今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

来たれ、夜の訪問者 ~ソトチビ哀歌(回想録)~

2018年12月21日 | ソトチビ
このブログでは最古参のソトチビが
姿を消してから10ヶ月になろうとしている
テツの思い出に登場するソトチビは
拒食症になったテツの残し餌を片付けた
そう、テツが引き合わせてくれた子猫だった
ソトチビにも、テツの思い出がたくさん詰まっている
そのソトチビは、わが家裏で2度の恋をした


もの思いに耽るソトチビ

最初はみう
ソトチビが連れてきて、家裏で暮らし始めた
通いのソトチビとの逢引きが始まって
寒くなると、毎夜寝床でのツーショットを見せてくれた
2度の冬を家裏で過ごした仲睦まじい2匹
見ているだけで癒された
未手術のみうはその間、何故か発情しなかった
そしてソトチビの留守が少し続いたある春の日
みうは家中に保護されて、2匹は離れ離れになりました

   
  
いつも絵になる2匹だった(みうとソトチビ)

それでもたまに顔を出してくれたソトチビ
秋になると、リンが家裏にやって来た
ソトチビのご飯がお目当てだった
早速エスコートに余念のないソトチビ
大食漢のリンに、自分のご飯を全部譲ることもままあった
やがてリンは2匹の幼子を連れてきた
そう、りんは子育て中だったのです


リンが連れて来たいたいけな子供たち(キーとクウ)

その後のソトチビの行動には驚いた
まさかリンの子育てを手伝うとは
でもリンの子たち、キーとクウはソトチビによく懐いた
当方も、冬の寝床をアパート仕様に変えたりと共同生活を応援した
リンの留守に寂しがるチビたちをあやしたり
迷子になりかけたクウを連れ戻したり
ソトチビは甲斐甲斐しく子育てに参加した


リン一家と一緒に食事するソトチビ

やがてリンが子離れの時期になって
次の妊娠準備のGOサイン(フェロモン)が出たのだろう
刺激されたソトチビが発情した
それまで静かで鳴くことなど殆どなかったソトチビの
あんな声を初めて聞いた
ある朝ソトチビがリンに寄り始めたまさにそのとき
この意地悪なオジンがリンをソトチビから取り上げたのです

それでも、チビたちの面倒を見ながらリンを待っていたソトチビ
やがて戻ってきた術後のリンは、それまでのリンではなかった
そして傷心のソトチビは
その翌日に姿を消しました


傷心のソトチビは黙って姿を消した

みう、リン、キー、クウ
今はわが家で平和に暮らしています
ソトチビがいなかったら、彼らの平和はなかっただろう
わが家にとっても家の猫たちにとっても
ソトチビはそれだけ縁の深い猫、いや、恩人(猫)なのです
そのソトチビが、消息を絶ったのが10ヶ月前
出会ってから2年半の出来事だった


コワモテだけどやさしさ溢れるソトチビ

痛恨の極み
それはシロキの保護が遅れたこと
予定通り10月中に保護していれば
先月の不審な訪問者はソトチビだったかもしれない
しかし、今はもうその気配もありません
控えめな猫のソトチビが、シロキを見て諦めたのだろうか

勝手口の外に誰かが来ると、中の猫たちの動きでわかる
新顔ちゃんは毎日来て、ご飯を食べて帰ります
夜にはソトチビのための置き餌を少し
一見さんにはわからないようにソトチビ用の寝床に置いています
でも、手をつけた痕跡はない


ソトチビの臭いがついた、過去3度の冬と同じ寝床が待っています

ソトチビよ、もしまだ幸せをつかんでないのなら
頼むからもう一度来ておくれ
他の子たちを幸せにして自分がなれないなんて
そんな不条理があってはならない
君は優先的に保護したいニャンコなんだ
君には、幸せになる権利も資格もあるのだから


時折家の中にも興味を示したソトチビ

※寝床を除いてすべて再掲写真です
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夜の訪問者現る、だけど・・

2018年11月21日 | ソトチビ
急に寒くなって、いよいよソトチビが夜の訪問者として現れる季節がやってきました。
昨年はリン一家と度々合流していたので驚きはなかったけど、一昨年は結構不気味だった。当時はみうが家裏で暮らしていて、少食のみうのご飯がやけに減るようになった。怪訝に思っていたらそのうち何か不穏な気配を感じるようになって、用心していたらある夜に突然ソトチビと遭遇した。あのときは数ヶ月ぶりで、はじめのうちは勝手口が開くと同時にソトチビが逃げていたのでした。今年は別れてからもう9ヶ月にもなる。現れるにしても果たしてどんな現れ方をするのやら・・。


