世界イタリア料理週間:講演会「ルネッサンスの料理 天才たちの食べ物」を聞きに行きました(2019.11.21)@イタリア文化会館
世界イタリア料理週間 この日は 13年前に私がイタリア語を初めて学んだベリッシモ・フランチェスコ先生の話されるルネッサンス時代の料理の講演会に 会員の方たちと行ってきました!
花束を渡して写真を撮り 先生は私たちのことちゃんと覚えていてくださりとても喜んでくださいました 本当によい思い出が出来ました もう13年ですよ~( *´艸`)
出会いを大切にする先生は 講演会の最後に 通訳の方にも拍手を送り一言お願いされました 常々黒子に徹していた通訳の方のご挨拶を 私はこの日初めて聞くことが出来ました
(独文学者の故小塩節先生もそういう方で 長旅の撮影クルーの方たちをも最後に拍手でねぎらう方でした...)
さて 講演会ですが 前半はまずシカゴ大学研究員ダニエレ・マクッリャ氏より ルネッサンス時代の食文化の歴史的背景について 後半はイタリア料理研究家ベリッシモ氏よりその当時の食材やレシピとその再現についての紹介 そして質疑応答という構成でした
* * *
ルネサンス時代は社会階層や またイタリア半島の場所によっても料理は大きく異なっており 料理も大変化を遂げた時代で 今とは大きく違います
バルトロメオ・スカッピ(Bartolomeo Scappi/1500-1577)は イタリア料理の最初のマニュアル本「Opera」(1570)を作り 厨房の道具もすべて表しました
↑
鍋(pentola)の数々
ナイフよりも鍋が当時は重視されており フォークは後期中世はまだなく (尖っており悪魔の道具のように見えた) フォークが使われる以前は主にスプーン(庶民は木のスプーン)を使っていたそうです
mangia beneと称して 中世とは違って見た目も大切にされ 上品で豪華な宴会(banchetto)が 富を誇示するために催されました 美食も芸術の一部でした
Giovanni della CasaのGALATEO (マナー) のことも紹介されました
火を起こしましたが火力調節が難しく外では風も吹きます そのため湯煎(bagnomaria)が主に用いられました
ルネサンス後期にはアメリカからピーマン 七面鳥 芋類等新しい様々な食材が入ってきました
クリストフォロ・ディ・メッシスブーゴの料理書 『Banchetti, composizioni di vivande e apparecchio generale(宴席:食べ物と諸々の道具立ての構成)』についても紹介されました
アンリ4世とメディチ家の結婚式のバンケットで出されたという砂糖の彫刻は 造形芸術の天才というべきもので 印刷技術の発展とともに料理書は学問 読み物ともなってゆきました
さて ダ・ヴィンチやミケランジェロは 何を食していたのか?に話題は移ります
シカゴ大学のサポートにより当時の料理が再現されたとのこと ダ・ヴィンチのアトランティコ手稿には 胡椒惹き(macinapepe) 皮むき器 回転焼肉機 コルク栓抜き(cavatappi)等が描かれており またルドヴィコ・スフォルツァは彼にワイン畑(vigna)を贈ったといわれます
さて ダ・ヴィンチはベジタリアンだったのでしょうか? これは不確かとのこと (私もネットで検索してみましたが そうではないか?というものがいくつか見つかりました) アトランティコ手稿213に よく食べることにに関する言葉がありご紹介いただきました 今でも通じることばかりですね
