デ・キリコ展(Giorgio De Chirico: Metaphysical Journey)に行ってきました(2024.5.16)@東京都美術館
この日は銀座一丁目のアエミリア・アルス(Aemilia.Ars)「白糸と黒糸のおはなし」ボローニャのメルレットレースの展覧会に行き その足で「デ・キリコ展」に行き ジェラート・マンマ・ミーアでイタリアンジェラート食べてきました🍨
非日常への誘い 10年ぶり回顧展
この回顧展の特徴は 評価の高い初期作品がまとめて複数展示されていることです なかなか一度には観られないとのこと
形而上絵画(メタフィジカ)を理解する手助けにと LCIセミナー イタリア文化会館セミナー等に複数参加してから行きました 90才まで生きたジョルジォ・デ・キリコの 時代ごとの作品制作の変遷がよくわかりました
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行く日の朝になって 展覧会HPの山田五郎さんのビデオをようやく観て シュールレアリスムのブルトンが彼を持ち上げておきながら のちに鋭く批判したり (自分で自分の贋作を創っていると) 芸術家同士の色々な人間関係の変遷を知りました
こういうことを知らずに純粋な眼で作品鑑賞した方がよいのか 色々な裏側を知ってから観た方がよいのか まぁ その方がよりわかるのでしょうが...
メタフィジカ作品を沢山観たらアンバランスな感覚が沁み込んでしまい 会場を出てから無料展示されていたごく普通の絵画(一般の作品群)を鑑賞したら 思わずその普通さにホッとしたりして...(笑)
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Section 1. 自画像・肖像画
デ・キリコは インタビューの時にはいつも劇場の衣装を着て現れたとのこと
Section 2. 形而上絵画
形而上的室内 これは面白くて 部屋の中が海になってそこに裸の人がいたり(意味がある) まるで驚異の部屋(Wunderkammer)の陳列棚のようです
16.「運命の神殿」等の遠近法が破壊された作品も 不思議な感覚にとらわれます 落っこちてしまいそうなアンバランスな感覚というか...
また戦時下のため小さな作品しか描けなかったとのこと
23 「球体とビスケットのある形而上室内」 は いくつもの空間をひとつのキャンパスに詰め込んだような絵画です
マヌカン 出現! これはミューズの預言者 表情の読み取れないマヌカンは前代未聞の表現として ダリなどの後進の芸術家たちに衝撃を与えました ← わかります...
そして 古典回帰へと
Section 3 1920年代の展開
古典絵画への関心が再燃してゆく時期ですね
43 「谷間の家具」は 出生地アテネでは地震が多く よく家具を家の外に出していた風景を観ていたそうです 通常と異なる空間に物を配し 違和感を与えるのが特徴なのですね
デぺイズマン(Dépaysement )とは ここにあるはずのないものがあることというシュルレアリスムの手法の1つで 日常から切り離した意外な組み合わせを行うことによって受け手に強い衝撃を与えるものです
Section 4 伝統的な絵画への回帰 - 「秩序への回帰」から「ネオ・バロックへ」
1919年に彼は ボルゲーゼ美術館のティツィアーノの作品の前で掲示を受けるのですね 油絵よりも古いテンペラ画に戻るのです
54. 「鎧とスイカ」は 過去の絵画に時間を超越する可能性 無時間性を見出したとあります 長い時を生き残ってきた古い作品の価値を見出すのでしょうか...
57. 「風景の中で水浴する女たちと赤い布」は妻がモデルとのこと その妻というのは... 1930年に結婚したライサ・カルツァとはすぐに離婚し すでにその時に知り合っていたイザベラ・ファーとフィレンツェで暮らしようやく結婚に至りますが 後者がモデルとのこと (こういうのをわかって観ると面白いかも)
彼は舞台芸術にも才能を生かし ピランデッロの「甕(かめ)」や 1924年にパリでバレエ「ニオぺの死」の衣装を担当した時のスケッチなども展示されており興味深かったです プルチネッラの衣装の習作も展示されていました
Section 5 新形而上絵画
彼は老年期に再び形而上絵画に取り組み 「新形而上絵画」の作品群を作ります
64. 「オデッセウスの帰還」が有名ですが 彼自身の長く険しい人生を重ねた作品とも言われています
69「燃えつきた太陽のある形而上的室内」 これは30年前にアポリネールの挿絵に書いたモチーフの再現ですが 月にコードがついているのが面白いですね
紹介記事は こちら
LCIセミナーは こちら
デ・キリコ展は こちら (2024.4.27~8.29)