(再掲)ソトチビは律儀でやさしい、物静かなニャンコです

家裏にはまだ白黄くんがいて、先月準備したソトチビ用の寝床を使っています。。白黄くんはだいぶ馴れてきたけど抱きかかえようとすると猫パンチが飛んでくるので、家中にお迎えするにはもう少し時間がかかりそう。そこで、苦肉の策としてもうひとつ寝床を作り、昨年のようにアパート仕様に変更しました。新しい寝床は奥の方に設置、はじめて横型の二重入口式です。白黄くんはそのまま手前の寝床を使っているので、奥の寝床の奥の方にカリカリを少し置いて、誰かが来ればわかるようにしておきました。


左:昨年のような2棟方式に(奥に新顔ちゃんが見える)
右:新しい寝床も2重方式で、ソトチビ愛用のシーツを敷きました

2週間くらい前の夜のことです。
白黄くんと新顔ちゃんの残したご飯をまとめて夜食用に置いておいたのです。すると勝手口の外で気配が。すかさずニャーとちび太が駆け寄って、しかし唖然とした面持ちで換気口から外を眺めていた。何事かと思ってトイレに回って、小窓からそっと勝手口の外を覗いてみたのです。

何か大きなものがゆっくりと動いていた。それは、暗闇の中でもそもそと置き餌を食べる生き物でした。茶色か黒で、もふもふとした全身の毛が勝手口の換気口から洩れた光線に浮かび上がっていたのです。尻尾がやけに太く、自分はアライグマだと直感しました。慌てて勝手口に回って扉を開けたが既に何もいなかった。直前までそこにいたはずの白黄くんと新顔ちゃんも、どこかに消えていた。

「アライグマだ!」と妻に言ったら一笑に付された。そんなのがいたら大騒ぎになってるわよ、と。赤坂にアライグマが出現したニュースの影響じゃないの? 犬だのハクビシンだのといろいろ言われたが、あのもそもそ動いていた生き物が瞼に焼き付いて離れなかった。しかし何日も経ってくるとその記憶にも自信がなくなって、あれはもしかしたらソトチビだったのでは、などと思えたり・・。

そして1週間前。
その夜も白黄くんが寝床にいることを確認したばかりのことだった。家裏でバサバサッと大きな音がしたので慌てて勝手口から様子を伺うと、白黄くんのいた寝床が架台から落ちてひっくり返っていた。何事かと思ったがそのときはもう静かになっていて、白貴くんがストックヤードの向こう側の入口で小さく鳴きながら周囲を眺めていた。

何かが来たのだろう。それで慌てて白黄くんが寝床から飛び出したのだ。でも喧嘩声も唸り声も一切なく、何かが思わず白黄くんとニアミスしてしまい、慌てて去っていったような感じだった。その無言な何かが、あのもの静かなソトチビを思わせるのでした。

さらに一昨日の夜。
トイレの小窓から勝手口外側の様子を伺うと、いたのです、例のもそもそが。それはまた白黄くんの残り餌を食べていた。さらにその2mほど向こうに白黄くんが座って、もそもそをボーッと見ていた。そのときは前回よりも少しはっきりと確認できた。それは、やっぱり猫でした。暗闇の中、勝手口からの光線に浮いて大きく見えるが、実際は白黄くんと同じくらいか。光線に毛先が光って色や柄などはわからなかった。前回アライグマと見間違えた尻尾も、陰になって見えなかった。


(再掲)さほどご飯を食べるでもなく、何となく遊びに来ていた

それで意を決して勝手口に回って扉を開けたが、やはりもそもそは去った後でした。うーん、なんとも言えない。あれはソトチビだったのだろうか。それとも新手の猫なのか。雰囲気的には、一昨年の暮れにソトチビと再会する前に似ている。あのときも最初は不気味だった。ソトチビとは互いに見知った仲だけど、やはりブランクが長ければ彼も警戒するだろう。

ただ、久しぶりに会うと言ってもソトチビの方から見ればどうだかわからない。こっちが確認してないだけで、ソトチビはあの草原の向こうから何かとこの街に散策に来ているに違いない。わが家の様子を伺ったり、白黄くんがいればパスしたりしていたはずだ。そして毎年恒例の季節になって、そろそろ当家裏の寝床が恋しくなってお邪魔に来た可能性は十分にあるのです。