ミラノの「最後の晩餐」の絵が出てきました 特別な夕食は人生で重要な場面です 小さなナプキンが置かれていますね
そして ミケランジェロです 彼はダ・ヴィンチとは違って粗食だったそうで 庶民のシンプルな料理を食べていました 彼の弟子に買いに行かせた買い物リストを見てゆきました これを見るとベジタリアンではないことがわかりますね
* * *
次は イタリア料理研究家フランチェスコ・ベリッシモ氏による 当時の食材やレシピの再現についてのお話です
まずは ダニエレ・マクッリャ氏とのコラボのきっかけからお話いただきました
今と 500年前のルネサンス時代とは 食材も作り方も全然違います
海上共和国(Repubblica Marinale)の時代には インドから黒胡椒(pepe nero)が入り ヴェネツィアはその交易で富を得ました
ジェノヴァはアジア(インドや東南アジア)からバジル(basilico)を輸入しました 胡椒よりも安価ですね ジェノヴェーゼ・ソースはバジルを使ったジェノヴァのパスタですね
大理石の乳鉢(mortaio)を使ってバジルを曳きます ダビデ像が彫られたのも大理石ですね
そしてアメリカから 新食材が入ってくるようになりました カラブリアにはペペロンチーノ(唐辛子)が入り ンドゥィア(Nduja)という辛いサラミ類が生まれましたね
↑
インドからスパイス アメリカから入ってきた新しい食材
この時代にあった3つの困難とは 時間の観念が今と違うこと 火の扱いが難しいこと そのため湯煎(Bagnomaria)が用いられました そして水 冷やし方も これは冷蔵庫もないため ケーキを作るには涼しい夜がよい等の工夫が必要でした
そして お二人でアメリカのEATELYで行った ルネッサンス時代の料理の再現イベントについてご紹介くださいました
家庭ではパンが主食でありパン粉もあった 今も硬くなったパンを使って料理していますね
まぐろのステーキ これに胡椒をあしらいますが 当時はとても高価でしたね
さくらんぼのケーキには バラの花びらを散らします 黒胡椒やしょうがは保存にもよく 今のケーキよりも甘くなかったとのこと 甘味のバランスがよく繊細でした
そして最後に グラッパとAMAROのリキュールのお話をしてくださリ 質疑応答に入りました
ちなみに マッシモ・モンタナーリの本は イタリアの食文化を知るのによいとのこと また 当時は今のように乾燥パスタはなく 生パスタだったこと 中南米から入ってきたトマトは 昔はフルーツとして食べられていたが やがてトマトソースが生まれ メキシコでサルサに発展したことなど 興味深いお話をいただきました
開催のお知らせは こちら
素晴らしいイベントを開催してくださいましたイタリア文化会館様に 心よりお礼申し上げます
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世界イタリア料理週間 この日は 13年前に私がイタリア語を初めて学んだベリッシモ・フランチェスコ先生の話されるルネッサンス時代の料理の講演会に 会員の方たちと行ってきました!
花束を渡して写真を撮り 先生は私たちのことちゃんと覚えていてくださりとても喜んでくださいました 本当によい思い出が出来ました もう13年ですよ~( *´艸`)
出会いを大切にする先生は 講演会の最後に 通訳の方にも拍手を送り一言お願いされました 常々黒子に徹していた通訳の方のご挨拶を 私はこの日初めて聞くことが出来ました
(独文学者の故小塩節先生もそういう方で 長旅の撮影クルーの方たちをも最後に拍手でねぎらう方でした...)
