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吸湿性と吸水性…脱脂綿の功罪

2016-07-02 06:44:10 | 夏の寝具・夏の眠り

 吸湿性と吸水性および発散性について。

 脱脂綿は吸水性が良いと言われます。もめん綿には「綿実油」と言われるように「脂分」がありますが、その「脂分」を取り除いたのが、脱脂綿です。「水と油」というように、吸水性をある意味妨げるのが「綿実油」です。新しい上質な「もめん綿」は、その脂分によって水に浮きます。だが、古くなった「もめん綿」は、沈みます。吸水性が良く(?)なったからです。

 【脱線話】もめん綿の打直し(仕立て直し)依頼で、残念ながら打直ししても十分な効果が期待できない「もめん綿」の場合、綿の寿命と人の寿命に例えながら、こんなたとえ話をすることがあります。 ・・・ いい綿でしたね!でも、何度(何年)も打直し(使用)されてますから、そろそろ引退ですね。若い女性の肌はしっとりしてますが、残念ながらこの綿は、人間でたとえるなら65歳を過ぎてます。お婆ちゃんの肌は脂分が抜けてガサガサですよね。おばあちゃんになった小野小町より、ピチピチギャルの方が…この綿は今そんな状態です。もちろん、定年後でも働く方はいます。この綿ももう一踏ん張りせよと言われれば、使えないことはありませんが・・・。

 脂分が無くなった綿は、陽に干したときの膨らむ力が弱った状態になります。(爺の経験からの推測ですが)繊維が膨らむ…伸びる時に油脂分が正に潤滑油の働きをして膨らみやすくなると考えられます。また、化繊わたを5%~10%ほど混ぜるとより膨らみやすくなります。化繊わたが、膨らむ力を阻害せず、むしろ潤滑油の代理にもなるようです。繊維同志の絡みを防ぐ感じです。

 従って、脱脂綿は寝具に利用するということは、寝具(もめん綿)の常識からは以前では考えられなかったのです。

 数十年前のことです。お客様が内職で出た脱脂綿を大量に持ち込まれ、製綿(打直し)を依頼されました。色は真っ白ですから、高級な綿になると思われたんでしょう。さらに、キメの細かい綿状にするため綿の繊維が短くなっています。陽に干した時に膨らむということを期待しないで下さいと申し上げました。… 

 でも、汗取りバッドとしての利用ならば、膨らむ力は無用であり、汗取り(吸水性)の良さがアピールできれば良いわけです。短所が長所となり、許されるということなんです。

 脱脂綿が使われる場合といえば、お医者さんへ行ったときに、アルコール消毒をしたり、血液・膿など体液をすばやく吸収する必要がある時ですね。

 

 もめん綿の比重は1.58だそうです。ちょっと簡単な実験をしてみました。脱脂綿や油っけの無くなった綿は、沈みますが、新しい綿1は、製綿した綿をそのまま入れたモノですから、浮いています。空気をたっぷり含んでいることと、油脂分によって水をはじくことから、浮くのだと思います。新しい綿2は、水中で空気を抜きました。ですが、油脂分によってと思われますが、氷山のようにほんのちょっぴり水面上に頭を出し、大部分は水中です。沈んで底に付く状態ではありません。比重からいえば、沈んで当然ですが、油脂分のためと思われますが、完全に沈むことはありません。脱脂綿と古い綿は底に沈んでしまいました。

 脱脂綿および油脂分が無くなった綿は、吸水性はある意味良くなります。

 一方、もめん綿の欠点に、放湿性の悪さがあります。吸った湿気を手放さずに蓄えてしまう、つまり吐き出す力(放出性)が弱いのです。そのため、日に干すことで、湿気を放出させる必要があるのです。干さないと非常にジメジメした寝心地になってしまいます。

 夏季、特に梅雨時は、お布団を干すという行為は、積極的にされる方も少ないと思います。快眠のためには夏季といえども、寝具に溜まった湿気を取り除く作業をする必要があると思います。もちろん短時間でも良いので外に干したりするも良し。外に干せない方は、エアコンで湿気をとるのも良し、ふとん乾燥機を使うのも良いでしょう。

 起床後直ちに、寝具を押し入れ等に入れたりベッドメイキングをせず、寝具内の湿気を籠らせないようにするのも、少しはジメジメ布団から逃れる手と言えるでしょう。

 以下は、他の方が書かれたブログから抜粋加筆(コピペ)しました。ご参考までに。 

 我々の温度感覚は,裸でいて暑くもなく寒くもない温度(中性温度)は約29℃です。就床中は深部体温や代謝が低下するので,寝具や寝衣により29℃より若干高めの温度32~34℃,湿度50±10%(寝床内気候)を維持することが理想です。 

 もし寝室環境・寝床内気候が高温環境になってしまうと,レム睡眠と深いノンレム睡眠が減少します。特に睡眠前半の覚醒が増えます。つまり,脳を休めたり修復する,あるいは恐怖記憶を消去する睡眠が減少します。そして記憶の定着に重要な睡眠も減少するのです。冬季の低温環境の方が睡眠に与える悪影響は大きいのですが,普通は寝具や寝衣により低温環境は是正されるので,正しく寝具や寝衣を利用した場合,室温は3℃以上であれば睡眠に影響は少ないようです。ただ、湿気を多く含んだ寝具内は、温まるまで時間がかかり、そのことは入眠までの時間もかかる事にもなりかねません。

 一年中、湿気コントロールは重要です。特に夏季は湿気が快眠を妨げる主犯にもなりかねません。

 夏季においては、やはり上手にエアコンを利用されることは睡眠の質を保つためにもおすすめします。一晩中,もしくは夜の前半にエアコンを使用し,タイマーで後半に停止するといった使い方など、個人の体質にあった使い方をしてください。見つけて下さい。

 

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