ソトチビがかつて推測したように旧農家さんの外飼い猫の一員だとすれば、集団猫生活には慣れているはずだ。最近の夜の訪問者に対して、白黄くんはいずれもその場にいたのに喧嘩声ひとつ聞こえなかった。ことによるとソトチビは、みうやリンの♀ニャンに限らず他の猫とうまくやる方法に長けているのかもしれない。パーソナルスペースさえ確保できれば白黄くんとの共存もできるのではないか。

などといろいろ考えながら、ソトチビの再来に期待する今日この頃なのです。


一昨年の冬も寝床の常連でした



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

そろそろ夜の訪問者? でも問題が・・

2018年10月18日 | ソトチビ
久々にソトチビのことを書きます。
今年の2月、リンの手術をきっかけに姿を消したままです。去年の秋に家裏でリンと出会って意気投合。でもリンは子育ての最中だった。やがてリンが連れて来た2匹の子猫(キーとクウ)の世話を甲斐甲斐しく手伝って、ひたすらリンの発情を待ったのです。ようやくそのときが来たというのに、意地悪なオジンがリンを取り上げて手術してしまった。それで、失意のソトチビは姿を消した。あれからもう8ヶ月になります。


先の冬はリン一家で家裏が賑わった(左キー、右リン、奥にクウ)


リン手術の間、ソトチビは子供たちの面倒をみた(手前からクウ、ソトチビ、キー)
でも戻って来たリンはソトチビの知るリンではなかった

まだ幼さの残るソトチビと出会ったのは3年前の9月。ソトチビは"通い"だけど、ソトチビが連れて来たみうは家裏に住み着いた。みうに会いに来るソトチビ。2匹のランデブーは延々と続いて、翌々冬には微笑ましいツーショットを何度も見せてくれた。でも春になってソトチビの留守が続いた折に、やはり意地悪なオジンがみうを家の中に迎えてしまったのでした。


ソトチビ(左)とみう(右)のツーショット

ソトチビは夏になると足が遠のきます。そして寒くなると、日が暮れた頃やって来る。物静かなニャンコなので訪問されても余程気をつけてないと気付かない。一昨年は師走の夜に不意に出会った。勝手口の下で、静かにこっちを見上げていた。去年は途切れ途切れでも通い続けてリンと出会った。その後休み勝ちになって、やはり年末の夜にいきなり出会った。いずれもニャーの動きでわかりました。ソトチビは、2年続けて年末の夜の訪問者となったのでした。

今年はどうかな? 2度も恋路を邪魔されてもう懲りちゃったかしら。でも当方としては期待したくなっちゃうんです。何と言ってもこのブログに登場する現役ニャンコでは最古参のソトチビ。このままお別れじゃあ寂しすぎる。というわけで今年も夜の訪問者に期待して、行方不明リストにも入れないでいるわけです。寒くなってきた先週はソトチビのお迎え準備(寝床の整備)も始めました。

      
      
整備したソトチビ用の寝床
ビニールで密閉保管してあるソトチビ愛用の敷布を敷けば完成です


参考:前冬の寝床はリン一家とのアパート仕様だった

ところが今年は、大きな問題がまだ残っています。
言うまでもなくシロキくんの存在。ハリーを家に迎えて以降、かつてのみうのように家裏に定着して過ごしています。それに新顔ちゃんも通いながら顔を出す。ソトチビがやって来るであろう師走までにはシロキくんを迎えたいのですが、今のところもう少し。それに、家の中ではニャーがそろそろいっぱいになっているので、そちらにも気を遣わなければなりません。

まだまだ問題山積のソトチビお迎えですが、何とか実現できればと頑張ります。


いつかまた、こんな感じでやって来るかも



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

来たる冬に向けて ~ソトチビを偲ぶ~

2018年08月19日 | ソトチビ
久々にソトチビカテゴリーの更新です。
と言っても再会したわけではないのですが・・。 一昨年の冬も昨年の冬も家裏の寝床で過ごしたソトチビ。春には足が遠のいて秋頃にはブランクもあったけど、寒くなると「夜の訪問者」として再び現れた。だが今年の冬は、リンの手術もあって途中で姿を消してしまった。今度の冬も「夜の訪問者・その4」の実現を期待しているのですが、今家裏にいるのはみう(当時"おかあさん")でもなければリン(当時イエミケ)でもない、シロキくんです。このままではソトチビも来づらいのは明らかだ。

