*純粋故の悲恋を描いた岡本綺堂の戯曲にチャレンジ
1週間経ってしまったけれど、6/4(土)に
座・高円寺 で観劇してきました。演目は
花組芝居 の『番町皿屋敷』。
座長の加納幸和氏が、本公演では不可能な実験的試みを楽しむ?ためのヲタ企画「花組ヌーベル」第4弾です。
怪談としての知名度が高いお話ですが、今回のお芝居は岡本綺堂による1916(大正5)年作の戯曲を元に構成されているので、テーマは「悲恋」とのこと。
ううむ。お菊役が加納さんなら「怪談」でいってくれた方がいかにも花組って感じで面白そうなのに。。と思ってしまったのは私だけか?
まるで黒テント!
というわけで、高円寺初上陸です。勝手がわからず(休日には中央線快速が通過するし…ブツブツ)駅から徒歩5分という
座・高円寺に到着したのは、開演時刻2分前!
老朽化した区民ホールを立て替え、2009年5月にオープンした演劇上演を主目的とする公立ホール。設計は伊藤豊雄氏だそうです。
※以下は
ネタバレを含みます。
ストーリーを紹介すると、、、
旗本
青山播磨と腰元
お菊は相思相愛の仲であったが身分の違いから叶わない。やがて播磨に縁談が持ち込まれ、動揺したお菊は彼の愛情を試そうと家宝の皿を1枚割る。「粗相であれば仕方がない」と播磨はお菊を不問に付すが、お菊がわざと皿を割った瞬間を目撃していた者がいた。自分の愛情を疑われた播磨は激怒し、お菊を斬ってしまう。愛する人を亡くした播磨の心は荒れ、その後青山家は衰亡の一途を辿る。
上演時間は約1時間半。元の戯曲も1時間程度の長さだそうです。
相変わらず艶やかな衣裳や奇抜な演出で大いに楽しませていただきましたが、悲恋ものとしてはイマイチ中途半端だったかなぁ。
加納さん自身が「30分ほど余計なことをやっている」と言っていたとおり、その部分がエンターテインメントとして観客を喜ばせてくれるのは確か。
でもなんか、そこで笑わされ過ぎたせいなのか、播磨が純愛を疑われたことに傷つき、怒りを抑えられぬままお菊を斬ったシーンが全然シリアスに見えなかったんだな。
ラストもものすごく唐突な感じで、余韻も無かったし。。
ズバッとぶっちゃければ、やっぱり怪談でいってほしかった。
江戸時代に書かれた皿屋敷は、主人秘蔵の皿のうちの1枚を割ってしまった奉公娘が、その責任を問われて責め殺され、亡霊となって現れて皿を数える―という物語。
主家に様々な災いが起こり、衰亡の一途を辿る展開も娘の祟りに因るものとなっています。
花組の名演目の1つ『いろは四谷怪談』は、ドタバタと賑やかな喜劇(笑)の中にしんみりと男女の愛憎を滲ませる傑作だけど、私的にはそういう展開で観たかったかな。
珍しく(てか初めてか!?)ダメ出しっぽくなっちゃったけど、愛するが故の苦言ってことで。
加納さん、乙カレー!
会えてうれしかった。ずっとついていくワン
ちなみに番町皿屋敷を下敷きにした映画として、1963(昭和38)年に大映が制作した『手討』という作品があります。
主演は市川雷蔵と藤由紀子。
お菊を斬り捨てた播磨が後を追う形で切腹に向かうラストに、より悲恋物語の印象が強調されています。
DVD化されているので、興味のある方はご覧下さいませ。
作:岡本綺堂
構成・演出:加納幸和
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