この映画会は世界イタリア語週間の一環として行われた「特別上映会 芸術に生きる」としてダンテ・アリギエーリ協会の協力を得て開催されました
18世紀イタリアを代表する喜劇作家であり 近代演劇の父と謳われるカルロ・ゴルドーニ(1707~1703)の生涯を綴るドキュメンタリー映画で 最初に静岡文化芸術大学の高田和文氏による解説がありました
当時ヴェネツィアで大人気を博していたコンメディア・デッラルテ(commedia dell'arte) それは仮面をかぶりおどけてみせる仮面即興劇でパターン化されたものでした
それを写実主主義に基づき仮面をばすして台本中心とし 英雄ではなく市井の人々の喜怒哀楽を描く人物描写中心の演劇に改革しようとしたゴルドーニ(医師の息子で一度は弁護士となるも演劇を志す)はしかし カルロ・ゴッツィ等の従来の保守的な演劇人たちから攻撃され 55才でパリへと移住し そのままヴェネツィアで86才で息を引き取ります
あまりにもコンメディア・デッラルテが人気があったため イタリアではフランスのような写実主義が根付くのが遅れてしまったそうで 確かに映画の中に出てきたアルレッキーノのオーバーな身振り手振りを使ったおどけっぷりは大衆に受けるというのはよくわかりました
特に有名なのは「二人の主人を一度に持つと」(1746)で アルレッキーノの演劇は日本にも3回来日したとのこと
ゴルドーニが意を決してパリに移住したのに そこではなかなか仮面をはずした写実主義の演劇が受け入れられておらず そこで編み出したのが コンメディア・デッラルテしか演じられずフランス語も拙い俳優中心ではなく モノを主役として作品を創るアイディアによりフランスに移住後に生まれた「扇(ventaglio)」 ひとつの扇を巡って人々が色々な騒動を引き起こすというもので その後は群像劇に移ってゆきます
映画の中では従来のコンメディア・デッラルテを改革しようとするもなかなか改革が進まず カルロ・ゴッツィという保守的な演劇人に攻撃され パリのイタリア座というイタリア人劇団の誘いに乗り移住を決めるくだりの 奥様とのやり取りのシーンがとても面白かったです
パリではイタリア座との契約が切れたあとは フランス王家のイタリア語教師として働いたり 最後はフランス王室からの年金も尽きてしまい 理想の晩年とはいかなかったようです
こうしてゴルドーニの生涯をドキュメンタリー映画として見ることができたのは イタリア演劇の歴史を知る上でとても貴重なことでした
開催のお知らせは こちら
素晴らしいイベントを開催してくださいましたイタリア文化会館様に心よりお礼申し上げます
* 「二人の主人を一度に持つと」オペラシアターこんにゃく座の舞台は こちら(2014.12.11~12.14)
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