さて 講演会ですが 前半はまずシカゴ大学研究員ダニエレ・マクッリャ氏より ルネッサンス時代の食文化の歴史的背景について 後半はイタリア料理研究家ベリッシモ氏よりその当時の食材やレシピとその再現についての紹介 そして質疑応答という構成でした
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ルネサンス時代は社会階層や またイタリア半島の場所によっても料理は大きく異なっており 料理も大変化を遂げた時代で 今とは大きく違います
バルトロメオ・スカッピ(Bartolomeo Scappi/1500-1577)は イタリア料理の最初のマニュアル本「Opera」(1570)を作り 厨房の道具もすべて表しました
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鍋(pentola)の数々
ナイフよりも鍋が当時は重視されており フォークは後期中世はまだなく (尖っており悪魔の道具のように見えた) フォークが使われる以前は主にスプーン(庶民は木のスプーン)を使っていたそうです
mangia beneと称して 中世とは違って見た目も大切にされ 上品で豪華な宴会(banchetto)が 富を誇示するために催されました 美食も芸術の一部でした
Giovanni della CasaのGALATEO (マナー) のことも紹介されました
火を起こしましたが火力調節が難しく外では風も吹きます そのため湯煎(bagnomaria)が主に用いられました
ルネサンス後期にはアメリカからピーマン 七面鳥 芋類等新しい様々な食材が入ってきました
クリストフォロ・ディ・メッシスブーゴの料理書 『Banchetti, composizioni di vivande e apparecchio generale(宴席:食べ物と諸々の道具立ての構成)』についても紹介されました
アンリ4世とメディチ家の結婚式のバンケットで出されたという砂糖の彫刻は 造形芸術の天才というべきもので 印刷技術の発展とともに料理書は学問 読み物ともなってゆきました
さて ダ・ヴィンチやミケランジェロは 何を食していたのか?に話題は移ります
シカゴ大学のサポートにより当時の料理が再現されたとのこと ダ・ヴィンチのアトランティコ手稿には 胡椒惹き(macinapepe) 皮むき器 回転焼肉機 コルク栓抜き(cavatappi)等が描かれており またルドヴィコ・スフォルツァは彼にワイン畑(vigna)を贈ったといわれます
さて ダ・ヴィンチはベジタリアンだったのでしょうか? これは不確かとのこと (私もネットで検索してみましたが そうではないか?というものがいくつか見つかりました) アトランティコ手稿213に よく食べることにに関する言葉がありご紹介いただきました 今でも通じることばかりですね
ミラノの「最後の晩餐」の絵が出てきました 特別な夕食は人生で重要な場面です 小さなナプキンが置かれていますね
そして ミケランジェロです 彼はダ・ヴィンチとは違って粗食だったそうで 庶民のシンプルな料理を食べていました 彼の弟子に買いに行かせた買い物リストを見てゆきました これを見るとベジタリアンではないことがわかりますね
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次は イタリア料理研究家フランチェスコ・ベリッシモ氏による 当時の食材やレシピの再現についてのお話です
まずは ダニエレ・マクッリャ氏とのコラボのきっかけからお話いただきました
今と 500年前のルネサンス時代とは 食材も作り方も全然違います
海上共和国(Repubblica Marinale)の時代には インドから黒胡椒(pepe nero)が入り ヴェネツィアはその交易で富を得ました
ジェノヴァはアジア(インドや東南アジア)からバジル(basilico)を輸入しました 胡椒よりも安価ですね ジェノヴェーゼ・ソースはバジルを使ったジェノヴァのパスタですね
大理石の乳鉢(mortaio)を使ってバジルを曳きます ダビデ像が彫られたのも大理石ですね
そしてアメリカから 新食材が入ってくるようになりました カラブリアにはペペロンチーノ(唐辛子)が入り ンドゥィア(Nduja)という辛いサラミ類が生まれましたね
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インドからスパイス アメリカから入ってきた新しい食材
この時代にあった3つの困難とは 時間の観念が今と違うこと 火の扱いが難しいこと そのため湯煎(Bagnomaria)が用いられました そして水 冷やし方も これは冷蔵庫もないため ケーキを作るには涼しい夜がよい等の工夫が必要でした
そして お二人でアメリカのEATELYで行った ルネッサンス時代の料理の再現イベントについてご紹介くださいました
家庭ではパンが主食でありパン粉もあった 今も硬くなったパンを使って料理していますね
まぐろのステーキ これに胡椒をあしらいますが 当時はとても高価でしたね
さくらんぼのケーキには バラの花びらを散らします 黒胡椒やしょうがは保存にもよく 今のケーキよりも甘くなかったとのこと 甘味のバランスがよく繊細でした
そして最後に グラッパとAMAROのリキュールのお話をしてくださリ 質疑応答に入りました
ちなみに マッシモ・モンタナーリの本は イタリアの食文化を知るのによいとのこと また 当時は今のように乾燥パスタはなく 生パスタだったこと 中南米から入ってきたトマトは 昔はフルーツとして食べられていたが やがてトマトソースが生まれ メキシコでサルサに発展したことなど 興味深いお話をいただきました
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素晴らしいイベントを開催してくださいましたイタリア文化会館様に 心よりお礼申し上げます
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