昨日のブログで、「時間は物の動きだ」と言いました。
もう少しツッコんで話してみたいと思います。
でも、ややこしい話は、ばっさり切り取りました。僕たちに必要ないからです。
大まかな流れだけつかみましょう。それで十分です。
まず、物理学の流れをおさらいしましょう。
1、ニュートンの物理学 「絶対時間」
2、アインシュタインの相対性理論 「相対的時間」
3、量子力学 「時間は存在しない」
この流れで説明してみます。
1、ニュートン力学 日常空間での物理原理
ニュートンの力学は、日常空間に関する物理法則です。今も有効な考え方です。
ニュートンは、物体があろうがなかろうが、動いていようがいまいが、時間は同じテンポで、ひたすら流れ続けると考えました。
これを絶対時間といいます。
これは僕たちの普通の感覚だと思います。
普通に生きていく分には、これで良いでしょう。
しかし、この絶対時間に対して、オーストリアの物理学者マッハが、宇宙のあらゆる物質が無くなったら変化が起こらないので、時間は存在しないと言いました。
それが、昨日のブログで言った話です。
たしかに、物質がないのに時間が流れると考えるのは不毛です。
2、相対性理論 宇宙での物理原理「相対的時間」
アインシュタインは、相対性理論を唱えました。
この理論が適用されるのは、少し広い空間で、主に宇宙空間です。
いろいろとありますが、ややこしい話は抜きにします。
簡単に、2点だけに絞って話しします。
①「動いている物体は、時間の流れが遅くなる」
②「強い重力を受けるほど、時間の流れは遅くなる」というものです。
①について、航空機に原子時計を乗せて、時間を計ったところ、わずかに時間が遅れることが確認されています。
航空機は、かなりのスピードで動いているからです。
仮説ですが、パイロットやトラックの運転手は、常に動いていますから、ちょっと歳を取るのが遅れるのかもしれませんね。
②についてです。
東京スカイツリーにある原子時計(100億年経っても一秒もずれない)が、わずかに進むことが確認されました。
高い位置にあると、重力が弱まるからです。
この理論によると、高地に住んでいる人や高層ビルの住んでいる人は、歳を取るのが早いのかもしれません。
このように、①や②のときに、環境によって時間の流れが違うため、相対的時間と言われるのです。
ここまではなんとか理解できる範囲ですね。どうですか?
問題は次です。
3、量子力学 極小な空間での物理学
アインシュタインの相対性理論に対して、量子力学はミクロの物理学です。
量子とは、原子の中にある電子・陽子・中性子などです。
原子だって小さいのに、その中にあるもっと小さい物質です。
これらの物質は、相対性理論とは、まったく違う動きをします。
原子の周りを回っている電子は、地球の周りを回る月のように重力で動いているわけではありません。
量子は、誰も見ていないときは波のような動きをします。
しかし、観測すると粒子に変わります。
観測するかしないかで、性質が変わるという変な物質です。
これを発見したのが、有名な二重スリット実験です
見るという行為は、光がないとできませんので、その光が量子に影響を与えていると言われています。
そして、量子は、どの場所にいるかはまったく定まっておらず、見たときの偶然に左右されるのです。
時系列に沿った動きがなく、瞬時にどこかに移動します。
相対性理論では、相対的ではあるものの、物の動きと時間とは密接なつながりがありました。
しかし、量子論では、時間と物質のつながりはありません。
だから、量子論によれば「時間は存在しない」と言われるのです。
大きな宇宙の物理理論と極小の世界の量子理論が、矛盾してしまいます。
それを統合的に考えるため、科学者が日夜努力しています。
超弦理論とかそうですね。さっぱりわかりませんが。
しかし、整合的に説明できているとは言えません。
それをどう考えるかが、これからの課題になります。
正直言って、量子論を完璧に理解する必要はありません。
僕たちの理解を超えています。
ただ、そういう世界があることは知っておいたほうが良いでしょう。