              
             昨夏は時折顔を出したソトチビだったが

ソトチビとのいきさつに関してはカテゴリーの前記事(4/4付)に目を通して頂けると幸いです。自分がニャン保護を始めようと思い始めた頃に出会った、と言うより、動機のひとつになったニャンコでした。懐かしさや思い入れもあって、最後に会ったのがもう半年も前なのに不明者リストに入れずに頑張っているわけです。

実は先日、軽い足取りで家の前を横切ったキジトラをちら見した。生垣の陰で見難かったけど、側溝の蓋の上をわき目もくれず目的地に向かったあの歩き方、自分の庭のように落ち着いた雰囲気、あれはまさにソトチビそのものだった。来訪当時も家裏以外ではなかなかその存在を認めにくかった。でもたまに、こうしてトトトトッと駆けて行くソトチビを見かけたものでした。

              
            リンの子育てを手伝っていた頃のソトチビ
                  (手前はキーとクウ)

直接見ないだけで、ソトチビは今もこの界隈に来ているのだと思います。だから何としてもこの冬にはまたお迎えしたい。家裏のダンボール寝床はあらかた片付けたけど、敷布類はそのまま保管してある。寒くなる前にまた寝床を準備してソトチビの来訪に備えたいけど、問題はシロキくん。何とかそれまでには保護して家裏を空けたいのです。

              
             もの静かで控えめな猫に成長しました


それには2つのハードルがあって、まずは今保護部屋にいるハリーがシロキくんと同居できるかどうか。これまでの経緯からみて可能性は低いだろう。里親さんがうまく見つかればいいけど、テリーはともかくFIV+のハリーは協力の方が現れることを願うばかりです。もうひとつはシロキくんとの信頼関係。これは、今でも多少触れるようになってきたので何とかなりそう。

とにかくソトチビと再会するための必須条件だし、もちろんシロキくん自身やご近所のためでもあるので頑張るしかない。と、思っていたところ、最近になって思わぬことが起こりました。シロキくんの「求め鳴き」(8/2記事参照)の真相が判明。保護して以来家の中で鳴き続けるハリーに呼応して鳴いているのかと思いきや、そうではなかったのです。

新しい展開(騒動?)を暗示しつつ、その内容は次回記事にて。

              
             懐かしいみうとソトチビのツーショット
                  (再掲:1年半前の冬)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

恋破れ、恋に泣いたソトチビは

2018年04月04日 | ソトチビ
ソトチビが姿を見せなくなってほぼ2ヶ月が経った。
本ブログに登場する現役ニャンコでは付き合い歴が最も長いソトチビです。思い出も思い入れもたくさんあるけど、今回はもしかしたら本当にお別れかなという気もしてます。物静かで律儀で芯が強そうなソトチビ。いろいろ"お話"はできても、結局触ることすら許されなかった。ソトチビは何故、わが家に通い続けたのだろうか。

幼さの残るソトチビと初めて出会ったのは、まだテツが存命の2年半前の秋。朝晩やって来てはテツの残り餌を処理してくれた。がっついた感じはなかったけど、食べないテツに何とか食べてもらおうと超高級食を揃えていたので、ソトチビには魅力だったに違いない。ある日、勝手口を開けるとみう(当時おかあさん)が一緒にいた。やがてみうは家裏で暮らすようになり、ソトチビは通い続け、寒い冬は夜になると用意したカイロ付の寝床で一緒に過ごした。

               
            みう(右)とは親子か兄弟のように仲が良かった

春になるとソトチビは足が遠のいてきた。3日、1週間、1ヶ月と来訪のインターバルが長くなって、秋にはとうとう見かけなくなった。でも師走になったある日、ソトチビの来訪が"夜の訪問者"として復活したのです。そして、毎日夕方以降にはみうとのツーショットを見せてくれました。

               
          とっても微笑ましかったみうとソトチビのツーショット

やがて暖かくなって寝床が不要になっても、今度はソトチビの来訪が続いた。毎日ではなくても1週間以上空けることもなく、会えばいつも一緒にいる2匹だった。実は当初より気になっていたこの2匹の関係、もともと♂だと思っていたソトチビが左耳サクラになったと勘違いして♀扱いに。当時はそれで納得していたのですが、今年になってソトチビがやはり♂だったことを確認。つまりあのツーショットは、去勢も避妊もしてないカップルだったのでした。

