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流れ流れてきた此処は、終の棲家にふさわしいのか?入ってみなきゃ分からない、それがリスク。

スキップ 北村薫≒荒木飛呂彦

2011年12月07日 23時53分09秒 | 読書事
今日、北村薫さんの「スキップ」読了。

SFか?と思ったら「やっぱりSFじゃなかった」

でも、作品は評価できる。

しかも、ミステリでも無かった。



作品としては「青春小説」なんだろうが「読める」読者は年配者だ。

これを、若年層が読んでも「面白い青春小説」とは思わないだろう。

青春を無くした青春を心に秘めている17歳が読んで、初めて面白いと言えるのではないか?

小説は自身を投影できると嵌り易い。

私より55~60歳以上にはジャストフィット。

人生で小説を読んだことが無いっていう人でも「これ」は読めるんじゃないかな?

逆に今のリアル17歳が読んでも「これ」の深い面白さは絶対に判らない。

読む人を選んでしまう小説って…。








観点を変えればすべてがそうなんだろうけど…。

書評としてなら、

青春が過ぎて10年たって私の今までって何だったんだろう?

ってな悩みを抱いたときに読む本。




因みに表題の本は

「スキップ」≒「バオー来訪者」

です。

荒木飛呂彦さんの2作目の連載(の筈)。

秘密機関ドレスに改造された(?)郁郎が、バオーに寄生されて死に至る過程をダークな描写で描いた傑作です。




因みに、この文章を読んで、2作品はぜんぜん違うじゃないかって思う人もいると思います。





が、




戻れない現実と戦う主人公が私にはオーバーラップしてました。

2作品ともに共通して語られるものは「過去には帰れない」「今をどう生きるのか」を問う問題作である。

バオー来訪者の場合は、書き続けたら少年漫画の枠には収まらない思想を含めた危険な要素があります。

なので、あれが正解だったと思います。



スキップは、大人がターゲットなので、あれでもいいと思います。

が、

昔話の冷酷なところは、王子さまが現れて、めでたし、めでたし。

なのですが、現実には、それでは終われない。

っていうか、その後の平穏な日常がある。

ドラゴンも、魔人も、小人も、魔女も悪魔もいない現実。

日常しかない世界では、魔剣は振るえないし、鬼退治もできない。

平穏な日常に埋没せずには生きていくことすらできない。

そんななかで、

17歳の高校生が突然現れた40数歳の男性と夫婦生活をしなければならないわけです。

彼女の嗜好に関わらず、与えられたセックスパートナーがいるわけです。しかも初対面の。

こっちをテーマに書いた方が話も広がるし面白いと思うが、名を遂げた作家には書けないですよね。

「裏スキップ」が書けたら作家としてはすごいと思う。

「スキップ」程度の面白さで書いてくれなきゃ嫌だけど。

あとはAVだな。