情けなくて暗澹としてきて、未来に一切の希望のなくなる、泣くしかないような気持ちになる映画です。100,000年後の安全 - Wikipedia
フィンランドのオンカロを取り上げた2010年のドキュメンタリー。
エネルギー確保のため、建設を続けてきた原発。でも、いまだに廃棄物をどうするかについては、妙案がない。核のゴミの行き先を不安視する側は、「処分場を造らない原発は、トイレのないマンションを作るようなものだ」と形容するほど、片手落ちの事業とみています。
オンカロは、地下深くに掘られた放射性廃棄物の貯蔵場所。地下道を掘っていき、爆破させながらさらにまた掘っていきます。2010年の時点であと100年分の廃棄物をここに捨てることができる、とのことです。そこに貯められた廃棄物は厳重に封印され、安全な状態になるのを待ちます。
待つ、といっても、廃棄物が安全な状態になるのは10万年後。それまでに、人類が生き延びているかどうかわからないし、いたとしても現在の言葉が通じるかどうかも不明。
今から10万年前は、ヨーロッパではネアンデルタール人がいたころだそう。彼らと私たち現代人との間で、きちんとしたコミュケーションが成り立つかどうかまったくわかりません。成り立たないと考えるほうが自然。
10万年を待たずして、オンカロに関するすべての情報がなくなってしまうか解読できなくなっているときに、だれかがこの深い深い洞窟を探し当て、秘密のたからが埋められていると勘違いして掘削を始めたらどうなるか。彼らが放射能の存在を知らなかったら? 今の科学技術すらすべて失われていたら?
オンカロを運営している会社の上層部も関係しているらしい学者も、楽天的なことは何も言えない。映画製作者の質問に、口ごもるばかり。
この、ものすごくしっかりできた処分場に入る核のゴミはフィンランドの全土で出るごみのまだ一部だそう。世界規模で言ったら、ほんの一握り。そして、オンカロほどのしっかりした処分場は、この地球上には一つもないのです。
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