アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

今期の醤油ができました。

2022-01-02 16:23:25 | 稲武醤友クラブ

  今期で5年めか6年めか、覚えていませんが、友人たちと私の自宅で醤油の醸造を始めて、結構な年になりました。

  春に仕込んで、冬に絞る。このパターンで、今年もなんとか大したことも起こらず、昨年末、無事絞りの日を迎えました。

   これが、9か月間醸造した私たちのもろみ。絞り師の井上時満さんが、見るなり、「あ、これはもしかしたら!!」。真ん中が他と違う。なめるとここだけ塩辛くない。「かびる寸前」なのだそうです。最後の最後にこんなことがあるなんて。

   「でも、大丈夫。カビ予備軍かもしれない、という段階だから」井上さんの言葉に安堵し、いつもどおり作業開始。湯を入れて混ぜ、適度の濃さになったら、絞りの袋に入れていきます。

   湯はかまどで。絞りの日の最初の仕事は、かまどに火をつけて、湯を沸かすことです。

   もろみを袋に入れて、平たくして積んでいきます。

    そして、上から圧をかけると、生醤油が出てきます。

   去年はまだ歩けなかったこの男の子。今年は興味津々で醤油の垂れるのを見ています。

  そろそろ、なめ始めそう。

  今期の醤油は、いつもと違って、ずっと同じ場所に置き続けました。いつもは、冷暗所にしばらくおいて、そのあと、外にある醤油蔵に移動していました。

  でも今年は、最初から外の蔵に入れて、周囲を黒い寒冷紗で覆い、1~2か月たってから寒冷紗をはがして、そのまま12月まで過ごしました。最初から外に置いた理由は、通気性。建物内部だとどうしても湿気がこもってカビが生えやすいように思い、最初から風通しのいい場所に置いてみたのでした。

  期待通り、今年は一度も白いカビは生えず、順調に梅雨と夏の時期を過ごしました。こころなしか、蒸発がはやくて、いつもよりドロッとしたもろみになった気がします。

  味はいい。塩辛さがたっていない。毎年、別の場所で作っている知人から醤油を分けてもらうのですが、彼女の醤油のほうが、いつも私たちの醤油より味がまったりしていておいしい、と思っていました。でも今年の醤油は、彼女たちの醤油に匹敵するおいしさになったかも。

   パンデミックのため、去年も今年も、以前のようなごちそうは作りませんが、お昼ごはんには、もちよりの野菜と昆布だしで汁を作り、地元のうどん屋・末広家の生うどんを用意。搾りたての生醤油をたっぷり入れて調味した、温かい汁と、生醤油をかけたうどんがことのほかおいしい。

  お昼からは、袋に残った搾りかすを取り出して袋を洗います。

   そして醤油のほうは井上さんが味を見て水を足し、大きな羽釜で加熱します。これで一年分の醤油の完成です。

   この日は、熱い醤油を桶に戻して作業は終了。

   桶の中の醤油は、こののち1週間から10日ほど静置して、上方が澄んでくるのを待ちます。

    9日後、メンバーが再度集まり、醤油の分配をしました。

    1升瓶にして32本強、取れました。メンバー4人の家族の1年分の醤油です。今年は、同じ作り方をしている他のグループいくつかと醤油の交換をして、味比べをしようと思います。

    毎年、使った塩、置き場所、仕込みの時期、世話の仕方、天候、気温などなどによって、味が微妙に違います。今年は、これまでで一番満足できる味になったと、一同自負。今期初めてメンバーに加わった友人は、いつもと全く同じ材料で同じ作り方をしたチャーハンが、搾りたての生醤油のおかげで、ぐんとおいしくなった、と喜んでくれました。

   私は、隣村の名倉の三川農園の無農薬有機栽培の新米五分搗きを土鍋で炊いたご飯に、生醤油をかけた生みたての平飼い名古屋コーチンの卵、有明海産の酸処理のしていない海苔をかけて食べました。質素だけれど、豊かなご飯がいただけて、うれしい限りです。

    


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