそらくNASAと歩調を合わせることになるようです。
ただ、2020年以降の国際宇宙ステーションに、どの程度関与するのかはまだ不明です。

あと、日本は有人宇宙開発に対して、あまり前向きではないようです。
国際宇宙ステーションに関しては、2016年以降は経費を節減することを明言していて、昨年JAXAが宇宙飛行士の新規採用を当面凍結すると報道されています。
今回の延長発表に対し、国としてどのような判断をするのか注目されます。

また、2020年以降は、中国が独自の宇宙ステーション“天宮”を完成させる予定なので、
実現すれば、2020年代は大型の有人宇宙ステーションが2機、軌道上に存在することになるんですねー

岩石惑星とミニ海王星をわけるものは?

2014年01月14日 | 宇宙 space
太陽系の近くにある恒星、この恒星を回っている地球サイズの惑星には、
岩石を主体としたものと、ガスを主体としたものの2つのタイプがあることが、研究により明らかになってきました。

こうした地球サイズの惑星を、少なくとも1つ有している可能性がある恒星は、全体の4分の3以上もあるようです。
今回の研究対象になったのは、地球よりやや大きい程度の系外惑星です。

1995年、太陽系の近傍にある恒星の周囲を回る系外惑星の存在が報告され始めた頃には、見つかった惑星の数も少なく、大きさも木星と同程度かそれ以上の大きさのものばかりでした。

でも、今ではNASAの系外惑星探査衛星“ケプラー”からの観測データを使って、地球クラスの大きさの系外惑星についても、その組成が明らかになりつつあります。
これまでに発見された1000個以上の系外惑星のうち、237個は“ケプラー”によって発見されています。


今回の研究成果は、地球外生命の発見が期待できる惑星の範囲を、地球にかなり近いサイズにまで近づけたものです。
でも、新たな“ケプラー”のデータで報告された系外惑星には、液体の水や生命が存在するのに適した環境である“ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)”内を周回しているものは1つもなかったんですねー

それでも、今後地球外生命を探す人々の調査対象となる惑星が数多く存在することが分かったのは、この研究のプラスの面だと言えます。
と言うのも、“ケプラー”によって検出された「惑星でないか」と考えられている、未確定の天体が3538個もあるからです。
このうち約4分の3が地球サイズのようで、さらに恒星の約5分の1については、“ハビタブルゾーン”を周回している地球の1~2倍の大きさの惑星があるようです。


また、地球サイズの惑星を2つのカテゴリーに分ける境界線も判明しつつあります。

地球の1~4倍の大きさを持ち、スーパーアース(巨大地球型惑星)と呼ばれる系外惑星60個を対象とした研究では、海王星や天王星よりも膨大な量のガスに覆われていることも分ってきています。

さらに42個の系外惑星を対象とした別の研究では、地球の2倍前後のところで、惑星は2つのタイプに分かれることも分かってきました。

地球の2倍以下の大きさの惑星は、岩石が主体か、
あるいは、最外部の層を水素とヘリウムからなるガスの雲が覆っていて、ミニ海王星のようになっています。
一方、2倍以上の惑星の場合は、密度から言ってすべてガス主体の天体とみられています。
では、岩石主体のスーパーアースとミニ海王星をわけるものは何でしょうか?

基本的に、岩石からなる惑星は地球の2倍程度のサイズ以上にはなり得ないそうです。
それは、このサイズに達すると、さらに岩石が衝突しても圧縮度が高まり、惑星の密度が増すものの大きさが変わらないからです。

対照的に、ガス主体の惑星は希薄なガスによって風船のように膨らむので、ガスが増えるとどんどん大きくなるということです。
これら惑星の多くは、地球より気温が高いだけでなく、岩石の核を大量のガスが覆っているので、大気圧も極めて高くなっていると考えられます。

さらに、この種の惑星は、それらが主星誕生直後のガス円盤が、まだ主星を取り巻いている時期に形成された可能性が高いんですねー
一方、地球はもっと遅く、ガス円盤が消失した後に形成されたと考えられています。

ただ不思議なのは、私たちの太陽系に、このようなミニ海王星が存在しないこと…
まぁー 太陽系が恒星系として特異な例なのかもしれませんね。

シグナス補給船、正式運用開始へ

2014年01月13日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
オービタル・サイエンシズ社が、シグナス補給船運用1号機(Orb-1)を搭載したアンタレスロケットを、9日に打ち上げました。
シグナス補給船の打ち上げは2機目になるんですが、今回はNASAとの契約による商業輸送サービスの1回目になり、重要な役目を背負っていたんですねー

シグナスOrb-1を搭載したアンタレスは、バージニア州にあるワロップス飛行施設から離昇、順調に飛行し約10分後にシグナスOrb-1を予定の軌道に投入しています。
シグナスOrb-1は、太陽電池パネルの展開にも成功し、
12日には、国際宇宙ステーションから10メートルのところで、カナダロボットアームに保持され、
ハーモニーノードの天底側に結合されました。

アンタレスの打ち上げは、国際宇宙ステーションの熱制御用外部排熱システムの異常により、1月8日に延期されていたのですが、太陽活動の活発化で宇宙放射線量が増加…  ロケット搭載機器への影響が懸念されたので9日に再延期されてたんですねー

シグナスOrb-1には、国際宇宙ステーションへの補給物資として、合計1465キロの宇宙食や新鮮な果物、そして実験装置や修理部品、超小型衛星が搭載されています。

前回の輸送が試験ミッションだったので、今回がNASAとの商業契約に 基づく初のミッションになり、今後は、ロシアのプログレスやヨーロッパ宇宙機関のATV、日本のHTV、そしてスペースX社のドラゴンとともに、国際宇宙ステーションを補給面で支えていくことになります。

シグナス補給船によるミッションは、今回を含めて全8回が計画されているのですが、国際宇宙ステーションの運用延長によりミッションも増えるようです。


また、アンタレスの打ち上げは3機目になるのですが、今回は打ち上げ能力を強化したアンタレス120と呼ばれる機体が使われています。

これまでの2機とは異なり、第2段の固体ロケットモーターがキャスター30Aから、より強力なキャスター30Bへと換装されているんですねー

さらに、シグナス4号機(Orb-4)からは、搭載能力を2000キロから2700キロまで向上させた、増強型のシグナスが使われる予定です。

それに合わせてアンタレスも、第2段にさらに強力なキャスター30XLを搭載し、打ち上げ能力をさらに向上させた、アンタレス130をデビューさせるそうですよ。