今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

たかが保護猫、されど保護猫 ~お出かけテンちゃん~

2018年11月05日 | (故)テン
テンちゃんがお客さんのお宅を訪問しました。もちろんオジンの同行付。

人気者の看板猫です。里親さん募集ポスターも貼っているので引き取りたいという打診はそこそこありましたが、これまで実現しなかった最大の理由は当方が設定した里親さんの条件です。一戸建てで在宅家族がいること、小さなお子さんがいないこと、経験者で終生1頭飼い・・。まあ、本当に里親探しをしているのかと言われそうな条件をつけておりました。

不要なストレスを与えたくないというのもありますが、何と言ってもテンちゃんのもうひとつの顔、あの凶暴性が依然として潜在しているように見えるからです。とにかく喧嘩っ早かった番猫テンちゃん。止めようとしたスタッフに八つ当たりして全治1ヶ月の傷を負わせたり、自分も幾度となく血だらけになったり手が倍に膨れ上がったり、とにかく生傷が絶えなかった。普段はもの静かな甘えん坊だけに、その裏の顔はお客さんのみならず新しいスタッフでも理解できていないのです。


閉店後、レジ台から見渡す

もともと人馴れしていたので、普通に可愛がる分には相手が誰でも甘えます。しかしつつかれたり尻尾を引っ張られたり、不快なことをされると顔つきが変わってくる。少しなら抱いても大丈夫だけど、そのうち低く小さく唸りだす。これが危険信号で、テンちゃんはいきなり攻撃してくるのです。テンちゃん過去記事にあるように、唸り合いなどの手順や(猫社会の)ルールを無視していきなり飛び掛っていく。卑劣のようだけど、それがノラになったテンちゃんが生き抜くための知恵だったのだと思います。

ただ、変わってきたのも事実。かつては繋がれているフックを壊してでもモドキやダイフクを追い回していたテンちゃんも、今ではすっかり穏やかに。先日は散歩中に草むらでモドキと鉢合わせしたが、30cmくらいの近さだったのに唸りもしないでスルーした。確かにあの裏の顔(凶暴性)はこのところ影を潜めているけど、低く唸ったときの怖さは相変わらずです。果たして、どこまでテンちゃんを信じていいのかがわからない。


モドキ(左上)と見詰め合う

前回のテンちゃん記事でも触れたお客さんはテンちゃんの大ファン。できれば一緒に暮らしたいと言ってくれています。当方の出した条件もひとつを除いてクリア。そのひとつと言うのが3匹の先住猫さん。いずれも保護猫で♂去勢済。2~4才の若猫です。お客さんは、テンちゃんを引き取りたいけど高齢のテンちゃんが落ちつけなかったら可哀相と、その一点が気がかりだと。

一方当方には、テンちゃんにリード暮らしを強いている負い目がある。家猫になってリードから開放できればそれに越したことはない。しかし、家猫と言っても隔離部屋での暮らしとなれば話は別。家中を自由に移動できなければ意味がない。ましてやケージの中だなんて論外。この気持ちはお客さんも同じなので、結局先住猫さんとの親和性がポイントとなった。お客さんはトライアル希望でしたが、それだと判断も責任も委ねてしまうことになるので、とりあえずショート顔合わせを提案して了承を頂きました。


寒かった1日、暖かいスタッフルームでくつろぐ

で、車で15分ほどのお宅をテンちゃんとともに訪問。お伺いしてしばらくは、テンちゃんはキャリーケースの中で唸ったまま出ずじまい。先住ニャンコたちはコタツから覗く1匹以外はお隠れに。チュールで釣り出されたテンちゃん、唸りながら恐る恐る部屋の探検を始めたが、やがてキャットタワーの箱に入って動かなくなった。コタツの中の先住ニャンも動かず。テンちゃんの低い唸り声だけが部屋に響き渡りました。

結局1時間ほどでそのままお開きに。本気で怒り出したテンちゃんをケースに戻すのは一苦労だった。テンちゃんの大きな変化はその後でした。店に戻ってから狂ったように駆け回るテンちゃん。どうやら自分から逃げていたようで、リードを握って追ううちにテンちゃんが振り向いて襲ってきた。足に噛みつかれ、近づくこともできなくなった。テンちゃんの異様な興奮は2時間ほど続き、スタッフルームでひと眠りしてようやく落ち着いてきたらしい。自分はその日休みだったので早々に帰宅し、翌日会ったときはテンちゃんも普通に戻っていました。


お客さん宅で1:唸りながらケースに逃げ込む
(コタツの奥に先住さんが・・)


お客さん宅で2:ようやく少しづつ探検開始

今はまたテンちゃんの幸せについて考えています。猫好きで理解のあるお客さんは里親として最高だ。あのお宅にテンちゃんが慣れて落ち着くのにそう時間はかからないだろう。ただ先住ニャンコたちとの関係は、全然ダメというわけではないが微妙だ。そもそも2年近くこのお店で過ごしたテンちゃんが、今更環境の変化を望むのかどうか。一方お客さんの方も、テンちゃんの持つ裏の顔を少しは推し量れたかもしれません。


お客さん宅で3:箱に逃げ込んで動かなくなった

高齢テンちゃんの時間はゆっくりと流れています。テンちゃんは待つことを覚えるのに苦労はしなかった。店ではいつもスタッフに見守られているので、移動したくなれば顔(表情)で信号を送ります。すると気付いた誰かが、行きたいところに連れて行ってくれる。1日に数回は店内や店周辺の散歩(見回り)にも行きます。今のテンちゃんはとても穏やか。その証拠に殆ど鳴かなくなりました。

リード暮らしは虐待とも言われかねないけど、しかし悪いことばかりじゃない。何故ならテンちゃんは、まさに自然に囲まれて暮らしているからです。しかも寒くなってきた夜は暖房付。確かに保護者の布団の中でぬくぬくとは寝れないけど、人間の価値観を押し付けても仕方ないし。今後の方向としては、やはりもう少ししっかりと顔合わせしないと判断できないかなと思っています。

ああ、たかが保護猫、されど保護猫。


SCのフェンス沿いにて
(奥の桜の木はかつて落下したチビを救った思い出の木)


コメント
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