販売した商品を最後まで責任を持つことは当たり前ですが、お客様の希望を100%叶えることは難しいですね。今回は、数年前に購入いただいたダブルサイズの真綿ふとんの話です。
80x100㎝のひざ掛け
購入いただいたのは190x210㎝・真綿量0.8㎏(だったと思う)の肌掛けの真綿ふとんです。一般のふとん用サテン生地(40番手の糸)より、格段に薄くて軽量な生地(80サテン)を使って、弊店で別誂えした真綿ふとん(生地も入れても製品としては約1.7kg)です。
多くのお客様が思い描かれるように、こちらの奥様も、もめん綿ふとんを仕立て直すように、真綿ふとんの仕立て替えを希望されました。奥様は、以前から力が無く(出ず)、軽くて暖かいふとんを希望され先ほどの真綿ふとんを3年ほど前に別誂えされました。ところが、最近はこの1.7㎏さえも重いと仰られます。そのまま使わずにおくのももったいないと、何かいい利用法は無いかとご相談方々ご来店下さいました。
「売って終わり」ではありません。お客様の要望を少しでも聞くことのできる「ふとん屋」・・・それが先代からの方針です。「できません」というのは簡単である意味「楽」です。
さて、その真綿ふとん・・・掛けふとんとしては重いと言われます。打ち直し(?)してさらに薄く軽いふとんを作って欲しいと言われます。残念ながら真綿(シルク)は「打ち直し」は出来ません。幅を詰めてシングルにしませんかと提案しましたが、シングルは要らないと言われました。そこで「敷きパッド」にできないかという話になりました。真綿は「打ち直し」が出来ませんから、物理的に真綿を切り落としました。つまり「ハサミ」で切りました。145x210㎝に切り落とし敷きパッドにし、残った部分でひざ掛け(約80x100㎝)を創りました。キルティングしてありますから、キルトはそのままで再加工です。
幸いにも、自社の職人さんは器用です。ほぼお客様の希望通りに出来上がり、満足して戴いたと思っています。
なんとか真綿ふとんは打ち直しできないものか?
真綿(シルク)のお布団は、一般に言う仕立て直し(打ち直し)はできません。でも、打ち直しの可能な真綿(シルク)ふとんができました。側生地は何でもOKという訳にはいきませんが・・・。そのシルクは「キャッサバシルク」と言い、今までとは全く違う品種のお蚕さんが見つかりました(?)。その真綿ふとんを商品化することができたのです。
店頭に展示しています。触った方は皆「これなあに?」と聞かれます。素材が何か・・・。「シルク(絹)です。」と言うと、「嘘っそう!」と感嘆の声が帰ってきます。
普通の絹糸は超ロングです。キャッサバシルクも、もちろん長繊維ですが、野蚕のためキャッサバの葉に絡むように動きまわり、最後に繭を作ります。その葉に絡んだ糸や繭を集めますから、結果として短繊維になりました。つまり、絹としての概念からは全くダメ商品(糸にできない)、ゴミと扱われました。もともと原住民の方々は、お蚕をタンパク源として食用にしていたものです。
そんな蜘蛛の巣のような絡んだ糸ですから、そんな糸を集め取り出したとしても、逆に単に短繊維の塊となりました。それを「わた」に「糸」に加工できる技術が、タイの「王立養蚕研究所」や日本から進出した製糸工場との研究から出来上がったのです。葉に絡んで活用できないでいた状態から、絹糸だけを取り出すことに成功したのです。結果、再加工が容易にできるの「絹わた」となった訳です。 そんな「シルク」だから、「打ち直し」ができる・・・つまり製綿機にかける事ができるのです。一般の寝具店で、もめん綿を打綿するように、打綿できる「シルク」になるにはもう少し研究・時間が必要かもしれませんが、打ち直しのできる「シルク」がほぼ出来上がったのです。
しかも、今までの真綿ふとんに比べれば「超安価」です。生地はシルクニットにしました。だから真綿ふとんの他に、マフラーやストールも出来ました。ぜひ一度お店で触って下さい。
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