普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

太田さん辞任と政府の責任

2008-09-21 15:32:43 | 福田内閣

[可哀相な太田さん?]
 太田誠一農相は19日、工業用「事故米」の食用転売問題などの監督責任を取って辞任した。
 太田さんには「転売された事故米は人体に影響はない。だからあまりジタバタ騒いでいない」など、事故米に関して幾つかの問題発言をする太田さんの資質に対して与野党から批判はあったし、農水省を総括する立場からも責任を取ったのだろう。
 然し太田さんの立場になって考えると、8月1日に大臣に就任して2カ月にならぬ内にこの問題が発生したこと、それは農水省の一部門である、太田さんの就任の遥か前からの、事故米の監督部門の管理不十分と言う些細な点まで、大臣としての監督責任がまで負わされたのだ。
 1974年から一貫して農水省に勤めており、実務の統括に当たるべき白須敏朗次官の引責辞任は当然としても、マスコミで言われているように政局絡みでの退任は、太田さんの立場としては人には言えぬが無念の気持ちで一杯だろう。

[事故米の事件と政府の責任]
 然し政治と今回の問題については考えさせられることが多い。
 ・政府の官僚の管理監督が充分に出来体制になっていない。
 議会民主主義の日本では、政府は選挙ごとに変わる、中には安倍、福田の改造内閣のように数カ月しか持たない場合もある一方、官僚は何十年と言うキャリアを持っている。
・数千から数万と言う官僚を統括するのに大臣一人と1~2名の副大臣、政務官では、省の膨大な組織の管理は実質的には全く何も出来ない。
 その点では小沢さんの言う官庁に100人の議員を配置する考え方は、問題があるかも知れぬがやってみる価値はあると思う。
 官僚制度は当然の話したが、官僚もその監督下にある企業も、誠実に、そして完璧な仕事をし、まして不正などしないと言う前提に立っている。 
 然し事実は社保庁のように怠慢且つ出鱈目な仕事をする部署、今回のように農水省の監督下にある三笠フーズが不正を働いた事も事実だ。
 一方、小泉さんのように、これも性善説に立って民間で出来ることは民間へと言う流れがあり、つい民間企業の管理がおろそかになりかねないのもまた事実だ

[省庁が起こす諸問題に対する政府責任]
 今までの流れを見ていると、また噂によると政府官庁内の内々の評価も同じだそうだが、問題の多い省庁は今回の農水省、厚労省、国土交通省、(多年の日教組の確執の問題が影響が残っている)文部省のようだ。
 然し歴代の内閣の大臣の配置を見ていると、僅かな例外を除いて一般的には、農水省にはなにかと噂されているベテランか、厚労省には新人を配置することが通例のようだ。(農水省については個人的な批判になるので省略するが、升添さんは当選2回、小泉さんは47歳で最初に大臣になったのは昔の厚生大臣だった)
(なお国土交通省は余り問題が多いので、今までの慣例で大臣を出していた公明党が逃げて環境大臣の座を要求した。)
 問題を起こして直ぐ辞める農水大臣、経験の浅い厚労大臣に何が出来るかは、今までの農水省や厚労省の問題が示している。
 問題の多い省にこの様な人達を配置して、省庁の質の低下を放置した自民党政府の責任は免れないと思う。

[省庁の合理化対策と不祥事の防止]
官僚の能力を活かそう 
                             
 今の官僚に多くの批判があるが、公平に見て有名校出身のキャリヤーはそれなりに優秀な人達であり、国会議員に比べて専門職としての経験を豊富だし、人数も数千から、数万に達する大集団だ。
 問題があるからと言って官僚を締めつけるだけで意欲を無くさせるより、以下のような方法でそのモラルを向上させ、その能力の向上を図るべきだと思う。

重点的に国会議員を省庁に配置
 財政、経済とうの重点的な省庁だけでなく、農水省、厚労省、国土交通省など問題のある省には(問題を抱えていない)実力者を配置する。
 大臣、副大臣だけでなくて相当数の国会議員を省庁の重要箇所に配置する(例えば省の経理の担当部門のように、諸施策の書類が必ず通る部署の、例えば局長付の立場で必ずその承認が要るようにし、不都合なデータを大臣には見せないような行為をさせないようにする)

官僚の生活保証
・(官僚制度改革法案の中に既に入っていると思うが)真面目な人達には定年迄のその生活を保証する。

官僚自身による自主的な合理化案
・合理化案を政府から押しつけるだけでなく、一定の改善目標を示して官僚から改善案を出させる。(その前に国会議員の定数削減をしてその政府の合理化に対する決意を示す。)
・省庁の合理化の実施の為には、一般企業のように自主管理活動を取り入れて、改善提案を出させることで、現場に則した改善案の発掘とともに官僚の意欲の向上出来る。
・もし政府が指示した改善案の提出に対して、ゼロ回答する事務次官がいたら更迭する。

