2022年の日本の無形文化遺産 風流踊(ふりゅうおどり) 41件-その1
2022年の 日本の無形文化遺産に「風流踊」が決定しました!! 嬉しいニュースですね😊
ニュースは こちら
EN: Furyu-odori, ritual dances imbued with people’s hopes and prayers
『風流踊』(ふりゅうおどり)は中世芸能のひとつで 鉦(しょう/かね)・太鼓・笛など 囃しものの器楽演奏や小歌に合わせて 様々な衣装を着た人びとが群舞する踊りで 室町時代に流行しました
日本のサイトは こちら← 写真が見られます
文化庁のサイトは こちら
37の風流踊の一覧は こちら
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24都府県の計41件。いずれも国の重要無形民俗文化財。2009年に無形文化遺産に登録された「チャッキラコ」(神奈川)に加える形で、ひとまとめでの登録になり、日本の無形文化遺産の登録数は22件のままだ。
「我が国のユネスコ無形文化遺産の審査は実質2年に1件となっており,本件提案についても2022年11月頃に審議となる可能性が高い。」とありました
ユネスコの2022年の無形文化遺産候補の国別リストは こちら
NHKスペイン語ニュースは こちら
(スペイン語の説明) “Furyu-odori” son bailes folklóricos rituales acompañados por una alegre música. La Dirección de Asuntos Culturales de Japón explica que las danzas se han transmitido por generaciones en las comunidades. Asimismo, indica que son una parte importante de la cultura japonesa, pero que también cumplen un papel social. Agrega que los bailes pueden ofrecer consuelo espiritual a la gente afectada por desastres naturales.
「風流踊」とは 陽気な音楽に伴われた典礼の民族伝承の踊りです。
日本の文化庁は これらの踊りはコミュニティの中で 世代を超えて受け継がれてきたと説明しています。
また同様に、日本文化の重要な一面をも示しており、社会的役割もまた担っていると示しています。
この踊りは自然災害に見舞われた人々に 精神的な慰めを与えられるとも言われます。
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「風流踊」(danza raffinata)
華やかな(brillante)、人目を惹く(appariscente)、という「風流」(raffinato)の精神を体現し(impersonare)、衣裳や持ちものに趣向をこらして、歌や笛、太鼓(le percussioni)、鉦(かね/campana)などに合わせて踊る民俗芸能(arte folclorico)。
除災(prevenzione delle calamità)や死者供養(rito funebre)豊作祈願(augurio del buon raccolto)、雨乞い(danza della pioggia)など、安寧な暮らしを願う人々の祈り(preghiera)が込められている。
祭礼や年中行事(manifestazione annual)などの機会に 地域の(zonale)人々が世代を超えて参加する。
それぞれの地域の歴史と風土(temperie/clima)を反映し(riflettere)、多彩な姿で今日まで続く風流踊は、地域の活力の源として 大きな役割を果たしている。
3.分 野 民俗芸能(arte folclorico)
4.構 成 国指定重要無形民俗文化財(beni culturali importanti immateriali folclorici prescritti dallo stato)である 37 件← 41件に追加されました
提案要旨
○「風流踊」は、広く親しまれている盆踊や、小歌踊、念仏踊、太鼓踊など、各地の歴史 や風土に応じて様々な形で伝承されてきた民俗芸能。
華やかな、人目を惹くという「風 流」の精神を体現し、衣裳や持ちものに趣向をこらして、笛、太鼓、鉦などで囃し立て、 賑やかに踊ることにより、災厄を祓い、安寧な暮らしがもたされることを願うという共 通の特徴をもつ。
○世代を超え、地域全体で伝承されていることから、地域社会の核ともなる役割を果たし ている。
その起源は中世に由来し、時代に応じて変化しながら、今日まで伝承されている。長い伝統を背景に、特に災害の多い日本では、被災地域の復興(restaurazione)の精神的な基盤ともなるなど、文化的な意味だけでなく、社会的な機能も有する。
○各地で受け継がれてきた「風流踊」のユネスコ無形文化遺産代表一覧表への登録は,地域間の対話や交流を促進し、地域の人々の絆(きずな/vincolo)としての役割をもつ無形文化遺産の保護・伝承の事例として、国際社会における無形文化遺産の保護の取組に大きく貢献する。
写真: おにけんばい 鬼剣舞
次は 37件をひとつずつご紹介します😊
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1. 永井(ながい)の大念仏剣舞(けんばい/danza della spada):岩手県盛岡市永井に伝承される、大念 仏 剣 舞 。大笠(copricapo)を振るの が特色。念 仏(recitare il nome dell’Amidabha)の風流芸 (l’arte raffinate)としての特色を濃厚に持 ち、念仏歌としてもすぐれたものを持つ。
2. 鬼剣舞 (おにけんばい/danza della spada dei demoni): 岩手県北上市 、奥州市。忿怒(collera)の形相の仮面を掛けて踊る剣舞(danza della spada)が鬼(demonio)剣舞と呼ばれる。鬼剣舞は勇壮で力強くダイナミックな動作の群舞。鬼ではなく仏の化身(incarnazione)であり、面には角(corno)がない。
鬼剣舞
3. 西馬音内(にしもない)の盆踊(danza folcloristica per la festa dei morti): 秋田県雄勝郡羽後町 8月 16日から18日に行われる盆踊。端縫と呼ばれる端布(scampolo)を縫い合わせた風雅な着物や藍染め(colorante indigoide)の浴衣(kimono estivo)に白足袋(calze tradizionali Bianchi)といういでたち(abito)に、編み笠(copricapo allaciata)または亡者をかたどったという言い伝え(legenda)を残す彦三頭巾と呼ばれる黒頭巾(cappuccino nero)をかぶり、顔を見せないようにして踊る。盆に精霊(spirito)とともに踊るという供養踊(danza commemorative)の伝承の面影(l’aspetto)をいまに伝えている。
4. 毛馬内(けまない)の盆踊(danza folcloristica): 秋田県鹿角(かづの)市毛馬内に伝承され(si tramanda)、8月21日から23日 にかけて行われる盆踊り。祖先(antenati)供養(commemorare)の意味をもつといわれる「大の坂踊り」と、より娯楽的(svago)な甚句(じんく」踊り」の2つの踊りがあり、現在はこれらの後に、「鹿 角じょんがら」と称してじょんがら節を余興(intrattenimento)として踊る。手ぬぐいで頬被りをして(coprendosi la testa con un asciugamano)踊る。
5. 小河内(おごうち)の鹿島踊(かしまおどり):東京都西多摩郡奥多摩町 もとは西多摩郡小河内村で伝えられ ていたが、この地がダム(diga)で水没した(fu sommerso)ため、移転した人々によって保存(conservazione) 会が作られ、伝承されている。近世初頭の風流の小歌踊(danza con ballata)の系脈を伝えているもので、 踊り振り(coreografia)には初期歌舞伎踊の遺風(traccia)が認められる。踊はすべて女装姿の(travestito da donna)青年によって踊られ、囃子(accompagnamento musicale)は、笛、太鼓(tamburo)である。
6. 新島(にいじま)の大踊(おおおどり/ballo grande): 東京都新島村 本村と若郷に伝承される小歌踊(danza con ballata)で、それぞれ盆に踊られている。踊りの所作(gesti)や風流傘 (copricapo raffinato)など、中世に流行した 風流踊の遺風が認められる。笠(copricapo)をかぶり印籠(portapillole)を身に着ける
新島の大踊
7. 下平井(しもひらい)の鳳凰(fenice)の舞(danza): 東京都西多摩郡日の出町 9月末の春日神社の祭礼(riti)時に 演じられる民俗芸能(arte folcloristica)で、「奴の舞」と「鳳凰の舞」で構成される。「鳳凰の舞」は、大太鼓を中心 (intorno al tamburo grande)に三重の円(cerchio triplice)を描くように位置した踊り手(danzatori)が大太鼓を打ちつつ(battere le percussioni)勇壮(eroico)活発にその周囲を踊るもの。また、「奴の舞」は、所作や台詞まわし(dizione)に歌舞伎の影響がみえるものである。
8. チャッキラコ: 神奈川県三浦市。 左義長の舞、初瀬踊ともいわれ、1月15日に踊られる。チャッキラコの名は、採物(とりもの/strumento)のコキリコから音転訛したもの(deformato)ともいわれる。囃子(はやし/musica)のことばを返しながら踊るその姿は近世初頭に流行した小歌踊(danza con ballata)をしのばせる(si ricorda)。 2009年ユネスコ無形文化遺産保護条約「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載された(計13件)。
チャッキラコ
9. 山北(やまきた)のお峰入り:神奈川県足柄上郡山北町。現在は5年に一度開催される。峰入りという名称は 一般には修験道(la via del potere spirituale mediante l’ascesi)の入峰修行(pratiche ascetiche)を意味し、皆 瀬川地区はかつて山岳修行(praticha alpina)の行場の一つであった。なかでも修行踊(danza di pratica) は山伏(Monaco buddhista)修行の印象をよく表現している。大規模な(su vasta scala)風流芸能の一つ。
10. 綾子舞(あやこまい):新潟県柏崎市 黒姫山の麓(ai piedi)、女谷の高原田、下野に伝承され、毎年9月に現地で演じられる。小歌踊(danza con ballata)、囃子舞(danza con l’accompagnamento musicale)、狂言(kyogen,farsa rappresenata tra due drammi nõ)の3種に分かれ、歌踊は長いたもとの振袖(kimono a maniche larghe)にだらりの帯(cintura)、ユライと称する赤布を頭にかぶった少女の舞踊で、初期歌舞伎踊を知る上で重要である。
11. 大(だい)の阪:新潟県魚沼市に伝わる盆踊(danza folcloristica per la festa dei morti) 8月14日から16日の3日間、八幡宮境内(giardino del tempio)に櫓(やぐら/torre)を建て、その周りで踊られる。踊 りは太鼓の拍子に合わせて左回りに(sinistroso)踊る素朴なもので、緩やかな足の運びや手振りは古風を感じさせて優美である。歌は音頭取り(dirigente)と踊り子が歌い交わし(scambiare)、どの歌詞(parole di canzone)にも「南無西方」の文句が入る。伝統的な祖先供養(commemorare gli antenati)の 盆踊。
12. 無生野(むしょうの)の大念仏(recitare il nome dell’Amitabha): 山梨県上野原市 ドウジョウ(道場/palestra)と呼ぶ 区 画(divisione)を設けて踊りの場とし、御幣(ごへい)などで飾り、中央に太鼓を据え る。地域の人々が太鼓と鉦(かね/gong)を鳴らして経典(sutra)などを唱え(recitare)、 締太鼓や太刀を持っ て、その周囲をめぐり(ruotare)踊るものである。
病気平癒(guarigione)など祈祷(preghiera)の意味をもつものがあるなど、祭祀(funzione divini)行事から芸能(intrattanimento)へと展開していく過程を示す。
13. 跡部(あとべ)の踊り念仏(recitare ballando il nome dell’Amitabha):長野県佐久市 4月の第1日曜日に、西方寺の本堂(padiglione principale)で行われている。鎌倉時代に時宗(じしゅう/seta Jodo-shinshu)の開祖(fondatore)の一遍上人(santo Ippen)が、現在の長野県佐久市を訪れ、念仏供養(consolazione)を行ったところ、人びとが念仏を唱えながら(recitare)自然に踊りだしたのが始まりであると伝えられる。踊り手が踊りながら法悦の境地に至る(andare in estasi religiosa)という踊り念仏の本来の姿をうかがわせるもの。
14. 和合(わごう/concordia)の念仏踊:長野県下伊那郡阿南町 毎年8月13日から16日の間、毎晩踊ら れる太鼓を中心とした念仏踊で、「庭入り」「念 仏」「和讃」で構成される。14日と15日には新仏 (defunti nuovi)の位牌(tavoletta mortuaria)を寺に集め 、新仏供養のためにも踊る。
その2に つづく