戦前・戦中派の私から若い方達への申し送りです。もし宜しければ是非ご一読の上、趣旨にご賛成ならお手数ですが拡散をお願いします。
「漢検1級の本を見て気づいたこと」
最近本屋で漢検1級の本を見ていて気づいたことがあります。
例えば「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」と言う難字を何時覚えたかと言う問題です。勿論このような難字は滅多に出ない字ですから、書くことは出来ませんが読むことと意味は理解できます。なお上記の本の新聞など時々出る難字の読みの30問の練習問題を見ましたが29問は読めました。
これだけ書くと私が抜群の記憶力を持つように見えますが、人の名を覚えるのが苦手で何時も失敗しています。強いて言えば昭和初期生まれとして普通の人の読書量より私のそれの方が少し多かったのかも知れません。
「私の読書経歴」
昭和一桁の時代の本は殆どすべての漢字にふりかながついていました。だからカルタで覚えた平仮名の知識があればどんな本でも雑誌でも読むことができました。私の子供時代では日中は学校の宿題や予習そっちのけで晩まで遊んでいました。然し夕食後の娯楽と言えば鉱石ラジオもやっとでしたから本を読む以外に暇をつぶすしかありませんでした。当時は少年クラブなど子供向けの本と勧善懲悪の講談本(羹に懲りーの字とその意味を知ったのは、講談では難しい言葉をかませ後で優しく言い換えるのが普通なので、講談本で覚えたのかも?)。それでも足らず親の眼を盗んで「人妻椿」など子供の眼からみれば妖しけな題の婦人雑誌までと言う文字通り乱読でした。小学校、高等小学校時代は殆ど勉強はせず手当たり次第の本ばかり。旧制の工業学校に入るころは前記の本を卒業。時々覗き始めた新聞。昭和17年に入社してからは会社の図書室の文芸物。20歳を過ぎてから八十歳まで英語の原書に切り替わりましたので、それ以後の日本語の読書は新聞を除いて殆どありませんでした。つまり上記の漢字や練習問題の漢字は20歳過ぎになるまでに覚えた確率が高いと思います。
「幼・少年期の読書の良かった点」
私の経験から感じたことです。
・読書により授業中に必須の集中力が養われ、読書で得た知識が活かされる。(テレビなら観ながらでも他のことが出来るが、読書は集中しないと読めない。)
今の小・中学校などの国語・歴史・社会・理科など一般学科は読書により積み重ねた知識と集中力があれば授業の内容は理解でき、少年時代の柔らかい頭ですぐに覚えられるし忘れない。書き取りなど除いて試験・受験勉強なしで程々の成績が納められる。但し数学だけは工業学校に入学(*注記参照)して受験クラスいた人を見て感じたのだか、中学以上は問題の解き方、計算、文字式の変換などはスピードも要求されるので練習も必要。試験の時はそれで生み出した時間を読書で得た読解力を活かせる応用問題に注ぐ。
「幼児からの読書の習慣を着けよう」
然し今の少年・少女を取り巻く環境は激変しています。
皆が行くから皆高校に行く、行くとしても良い学校に行かねば、ろくな大学に入れない。良い大学に行かなければ録な就職先もない。下手すれば大学を出ても単純作業の非正規社員になるかもという厳しい環境です。それで小学校から偏差値に象徴される生徒への締めつけ。
国でも現在は例年の小学校6年生の国語、数学の学力テストとその成績の発表があり、学校にハッパをかけ、新聞も如何にして学力を挙げるべきかを書いています。
・勉強の邪魔になるよう子へスマホ
小・中学生を待つ厳しい将来、そのために学校の偏差値などの締めつけなど子供を取り巻く厳しい環境のなかで、小・中学生の家でのスマホの使用時間1~3時間。某テレビの娯楽番組でスマホを持つ人または持ちたい人が全体の65%も。昭和初期より遥かに厳しい環境なのにスマホで時間を潰すなど、当時生まれの私からみれば世の中はどうかしているとしか見えませんが。
おまけにスマホによる非行、イジメなど多くの問題が頻発しているのに。
・男親無視二時間も子がスマホ
私の家でもそうですが、どの家庭でも事実上妻が主導権をもっていると思います。然し女性は優しくて子供の無理な願いについ受け入れる人も多いと思います。
昭和初期の悪い癖で、こんなときこそ男親の出番だと思うのですが、今子供の将来を取り巻く環境が如何に厳しいか、そのため今何をすべきか、スマホを持たないために起こるかもしれない問題をどうして避ければ良いかなど論理的に話せるのは男親であり、そうするのが男親としての責任だと思います。
何時間もスマホを扱う時間があれば、その時間に頭の柔らかい幼児、少年・少女に読書習慣を身に着けさせて置くべきだと思うのですが。
*注記:私が家で勉強も全くと言って良いほど勉強せにず旧制の工業学校に入学できたのは環境の問題があります。
当時は進学出来るのは金持ちの子、その中で頭の良い子は公立、そうでない子は私立、貧乏な子は高等小学校と決まっていたので、遊ぶ時間はいくらでもありました。
つまり小学校、高等小学校、旧制中学、今の高校のレベルも今に比べて低かったのです。
たまたま姉、兄が就職して得た金で少し家計が少し良くなったこともあり、そのようなのんびりした時代もあり、多分、人より多い読書量で得た集中力と知識だけでも受験勉強も殆どせずに工業学校に進むことが出来たのです。
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