昨日の続きです。ちょっとおさらいしましょう。
戦術とは、戦いに勝つための個々の具体的な方法でしたね。
これに対して、戦略とは、勝つための大局的な方向性のことです。
野球に例えれば、守りを重視したチームを作ろうと考えるのが、戦略です。
そして、守備練習をしてエラーを無くすことや、投手の技術を強化することが戦術です。
今日は、戦略について、もう少し深く考えてみたいと思います。
僕たちは、目的を達成するために、普通はどうしますか?
まず、実行すべき事柄を数値化して、目標を立てます。
その目標が達成できたら、もう一つ上のレベルの目標を立てる。
このようにして、一つ一つ目的に向かって進んでいく。
これを順次戦略といいます。
これに対して、違った角度からの戦略の立て方があります。
それを累積戦略といいます。
この累積戦略は、直接に目的達成に役立つかどうか分からないが、とりあえずコツコツとひたすらやり続ける戦略です。おおぴらにしないで密かにやっていくのが特徴です。
ちょっと分かりづらいですね。
しかし、今日一番言いたいことのポイントは、この累積戦略にあります。
地政学者の奥山真司さんの著書「武器を捨ててしまおう」に、この2つの戦略がくわしく書かれています。
その中に、面白い例があったので、ちょっと紹介しましょう。
奥山さんの友人に、婚活パーティーの会社を経営している社長さんがいるそうです
彼は浪人時代に始めた新聞配達を、大学が終わるまで5年間続けました。
そして、大学を卒業して、生命保険の会社に就職して、営業職についた。
営業の成績があまりにも良いので、フリーの代理店を作って独立したそうです。
それで独立資金を得るために、また新聞配達を始めました。
そうしながら、婚活の会社を作って、ビジネスで大成功しました。
年収は軽く億単位になったそうです。
しかし、それにもかかわらず、新聞配達を続けたそうです。
ベンツに乗って、高速代を払って、販売店に行って新聞配達をした。
交通費を考えると、配達に行くこと自体が赤字になったそうです。
しかし、雨が降ろうが風が吹こうが、忙しくて体を壊す可能性があるにも関わらず、新聞配達をやめなかった。
なぜでしょうか?
彼にとって新聞配達は神聖な行為でした。
そして、新聞配達をすることが、彼にとっての累積戦略だったのです。
不合理ですが、コツコツと苦労して継続することが、彼に揺るぎない自信を与えたのです。
また配達中、いろんなビジネスのアイディアが浮かんだそうです。
新聞配達は無駄なようで、遠回しに彼のビジネスに役立っていました。
順次戦略は、目標を数値化・ビジュアル化し合理的に行う戦略です。
これに対して、累積戦略は、役に立つか分からない行為を、コツコツと反復していく戦略です。
非合理で人に見せずに行います。役に立つか不明確ですが、ある日突然成果が出てきます。
真面目にコツコツやる日本人の性格から考えると、この累積戦略は日本人の得意とするところかも知れません。
だから、最近は目標を明確化する順次戦略にスポットが当てられていました。
しかし、累積戦略も順次戦略と同様に重要です。
たとえば、昔は「毎日、便所掃除を自分でしなさい」みたいな教えがありましたよね。
最近の考え方だと「くだらない。そんな時間があったら掃除のおばさんにやらせればいいんだ」みたいなことになるでしょう。
しかし、昔の人の言葉にも、やっぱり大事な意味があったのです。
目的を達成するためには、その目的に向かって明確に物事を進めていく戦略と、役に立つかどうかわからないがコツコツと地道にやっていく戦略の両方が必要なんです。
今日は、この不合理だが、地道にやっていく重要さを知ってほしくて書いてみました。
ブログもコツコツと地道に書いていれば、自分の目的に役に立つかも知れませんね。