現場での管理強化
・合理化の結果出た余剰人員は現場に出し、業務の実施、監督指導に当たらせる。
 例えば今回の事故米に関して言えば、三笠フーズの伝票のチェックだけなく、その裏付けとなる売り渡し先の伝票のチェックまで行い、また三笠から出た米がどこまで流れているか、末端までチェックする。
 そうすれば事故米の不正使用の防止だけでなくて、その流通経路にも問題があることも発見し更なる合理化も出来る筈だ。

外部の監査機関の強化
・会計検査院などの監査機関を充実し、特に問題の省庁の監査を強化する。
・一般企業のように、日本能率協会などの外部の機関を利用して、省内の事務の合理化の査察を行う。(想像だが一つの省当たり数千点の指摘箇所が出るはずだ)

官僚の責任の明確化
・小池百合子さんが言うように出来れば、違法なまたは怠慢の行為をした官僚の責任の追求が出来るような制度を作る。

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3 コメント

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官僚制度の悪習 (破れ傘)
2008-09-21 22:11:09
全面的に同意します。

官僚のなかでもキャリアと呼ばれる人たちは、行政の主導権を握っています。行政だけでなく、立法においても法律作成に直接たずさわるのは官僚だし、国会答弁書を作成するのも官僚だということを考えれば、政治の実権を握っているのは官僚だといっても過言ではないと思います。

このように大きな力をもち、陰で日本を支えている官僚が、ちまたで言われているように「省あって国なし」というのですから、その弊害が随所に現れることは当然のなりゆきだといえます。このままでは、国益を大きく損なう事は目に見えています。

なぜ、「省あって国なし」のような悪習が官僚の世界に蔓延してきたのかと考えると、官僚制度に問題があるようです。官僚特にキャリアと呼ばれる人たちは、短期間で出世街道を走っていきます。しかし、ポストの数は限られているので、選抜にもれたキャリアは関連団体や企業に天下りしていきます。

ここに、各省の勢力拡大をもくろむ真の意図が存在しています。勢力が拡大すれば、それだけ影響を与える企業や団体が多くなります。つまり、退官後の再就職先が多くなるわけです。勢力範囲が多ければ多いほど、安心感は増えるわけです。実際、若い役人の話では、「天下り先の確保こそが仕事の大半だった」というものもあります。この発言を聞いたときには、いったい何をやっているんだと、正直がっかりしました。

優秀な頭脳をもち、行政法をはじめとして深い知識を有する官僚が、天下り先の確保のみに奔走するという姿を想像するだけで日本の行く末をみる思いがします。なんとかこのような無駄な行為はしなくてもいいように、公務員改革を実施し、官僚が本来の仕事に打ち込めるようにするべきだと思います。
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二者択一 (菱海孫)
2008-09-22 03:01:14
私は官僚機構の縮小が最も効果的だと思います。そのためには小さな政府を実現すべきで、それだけ国民は生活全般に私的自治が要求されますが、一方で巨大な官僚機構の必要性は消滅します。

反対に国民生活にきめ細かく対応する行政サービスを求めるのであれば、巨大な官僚機構が必要です。これについて双方の利点を同時に実現することは不可能だと思います。

ただしモラルの向上により巨大な官僚機構を政府に服さしめようという発想は、その実現に疑問を感じます。官僚といえども、人間であれば自身の権力を拡大しようとすることは合理的な行動です。これに対しては制度や規模、罰則といった不可抗力的な拘束をかけるべきだと思います。
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内部 (ろっし)
2008-09-22 08:53:48
 ある程度、内部に精通していれば、こういう見解になるでしょう。テレビ、国会議員の一部は、官僚=悪と決めつけていますね。一部、どうしようもない官僚もいますが、9割は、国家、国民のために働いています。1割の優秀な方は、公務員が勿体無いでしょう。

 まず、政治家と官僚では、キャリアが違います。また、政治家は、様々な用事、選挙、地元対策など大変です。つまり、官僚のトップクラスよりポテンシャル、勤勉かである必要があります。世襲化やテレビ受けの良い議員が当選している現状を考えれば?です。

 太田大臣に関しては、汚染米だけで考えると、対応、リーダーシップが無い。つまりお飾り大臣だったということでしょう。問題が出てきて辞任でなく、対処、発言を巡って辞任と考えています。一度や二度でなく何度も発言上、問題があり、大臣としての手腕が無かったので辞任は当然です。しかし、コメ問の責任は、彼に無いです。対応、対処の問題です。
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