それでも何も起こらなかったこの2匹。血縁関係がないとすれば、考えられることはひとつです。みうは未手術ではあるけれど今年も含めて一度も発情していない。でもソトチビは、みうが発情するのをじっと待っていたのではないだろうか。1年半もの間、そして2度の冬を越してみうがその気になるのを待っていたが、昨年の5月、ソトチビにとっては不運なことにみうが家猫となって引き離されてしまった。

               
               この2匹を引き離したのはオジンです

それでもソトチビは通って来た。みうがニャーのいるわが家になかなか馴染めず、ああ2匹のささやかな幸せを奪ってしまったのかと悩んだこともありました。しかも、みうが家に入るとソトチビと会う機会がぐんと減ってきた。当初はソトチビの足が遠のいたと思ったのですが、実は彼は来ていた。勝手口を開けることが殆どなくなったので、こっちが気付かないでいたのです。で、ソトチビ用に置き餌を始めました。

その置き餌が、リン(当時イエミケ)との出会いをもたらした。ソトチビはリンにもやさしかった。みうのときほどベタベタすることはなかったが、リンと出会えばいつもやさしく見守り、食事も譲った。紳士のソトチビは、♀ニャンのエスコートに長けているのかもしれません。

               
                 リンの食事を見守るソトチビ

しかしリンは、どこか近所で子育て中だったのです。2匹の子供がよちよちながら歩けるようになると、わが家の裏に越してきた。折りしも記録的な厳冬の始まる頃でした。リン一家がソトチビの寝床を占領してしまったので、寝床を増やしてアパートのようにしたところ、彼らの共同生活が始まったのです。

ソトチビはリンの子供たちにもやさしかった。子供たち(キーとクウ)もソトチビに懐き、まるでソトチビが子育てに参加したようでした。ソトチビは相変わらず通いで、食事は"本家"で済ますのかわが家では付き合い程度。ソトチビは何が目的でわが家に来るのか、その頃はまたわからなくなっていた。

               
            まるでリン一家の家族みたいになったソトチビ

それがわかったのが、まだ極寒続く2月はじめのことだった。ソトチビが急に発情したのです。それまで♀だと思っていたのでびっくり仰天。リンの子供たちが大きくなって親離れの時期が近づき、リンが次の妊娠に向けての準備が始まったのです。そのリンが出し始めたフェロモンにソトチビが反応したのでした。

そうか、ソトチビはこれを待っていたのだ。ようやく成就できそうになったソトチビの長い長い恋。ソトチビは1週間近く発情鳴きを繰り返し、ある朝ようやく本懐を遂げようとしたまさにその時、またしてもオジンがリンを連れ去って家中に隔離したのでした。でもソトチビは諦めなかった。リンがいなくなっても、リンの子供たちを守りながら待ち続けた。

               
            リンがいない間の子供たちはソトチビを頼った

やがて手術を終えて家裏に復帰したリンと出会ったソトチビは、何かが画期的に違っていることを悟ったのだろう。相変わらず紳士的にエスコートしてはいたものの、その後姿は寂しそうだった。そして、リンの正式なRを直前にして、ソトチビは姿を消したのでした。

               
           最後に見たソトチビの姿は心なしか寂しそうだった

ソトチビがわが家に来続けた理由とは・・。ご飯を出しても食べないことが多かったので食事ではなかった。寝床に入っても一番寒い5時6時には出て行くので寒さ凌ぎでもなかった。ソトチビは、思いを寄せた彼女がその気になるのを待ち続けたのではなかったか。

「ダーウィンが来た」で放映された雄猫の子殺し。雌猫の子供を殺して(自分のための)次の発情を促すという。でもソトチビは、その逆だった。リンの子育てまで手伝い、迷子になりかけたクウを救ったことすらあった。

穏やかで物静かなソトチビ。コワモテだけどキョトン顔が愛くるしいソトチビ。3匹目のわが家の子は彼と決めていたソトチビ。何とかわが家に来続けてほしいと画策してはいるのだが、いろいろなドラマのあったわが家の家裏には灰白くんが定着しつつある。灰白くんもおそらく近所からやって来る通いだけど、頻繁に来るので置き餌ができない。

いつかまた、ソトチビがやって来ることがあるかもしれない。その時にどうやって当方の"意思"を伝えるか。まだまだ諦めずに悩み続けるつもりです。

               
               いつかきっと、また会おうぜソトチビ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする