昨日(いや24時を過ぎたので一昨日)の日曜日、以前から頼まれていたイベントに参加した。
少しばかりカッコつけるなら「セミナーの講師」をさせて戴いた。高専賃で月に1回、一般市民の方を対象にした老後の生活についてのセミナーである。介護保険のことはもちろん、老後の生活費のこと、相続税のこと、お年寄りに優しい住宅改修・リフォームなど既に十数回行われたようです。
「綿桂さんも一つ講師をお願いします」と最初に依頼されたのが5~6か月ほど前でした。「今からが、ふとん屋にとって最も忙しい時期です。勘弁してください。」そう言って逃げてきました。一か月ほど前に「そろそろ手が空きますか?以前からお願いしていた講師よろしく」と電話がありました。何とか断ろうと理由を探しましたが「忙しい」だけでは断りきれず、年貢を納めることになりました。
まずは車いすの体験です。
参加して戴いた方は3名に説明するスタッフ3名、そして爺(講師?)
参加生徒さん(60代ご婦人・70代80代の老紳士2名)に代わる代わる①自力走行と、②人を乗せた車いすとで、スロープを登ってもらいました。勾配は約4度・8度・10度の3種類の勾配です。
①の自力走行。・・・4度の勾配は皆さん介助者無しで自力で登ることもできました。でも8度になるともう自力では皆さん登れないといったところでした。がっちり体格の40代後半の男性が腕力に物いわせて何とか登ったという感じでした。
②の介助走行。・・・8度の勾配になると、ご婦人はたぶん乗る方が体重40kg以下でないと無理だと思われました。老男性陣はかろうじて8度は登れると言ったところでした。10度になると腕力のある40代後半の男性で、何とか登ることができましたが、一般人では8度が限度といった感じでした。
その後、最高齢の生徒さんから「今日は眠りの話を聞けるというから来たんだが、その話は無いのか?」と言われました。正直、お話しする時間は「1時間」という事でしたから、車いすの体験だけで時間は無くなるだろうと思ってました。ほぼ、50分程経過しましたから、これで終わりだろうと思った矢先の言葉でした。「待ってました」という嬉しさと、「もう時間がない」という緊張とが入り乱れ、どこから話をしたら良いんだろうと戸惑いもありました。
3名という少人数です。爺が「眠る」とはどういう事かという話を始めましたが、すぐさま質問が入りました。その後は一人一人の質問に答える形式でのセミナーになりました。中途覚醒や早朝覚醒の質問から、散歩は何時するのが良いのかという質問もありました。中には「どういう気持ちでふとんの中に入るのが良いのか」と聞かれました。「気持ち」とは哲学的に宗教的にどんな感謝の気持ちを持って床に入るべきかというものでした。仏教談議に話が移りそうになりましたが、時間も無いことで話を少しはぐらかしました。あっという間に50分が過ぎ、当初10時から11時の予定が、気が付けば12時15分前。ハチャメチャなセミナーでした。
高齢になると多くの方が、どうしてもいろんな睡眠トラブルを持つものです。「8時間は寝ないといかんと思って、お医者様に4~5時間しか寝れんと言ったら、それだけ寝とれば大丈夫と言われた。その理由が今日あんた(ふとん屋の爺)の話を聞いてよう分かった。来て良かった。」そんなことを言って戴けるとは本当に嬉しいの一言に尽きます。とはいえ、初めてのセミナーは「由良のとを渡る舟人舵を絶え行方も知らぬ恋の道かな」ではないが、方向の定まらぬまま終わりました。
生徒さんだけでなく、最後はスタッフまでもが、真剣に話を聞いて下さいました。
当施設のマネージャー様からは、「良かったよ!綿桂さんの話、これからシリーズにしよう」と言われました。 内心嬉しくもあり・・・・・・。