令和になって自分も3時代目に突入、ますます老いを感じているオジンです。
時代の移り変わりは感慨に耽ることが多く、思い出すのはやはり転職と事業失敗。やがて落ち着いて今の店に拾われたわけですが、ボロボロのどん底で頑張れたのは妻と3匹(ハナ、テツ、くも)の存在が大きかった。その後被介護猫となったテツ1匹になってからは献身的に尽くし、1年以上にわたってテツが受け入れる食料を探し続け、強制給餌を続けたのです。
当時18才で推定IBD末期のテツは、何を出しても匂いを嗅ぐだけで口をつけなかった。テツは衰弱による自然死を望んだのだろうか。ボーッとして殆ど動かず、動いてもスローモーションのような動きではあったが、夫婦が座ればゆっくりと膝の上に乗ってくる。夫婦が寝ればやはりスローモーションのように階段を1段1段、手足を1本づつ持ち上げて上ってくる。やがてベットの脇に到着すれば、そっと抱き上げて一緒に寝るのでした。
元気だった頃のテツ(後方にハナ・左とくも)
そう、テツは明らかに生きようとしていた。我々夫婦ともっと一緒に暮らしたい。そんな気持ちが伝わってきたのが強制給餌を始めたきっかけです。先生に相談したり自分でも調べて、1日の目標を80Kcalとした。これはかなり少なめだけど、5Kgあったテツの体重は当時は半分近くまで減少し、年齢や動きの少ない生活ぶりから決めた。
高カロリーのA/D缶をスープで薄めたりといろいろ試したけど、テツが受け入れたのはミオの「飲んで味わえる」(かつお味とささみ味の40g入)。これを1日に2、3袋、1回に1/2~2/3袋が目標だった。回数にすると1日に4、5回になるがとても無理で、平均すれば2.5回くらいだったと思います。たまに自力で食べることもあったけど、やはりこれではエネルギーが全然足りない。それでもテツは、1年以上も頑張ったのです。
体重が半分近くまで減って強制給餌を開始したテツ
この経験が、この正月にニャーが病魔に侵されたときに役立った。ニャーは膀胱炎と尿路結石、そしてダメージを受けたら再生しないという腎臓を患った(急性腎炎)。オシッコが出ないで苦しむニャーは腎臓の値が見る見る悪くなって尿毒が体中に回り、食べるどころではなくなった。一度治ったと思って油断したら再発。尿路の詰まりが解消してなかったことが原因だった。2度のカテーテル治療(無麻酔)に耐え、最後は自力で詰まりを解消したが、食べないまま体力の限界に挑戦していたニャーをサポートしようと、強制給餌を始めたのでした。
推定5才のニャーはまだ若い。去年の暮れまでは健康そのものだった。ニャーの病気に自分の与えたストレスが影響したかもしれないと思うと、何としても完全回復してほしかった。ニャーへの強制給餌はテツのときに試したミオの「飲んで味わえる」で行った。ニャーはそれをよく受け入れてくれたが、再発したときに先生に指定された療法食を磨り潰して湯がいたものは、頑として受け付けなかった。結局市販の尿路健康用のカリカリ(ユニチャーム「愛猫用」)にはまり、今も主食にしています。ちなみにニャーへの給餌量は1日2回に分けて1袋でした。担当の先生によると、それでも食べないよりははるかにマシだそうです。
テツはそのうち朝の強制給餌の時間になるとベット下に逃げ込むようになったが、それ以外はテツもニャーも抵抗しなかった。とはいえ猫にとっては強制されること自体がストレス。強制給餌は、それに見合うメリットが当人(猫)にあることが大前提です。ということで、強制給餌について自分なりの経験則を箇条書きにまとめてみました。
ニャーへの強制給餌
シリンジの先端を奥歯の隙間に入れて注入
1.強制給餌する猫の体調を考慮する
食べないのではなく自力で食べれないのだから、もともと体調不全の状態にある。
2.嫌いなものは与えない
人間だって、好きでないものを強制的に食べさせられたら地獄です。
3.自分で食べることを優先する
強制給餌をしないで済めばそれに越したことはない。
4.一度の強制給餌量は20cc程度
猫にもよるが、それ以上続けると嫌がることが多い。
5.一度に注入する量は1cc程度
これも猫によるが、多いと負担が大きくなり、少ないと回数が多くなる。
6.3ccのシリンジで犬歯の奥の歯の隙間から注入
シリンジの細い部分を隙間に当てると少し開くのでそのときに注入する。
無理に口を開けさせない。
7.ひと口ごとによく味わう余裕をとる
舌なめずりがほぼ終わるまで次の注入を待つ。
8.抵抗始めたら中止(そのときの猫の体調によって不可のときもある)
顔を背けたり嫌がる素振りを見せたら直ぐに止める。
シリンジの太い部分まで入れると負担が大きい
猫はものを言わないし、信頼関係のある猫だったら少々のことは我慢するかもしれない。でも猫の気持ちを慮り最優先にすることが、特に強制給餌を長きにわたって行う必要がある場合は重要です。一度嫌なイメージを与えてしまうと、猫ばかりか保護者にとってもつらく切ない時間になってしまいますので。
ニャー「ふん、強制給餌だなんてもうこりごりだい!」