アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「女ひとり大地をいく」

2024-10-29 15:48:07 | 映画とドラマと本と絵画

  「戦フ兵隊」、戦後のニュース映画「日本の悲劇」の監督・亀井文雄の劇場映画。戦後の作品です。

   1930年代、東北の寒村で極貧の生活をしていた一家。宇野重吉扮する夫が、路銀もほとんど持たずに、北海道の炭鉱に出稼ぎに行きます。でも、炭鉱でのひどい扱いに耐えかねているところに落盤事故が起き、彼は行方不明に。

  一方、主人のいない留守宅ではもちろん貧困の度合いはさらに進み、山田五十鈴が演じる美しい妻は、借金取りからしきりに身売りを勧められます。ついに、彼女も夜逃げ。夫が働いていた炭鉱に身を寄せ、炭鉱夫として働きだします。戦時下、男は次々に徴兵され、彼女たち一家に親切にしてくれていた男性も戦地へ。強制連行されたらしい朝鮮人労働者と女性たちが主となり、炭鉱主やその中間管理職たちにひどい扱いを受けながら終戦を迎えます。

  戦後も変わらず、「朝鮮戦争の特需に応じるため」(ウィキペディア)労働者たちを酷使する炭鉱主たちに対して、彼らはようやく反旗を翻します。

  当時の映画で、下層の人たちや戦場を描いた作品のリアリティはやはりすごい。家の中の荒れ方はすさまじいし、着ているものはぼろぼろ。「炭住」と呼ばれていた「炭鉱労務者住宅」は当時の建物そのままを使ったと思われます。

  この映画は、「日本炭鉱労働組合北海道地方本部加盟の炭鉱労働者が1人33円ずつ資金を出し合い、300万円の資金で製作された」そうですが、「シナリオと完成フィルムについては、映画倫理委員会から朝鮮戦争を連想させる箇所はすべて削除か改訂の希望が出され、日本炭鉱労働組合が抗議するなど、対立したが、1953年2月20日、全国で公開された」(鍵カッコ内、ウィキペディア)とのことです。

  ところで、山田五十鈴がこういう社会派の映画に出演していたとは全然知らなかったので、ちょっとびっくり。検索してみたら彼女はこの50年代に「人民女優」とのレッテルを貼られ、レッドパージの対象になったといいます。そのころの代表作がこちらだったようです。

 

 

 

 

 


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