くらしナビ・学ぶ:イタリア、学力「最低」の背景−−OECD国際成人力調査(2013.11.25)@毎日新聞くらしナビ
毎日新聞 2013年11月25日(月) 東京朝刊「くらしナビ」より:
日米欧などの先進国でつくる経済協力開発機構(OECD)が24カ国・地域の成人(16〜65歳)を対象に、読解力などを調べた国際成人力調査(10月8日発表)。イタリアは「読解力」と「数的思考力」の2分野でスペインと並び最低レベルの結果となった。なぜなのか。専門家の間では、経済危機の高等教育現場へのしわ寄せ、就職難による「ニート」の増加のほかイタリアの国民性や教育事情を指摘する声が出ている。
「イタリア人は読み書きができない」。イタリア紙レプブリカはOECD調査結果をそう報じた。同紙によると、ジョバンニーニ労働・社会政策相とカッロッツァ教育・大学・研究相は「勉強せず、働いてもいないニートの状況が懸念材料だ」と危機感を表明した。
政府の経済労働国家諮問会議の報告書(2011年)によると、25〜30歳の若者のうちニートは28・8%。経済危機の影響で企業が新規採用を控えているため若年層の失業率は高く、不満も募っている。
●移民対応できず
新天地を求めてイタリアに来た移民への教育状況を指摘する声もある。地中海に面するイタリアはアフリカや中東から欧州を目指す移民の玄関口。移民は総人口(約6085万人)の1割弱に相当する約457万人(11年)に上る。(中略)
●ルール嫌う性格
さらに南欧のイタリアには堅苦しいルールの押し付けを嫌う国民性があり、その影響が調査結果に出ている可能性もありそうだ。ベテローネ教授は「イタリアの若者はルールが嫌いなので、文法であっても規則を学ぶのを拒む」と解説する。
イタリアの学校教育水準は「幼稚園・小学校は高いが、上に行くと低下する」(イタリア在住フランス人主婦)と言われる。ベテローネ教授は「小学校の教諭は教育学をしっかり身に着けているケースが多いが、高校などではおざなりだ」と構造的な問題も挙げる。
イタリアの高等教育や若者政策に詳しい立命館大教育開発推進機構の土岐智賀子講師は「欧州連合(EU)創設前は国が教育政策に力を入れていると言い難かった。就職にコネが働き、高等教育の卒業資格が生きない。自営業率も高く、総じて学歴は低い」と分析する。
大学への進学率は1980年に3割弱。2003年に6割に近づいたが現在は低下傾向という。「大学中退者を含めて多くの若者がニートの状態で国民の教育力を低いものにしている」という。【ローマ福島良典】
◇トップ日本、人材活用に遅れ
一方、日本は「読解力」「数的思考力」の両分野の平均点はトップだった。だが、OECD教育局のアンドレア・シュライヒャー次長は10月31日、日本記者クラブで記者会見し、結果を評価しながらも「優れた人材がありながら効果的に活用されていない」と苦言も呈した。
(中略)OECD加盟国で、日本の男女の賃金格差は韓国に次いで2番目に大きく、上場企業の女性役員の割合は最低だ。
シュライヒャー次長は「同じ経済大国である米国と対照的。米国は人材が活用されている」と日本が女性を積極的に活用するよう指摘し「今は知識を用いて何をするのかが重視されている。創意工夫を凝らして、主体的に物事を動かす能力を伸ばすべきだ」と強調した。【水戸健一】
==============
◇国際成人力調査(PIAAC)
OECDが加盟国・地域の16〜65歳を中心に、2011〜12年にかけて社会生活に必要とされる能力を初めて測った。1カ国当たり6000人前後で計15万7000人を調査。15歳の生徒を対象にした学習到達度調査(PISA)の大人版とされる。
==============
詳しくは こちら
* 日本女性の社会進出も先進国の中では遅れています (大企業での女性管理職は約1割)
なお 日本は一位とありますが 抽出した層が偏っているという指摘もあり (自信のある人が受けているため無作為とはいい難い) そしてその能力が正しく社会で活かされているのかも疑問だそうです
イタリアと日本の比較(もちろんイタリアだけではなく) イタリアに憧れるだけではなく その良い面も悪い面も見てゆき 日伊比較にも日頃からアンテナを研ぎ澄ませておきたいと思います (勉強も進んでくると必ずこれにつきあたります)
イタリアのことを知らない人から色々言われるのは悔しいですが せめて背景を知ってちゃんと説明できるようにしたいと思います それに 良い面悪い面をちゃんと知った上で長くおつきあいしたいですしね!
