akikoの「活動」徒然記

活動弁士佐々木亜希子の身の周りの出来事やふと感じたこと

『ガイサンシーとその姉妹たち』

2007-08-17 | 映画・芸術・エンターテインメント
戦時中、占領下の中国でなにがあったのか。女性たちがどんな目にあってその後をどう生きてきたのか。今まで語られなかった記憶を、高齢化した女性たちが語り出す。
映画『ガイサンシーとその姉妹たち』上映会。招待いただいたが、やはりマスコミ関係者は少ない。特別対談は小森陽一さんと班忠義監督。

班忠義監督は、日本に留学し、東京大学大学院研究生を経て、中国残留婦人問題に取組んできた。20年にわたって、日中を行き来し、掛け橋となってきた彼だから撮れた作品でもある。彼の家庭では、母親が戦争でひどいめにあわされたからと日本嫌い丸出しで、父親は、民間の日本人はいい人もたくさんいると言い、よくそれが喧嘩の元になっていたという。

作品中、赤裸々に吐露されるのは、非常に辛く痛々しい記憶である。「慰安婦」というけれど、同意どころではない、20歳にもならない少女たちへの日本軍兵士による強姦、暴行は、あまりに痛ましい。心身ともに傷付き、女たちはその後も不自由な体で、苦難の人生を生き続けた。

傀儡の日本軍に娘たちの居所を教えたり強制連行するのを、中国人兵も手伝っていた。

当時、その地に従軍していた元日本兵は「古参兵から順番が廻ってくるんです。次はお前だ、行け!と言われて。汚いなとしかその時は思わなかった。そういうものだという風潮で悪いという意識もなかった。…でも、自分が結婚をして、娘ができ、孫ができ…今思い返すと、なぜあんなことをしたんだろうと」

戦争が人を鬼に変える。人間が生きるための基本的な人権がまるで無視され、人間を人間とも思わなくなる。数年前の中国映画『鬼が来た!』を観た時の衝撃も蘇ってきた。人間を信じられなくなる戦争の恐怖。

みんなが狂っていた時代。だが、今を生きる我々は、「日本人がしたことだから」とやたらと卑下したり「俺達がやったわけじゃない」と開き直ったりするのでなく、こうした事実があったという認識のもとに、二度と戦争という過ちをくり返さないようにしなくてはならない。
中国も日本も、お互いに「平和を願う気持ち」は同じ。ともに歴史に向き合い、過去を教訓にともに平和を築いていく、そんな時代にしなくては。事実に目をつぶったり、一方の見方や主張だけでは理解はしあえない。

『ガイサンシーとその姉妹たち』は、ポレポレ東中野で10月27日からロードショーです。

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2 コメント

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Unknown (TH)
2007-08-20 12:35:24
とても興味深い映画ですね。
紹介してくださって、ありがとうございます。
きっと観にいきます。


ポレポレ東中野は、良作を上映したり、最近では“ ダ ム ”映画特集といったような面白い企画を立てるので目が離せない劇場ですね。

いつか、“ 鉄 塔 ”映画特集とか、“ ド リ ル ”映画特集なども、やっていただきたいもn(以下自粛 

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大勢来場 (akiko)
2007-08-21 18:53:22
上映会&特別対談にはたくさんの方がいらしていました。対談を挟んで前半の上映会のほうが圧倒的に多かったので、ある程度年齢層がわかると思います。

ポレポレ東中野でのロードショーには幅広い層が来てくれるといいと思います。ぜひご覧下さい。
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