一昨夜、NHKスペシャル「生活保護 3兆円の衝撃」と言う番組がありました。
生活保護受給者が200万人を突破。給付額は年間3兆4000億円に上る。背景にはリーマンショック以降、再就職できないなどの理由で生活保護を受ける人が急増していることがある。日本で最も受給者が多い大阪市で取材を始めると、病気や障害、高齢などで働けない人を守ってきた生活保護制度に、働ける世代が流入したことで起きている、さまざまなゆがみが見えてきた。景気の回復が見込まれないなか、生活保護はどうあるべきか?と言う内容です。
・国の生活保護費は国の歳入の一割にもなる約3.4兆円、
・大阪市の生活保護費は2616億円
・少しでも経費を減らすために市は担当者を800人から1000人に動員し、まだ働ける人の就職活動を推進
・担当者はリストラに遭った非正規従業員を訪問しハローワークまで同道
・彼には生活保護に慣れてたのと就職の難しさから次第に引きこもり状態になる人もでる
・その理由の一つは大阪市の場合生活保護費11万7千円に対して、最低保障賃金では11万6千円の差があること
・生活保護費11万7千円と最低保障賃金での収入11万6千円の差額の問題
[生活保護問題に関連する未だ働ける人への企業の対応]
これ等を見ている内に困っているのは大阪市とその職員と、リストラに遭った人達で、肝心の彼らを雇っていた企業の顔が全く見えないことに気付きました。
いや正確に言えばありました。ハローワークの人が就職希望者に合った会社を探しあてた電話すると、会社側の即戦力でないとだめだと言われたことです。
希望者は営業関係を探していたそうですが、昔なら約1月の訓練位はしていたのに。
企業者側は大量のリストラで国や大阪市に迷惑を掛けて済まないの言う気持ちがあればこんなことは言えないと思うのですが。
[非正規社員の問題点]
小泉さん時代までは非正規社員と特殊の職業に限られていたのに、中国などの台頭→企業競争力の低下に怯えた企業からの要求に応えて、一般製造業まで適用範囲を拡大しました。
・その結果Wikipediaによると1990年に初めて20%を超え、1999年に25%、2003年には30%を超え、2010年では過去最高34.9%を記録し、3人に1人超を占めるようになったそうです。
厚生労働省の2010年版労働経済白書は非正規雇用増加の原因として「相対的に賃金の低い者を活用しようとする人件費コストの抑制志向が強かった」、さらに「労働者派遣事業の規制緩和が、こうした傾向を後押しした面があったものと考えられる」と指摘。OECD(経済協力開発機構)は日本における非正規雇用増加の原因が「非正規社員に比して正社員の解雇規制が強いこと」と「非正規雇用への社会保険非適用」にあると指摘。労働市場の二極化を是正するよう、たびたび勧告を行っている。と書いています。
その結果はリーマンショックによる非正規社員の大量解雇。
それに対する年末休暇村に象徴される国や地方自治体挙げての解雇者支援。
その間経団連を始めとする大企業の解雇者救済への動きは報道で見る限りはゼロ。
それまで良く言われてきた「企業活動による社会貢献」の企業倫理は何処へ行ったのでしょう。
[考え方までグローバル化した企業?]
・非正規社員の割合(前記)と23年度労働白書による現金給与総額増減率(後記)
1990年に初め非正規社員の割合が20%(4.7)を超え、1999年に25%(-1.4)、2003年には30%(0.1)を超え、2008年にリーマンショック(-0.5)、2009年(-4.8)2010年では過去最高34.9%(1.4)を記録し、3人に1人超を占めるようになった。
詰まり1997年を1とすると2009年までに現金給与総額が約14%下がったことになります。
それに対しての大企業の年度毎の利益率、配当、内部留保、役員賞与の図表です。
この表には出ていませんが、役員の給与も全体の給与低下の傾向とは反対に増加傾向にあるそうです。
まさに企業のグローバル化は良いけれど、従業員の給料をカットして、株主、役員を厚遇するなど、考え方までもグローバル化してして良いのでしょうか。
勿論企業の中には従業員を大切にし、しかも業績を上げている会社もあり、テレビでも時々紹介されていますが、ごく一部で珍しいから放送されるのでしょう。
米国や欧州諸国は自由競争による社会格差の発生は当然だと言う考えがあります。
そしてそれを貧困層の発生に対しては、キリスト教の教義に基づく、弱者に対する援助の慣行や組織があります。。
援助基金を設立したビル・ゲイツさんや日本でも一昔盛んだった救世軍などがそうです。
日本にはそれが無いので、弱者に対する負担がただでさえ厳しい財政の中で、国や地方自治体が救済に当たらねばなりません。
私は非正規社員の採用はやむを得ないとしても、同一労働同一賃金、たとえ短期間でも必要な保険や年金の一部負担など、日本の企業としての最低のことは強制するべきだと思います。
日本の企業は一時期の厳しい労働環境のとき、徹底的な合理化と、従業員の能力を100%発揮させる自主管理・改善活動で、世界有数の工業国になりました。
その合理化と従業員の能力の発揮させようとする原動力になったのは、労働白書でも指摘した、簡単に配下の従業員を馘できない労働組合の存在でした。
その逆の現れは労働組合に加入していずに、何時でも整理出来るとして、合理化をして来なかった、ホワイトカラーのリーマンショックでの大量リストラです。
政府は企業にとって余りにも都合の良すぎる非正規社員の規制緩和や、イージーゴーイングな扱いに成りやすい同社員を経費扱いにするなどは、却って企業のためにも、勿論国や地方自治体のためにならないことを肝に銘ずるべきだと思います。
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