イタリア語 ブログランキングへ
にほんブログ村
毎日新聞 2013年11月25日(月) 東京朝刊「くらしナビ」より:
日米欧などの先進国でつくる経済協力開発機構(OECD)が24カ国・地域の成人(16〜65歳)を対象に、読解力などを調べた国際成人力調査(10月8日発表)。イタリアは「読解力」と「数的思考力」の2分野でスペインと並び最低レベルの結果となった。なぜなのか。専門家の間では、経済危機の高等教育現場へのしわ寄せ、就職難による「ニート」の増加のほかイタリアの国民性や教育事情を指摘する声が出ている。
「イタリア人は読み書きができない」。イタリア紙レプブリカはOECD調査結果をそう報じた。同紙によると、ジョバンニーニ労働・社会政策相とカッロッツァ教育・大学・研究相は「勉強せず、働いてもいないニートの状況が懸念材料だ」と危機感を表明した。
政府の経済労働国家諮問会議の報告書(2011年)によると、25〜30歳の若者のうちニートは28・8%。経済危機の影響で企業が新規採用を控えているため若年層の失業率は高く、不満も募っている。
●移民対応できず
新天地を求めてイタリアに来た移民への教育状況を指摘する声もある。地中海に面するイタリアはアフリカや中東から欧州を目指す移民の玄関口。移民は総人口(約6085万人)の1割弱に相当する約457万人(11年)に上る。(中略)
●ルール嫌う性格
さらに南欧のイタリアには堅苦しいルールの押し付けを嫌う国民性があり、その影響が調査結果に出ている可能性もありそうだ。ベテローネ教授は「イタリアの若者はルールが嫌いなので、文法であっても規則を学ぶのを拒む」と解説する。
イタリアの学校教育水準は「幼稚園・小学校は高いが、上に行くと低下する」(イタリア在住フランス人主婦)と言われる。ベテローネ教授は「小学校の教諭は教育学をしっかり身に着けているケースが多いが、高校などではおざなりだ」と構造的な問題も挙げる。
イタリアの高等教育や若者政策に詳しい立命館大教育開発推進機構の土岐智賀子講師は「欧州連合(EU)創設前は国が教育政策に力を入れていると言い難かった。就職にコネが働き、高等教育の卒業資格が生きない。自営業率も高く、総じて学歴は低い」と分析する。
大学への進学率は1980年に3割弱。2003年に6割に近づいたが現在は低下傾向という。「大学中退者を含めて多くの若者がニートの状態で国民の教育力を低いものにしている」という。【ローマ福島良典】
◇トップ日本、人材活用に遅れ
一方、日本は「読解力」「数的思考力」の両分野の平均点はトップだった。だが、OECD教育局のアンドレア・シュライヒャー次長は10月31日、日本記者クラブで記者会見し、結果を評価しながらも「優れた人材がありながら効果的に活用されていない」と苦言も呈した。
(中略)OECD加盟国で、日本の男女の賃金格差は韓国に次いで2番目に大きく、上場企業の女性役員の割合は最低だ。
シュライヒャー次長は「同じ経済大国である米国と対照的。米国は人材が活用されている」と日本が女性を積極的に活用するよう指摘し「今は知識を用いて何をするのかが重視されている。創意工夫を凝らして、主体的に物事を動かす能力を伸ばすべきだ」と強調した。【水戸健一】
==============
◇国際成人力調査(PIAAC)
OECDが加盟国・地域の16〜65歳を中心に、2011〜12年にかけて社会生活に必要とされる能力を初めて測った。1カ国当たり6000人前後で計15万7000人を調査。15歳の生徒を対象にした学習到達度調査(PISA)の大人版とされる。
==============
詳しくは こちら
* 日本女性の社会進出も先進国の中では遅れています (大企業での女性管理職は約1割)
なお 日本は一位とありますが 抽出した層が偏っているという指摘もあり (自信のある人が受けているため無作為とはいい難い) そしてその能力が正しく社会で活かされているのかも疑問だそうです
イタリアと日本の比較(もちろんイタリアだけではなく) イタリアに憧れるだけではなく その良い面も悪い面も見てゆき 日伊比較にも日頃からアンテナを研ぎ澄ませておきたいと思います (勉強も進んでくると必ずこれにつきあたります)
イタリアのことを知らない人から色々言われるのは悔しいですが せめて背景を知ってちゃんと説明できるようにしたいと思います それに 良い面悪い面をちゃんと知った上で長くおつきあいしたいですしね!

