珍しく倒れていませんでした。
なんのこっちゃ分からない、この小さい花はヒキオコシ(シソ科ヤマハッカ属)。
民間薬で、延命草という名前で健胃薬として利用されます。
昔倒れた旅人に、通りかかった弘法大師がこの草を飲ませたところ、元気になって起き上がったという言い伝えから、
「ヒキオコシ」という名前が付いたというのは有名です。
私の印象ではこの植物はひょろひょろと背が高く、いつ見ても倒れて咲いています。
【思わず引き起こしてあげたくなるヒキオコシ(2017/10中旬)】
今年は珍しく起きていました。
そして、この小さい花の一つ一つに小さいアリが顔を突っ込んで蜜をなめていました。
ちょっと面白い光景です。
近い仲間にクロバナヒキオコシがあり、同じように延命草の原料として使用されます。
これは湿地ゾーンの突き当り、池の畔に毎年咲いています。
ここのクロバナヒキオコシは濃い紫でなかなかの美形です。
ヒキオコシの名があるのはまだあります。
こちらはサンインヒキオコシ(シソ科ヤマハッカ属)
爽やかな青紫色が美しく、同じヒキオコシとは思えない大きめの花です。
今回はまだ咲き始めでした。
その名の通り、山陰地方中心に日本海側のブナ帯林縁に群落を作って咲くそうです。
こちらも植物園では比較的大きな群落をつくって咲きます。
【シダに混じってごちゃごちゃと咲くサンインヒキオコシ 2019/10中旬】
同じような色ですが、沢山の花が整然と並んで咲く姿が見事なカメバヒキオコシ。
第二湿地ゾーン(なつみかん命名)に毎年沢山咲きます。
こちらは東北から関東の産地に自生するそうです。
カメバの名は、葉がカメの甲に似ているからだそうですが、よくわかりませんでした。
花は大きくて綺麗ですが、ヒキオコシ同様、健胃薬として利用されるとか。
やっぱりごちゃごちゃした大群落を作ります。
【サンインヒキオコシ以上に大きな群落を作るカメバヒキオコシ 2019/10中旬】
さて本日のヒキオコシ4種類いかがでしたか?
姿は多少違ってもどれも胃にはよさそうです。
あ、ヤマハッカ属ということはスーッとした爽やかな香りがするのでしょうか。
今度行ったら確かめてみたいと思います。
それなら健胃剤も納得です。
【撮影:2020/10/3 京都府立植物園】