さて はちみつに続く2つめのセミナーは モデナ産のバルサミコ酢(Aceto Balsamico)です! テイスティングの差は明確で忘れられません... 家に帰って いつも使っているバルサミコ酢を思わず確認してしまいました(笑) ← モデナ産でしたが...何年物かな??
このセミナーでは モデナ産のトラディツィオナーレ・バルサミコ酢(Aceto Balsamico tradizionale)を中心に バルサミコ酢の歴史について説明していただきました
トラディツィオナーレだけがDOP(保護原産地呼称)の指定を受けられます
モデナのあるエミリア・ロマーニャ州は 赤ワインのランブルスコ 白ワインのトレビアーノ・ディ・スパーニャで知られる当地のワイン同様 バルサミコ酢の真髄となる地です
バルサミコ酢の原料は 白いぶどうの実から作られますが どうやってあの色(褐色)になるの? それはcottura(加熱)にその秘密があるのですね
vendemmia 葡萄の収穫
バルサミコ酢はローマ帝国崩壊後 エミリア・ロマーニャ州で作り始められたものです
ここには葡萄畑の丘(collina di vigne)が続きます 収穫は他よりも少し遅く9月末まで続き そのため糖度が上がります
pigiatura 圧搾手作業で収穫された葡萄は すぐに圧搾機にかけられます
cottura 加熱
白い果汁は銅(rame)の鍋で加熱されます 当時は女の仕事でした
90℃で加熱し 水分を蒸発させ(evapolare) 煮詰めることで甘味を凝縮させてゆきます
また殺菌も目的のひとつです
次に色を変えます 白からcaramellizaione del zucchero (糖分をカラメル状にする)のです
このことはあとから質問が出て 「瓶の材料にカラメルと書いてあるものもあるが?」との質問に 年数の若いものや安価なものはカラメルが入っているが 上質のもの 年数の長い伝統的バルサミコ酢には入っていないという詳しい説明をいただきました
そして味(gusto)と香り(aroma)も変わります
mosto cotto (煮詰められたぶどう果汁)は もし加熱しない場合はワインになる原料のことですね
加熱するとlimpido(澄んだ色)になり 上ずみを取りながら 長時間加熱してゆきます
この時 mostimetro babo という糖度計を使って糖度を計り ちょうどよいところで火を止めます
← 糖度計 mostrimetro babo
これは 水では沈み モスト(mosto)の中ではその糖度に応じて浮かぶのですね 初めて見ました!
maturazione e invecchiamento 熟成
ここで醸造所の写真を見ました 3階建てで 屋根裏部屋(solaio)に たくさんの木樽が置かれています 夏は暑く冬は寒く その温度差がよいのですね
バッテリア(batteria)と呼ばれる様々な木材の木樽があり 桜 オーク アカシア 栗等で その木樽がバルサミコ酢に味や香りを与えるのですね たとえばオークはバニラの香りなど...
← さまざまな木の樽
そして 大きな樽から次々と 年月をかけて少しずつ小さな樽に移し替えられてゆきます
40リットル 30リットル 20リットル 15リットル 10リットルの樽が順番に並べられており この大きさも計算されたものです
一番小さな10リットルの樽から 瓶詰(imbottiglare)されます ただし30%をリミットとしています
そして次の15リットルの樽から減った分を足し また20リットルの樽から...と繰り返され最後の40リットルの大きな樽にはこんどはmosto cotto giovane (まだ新しい煮詰められたぶどう果汁)を入れて熟成を重ねてゆくのですね...
* * *
さていよいよモデナ産バルサミコ酢のテイスティング(degustazione)です!
1. 8年以上熟成モデナ産バルサミコ酢 2. 12年以上熟成モデナ産トラディツィオナーレ・バルサミコ酢 3. 25年以上熟成モデナ産トラディツィオナーレ・バルサミコ酢 です
← 3種類のバルサミコ酢
(Wikipediaより補足)
トラディツィオナーレとほぼ同じ材料や工程ながら 熟成期間だけが短い6年もの・8年ものなど(no.1)は 最低12年の熟成が必要なトラディツィオナーレを名乗ったり(no.2,3) DOP指定を受けたりすることはできず ラベルには「トラディツィオナーレ」を伴わない「アチェート・バルサミコ」とある
印象的だったのは 色を見るのにろうそく(candella)の火にかざすのですね(上の写真) しかもampolla(アンポラ、ガラスの小瓶)に入れて... ロマンティック♡
まずは色(visivo/視覚)
pulito 不純物のない brillante 輝く denso 濃縮した limpido 澄んだ 等を習いました (今まで形容詞を色々教わったのですが この日とうとう役立ちました~)
次に香り(olfattivo/嗅覚の)
1.はツンとした(pungere)匂いが 注がれた時から少しですがしていましたが 2.も3.もそれがなくて...3.の25年ものは酸味はほとんどなくて 梅のような感じでした
そして 味(gustativo/味覚の)
1. は刺激が弱く むせる感じも少ない サラサラで(fluido) 少しとろみがあり 甘酸っぱい(agrodolce)です
2.は桜や栗の香りがして 甘く熟していて(maturo) そして3.は 栗の味もして イチゴにかけるとよいそうです 加熱料理には使いません
質問は ワインやオリーブオイルと違って 瓶を開けたら酸化しないのか?とのことですが ワインはアルコールが オリーブオイルは脂質がそれぞれ酸化するが バルサミコ酢はそれが入っていないので酸化はしないとのこと
ただ光に当てないことが大切であり バルサミコ酢は色を見ることも大切な判断基準なので ガラス瓶に入っているのですが そのため箱にしまっておくとよいそうです
初めての25年もののバルサミコ酢の味にうっとり...💛 家にあるモデナ産のバルサミコ酢は気楽にお料理に使っています(笑)
緊張しながらひとしずくずつスプーンにバルサミコ酢を垂らしてくださったイタリア人スタッフに こちらもスプーンをしっかり持って緊張しながら待っていました~ 高価なバルサミコ酢だものね(^.^)
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素晴らしいイベントを開催してくださいましたイタリア文化会館様に心よりお礼申し上げます
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