日本最北のロードレース、「サロベツ100マイルロードレース」のS4カテゴリに出場させていただいた。
結果はS4で7位という、またしても微妙な結果。
遠い場所でのレースだったので参加しようかどうかとっても迷ったが、チームパンダのYさんが、「ものすごく気持ちの良いコース」と言っていたのを思い出して興味がそそられエントリーした。
その後、どういうコースなのか、ネットで調べてみると、三者三様の書きぶりで、ほぼ平坦に近いという意見もあれば、けっこうきつい登りがあるとか、アップダウンが続いて脚を削られるとか、走る選手の脚質によっても印象が違うので、結局のところどういうコースなのかわからないままだったが、牛乳飲み放題とか、6位まで表彰されるとか、景色が抜群とか、ヨーロッパのレース中継で見るような雰囲気の大会であるということは伝わってきた。
土曜日の朝9:30頃に札幌を出発し、道央自動車道と深川留萌道を通って日本海側に出た。
留萌市内のスーパーで翌朝の朝食を調達して、一息ついたのだが、ここからが遠かった。
小平町でヒルクライムTTのコース(今年は出場します。)らしき場所を通過(左手にあるキャンプ場のところ?)し、さらに北上。いろんな町を通ったけど、信号もなく景色もあまり変わらず、カーナビで表示される残り距離もあまり減らず、道の駅に寄ってみたけど、お土産にするようなものはなく、退屈なドライブを4時間半・・・。
ようやく豊富に入り、そのまま大規模草地へ。
大規模草地は看板があってわかりやすかった。
少し進むと試走の選手達がいたので、選手達に沿って走ってゆくとスタート地点に到着。
エキシビションのTTの表彰式が行われていた。
まずは試走してみた。
サイクリングペースで走って一周45分程度だったが、これがレースならS4の先頭集団は一周32分~34分程度で走ることになると思われる。(試走時の車載カメラ映像があるので、そのうちアップします。)
GARMINで6~7%と表示される登りもあって、登りが苦手な自分的には、かなり厳しいコースだと感じたが、幸いにも登りの距離が短く、下りの勢いを活かせると感じたので、なんとか登りでも先頭集団から遅れないでついてゆけそうな気がした。
運転で疲れたので、ぼーっとしながら一周で試走は終了。
豊富温泉街の宿にチェックインし、ふれあいセンターでぬるめの浴槽に浸かって痛むハムストをじっくり揉みほぐした。
ここの温泉は基本的には食塩泉なのだけど、原油が混じっており、油が湯船に浮いている。灯油のようなにおいがするのが特徴で、全国的にアトピー性皮膚炎に効果があるとのことで有名らしく湯治客も多数滞在しているようだ。
ふれあいセンターでは食事もできるらしいが、自分はレースの前はセイコーマートのホットシェフでかつ丼を食べることを決めているのでセイコーマートへ。幸いにも時間が早かったので売り切れておらず、無事にかつ丼をゲット。
宿に戻ってかつ丼を食らい、プロ野球のオールスターを見ながらベッドでダラダラ過ごした。
翌朝は5:00起床の予定で23:00頃に床についたのだけど、どこからか漂ってくる煙草の煙の臭いが気になってなかなか寝付けず、熟睡感のないまま朝を迎えた。
幸いにも身体が重いというわけではなかったので、テレビを見ながら朝食を食べて、軽くストレッチしてから軽量化完了。
6:00少し前に宿を出発して6:15頃にはスタート地点に到着した。
昨晩からのテント泊、車中泊のみなさんが既に起き出して試走したりのんびりしたり。
軽く走ってから受付を済ませ、検車を済ませて、ドリンクと補給食を用意していつでもスタートできる体制にしてから、コースを3kmほど逆走してからゴールに向かって戻りながら最後のゴールへのイメージを膨らませた。といっても、単独でゴールラインを駆け抜けるイメージしかもっていなかったのだけど、そうそううまく抜け出せるものではなかった。
基本的なルールとして、日本のレースでは車載カメラは禁止ということが審判長に確認してわかった。残念だけど、ルールが変わるのを待とう。
160kmを走るエリートから順にスタートし、いよいよS4のスタート。
号砲と同時に一斉にクリートを嵌める音が響き、皆がスムーズにスタートをきったようだ。
最初の小さな下りは落ち着いたまま進み、飛び出す選手もなく静かなスタートだった。
二周のレースなので、一周目からガツガツアタックがかかるのかと思っていたが、そんなことはなく、集団は最初から牽制状態で、先頭付近で牽いている選手は限られていた。
あまりにもペースが遅いので、ポイント3あたりの少し長めの下りから幌延交差点で左折して平坦に出る直前に軽くアタックをかけて集団を刺激してみたが、一緒に飛び出してくる選手はおらず、振り返ってアピールしてもブリッジしてこようという選手はおらず・・・しばらくFTP走行の後に脚を緩めて集団に吸収された。(レース後にM選手が集団を抜け出して追いかけてくれたことを知った。わかっていれば、もう少し脚を緩めて合流したのに・・・M選手、気付かずごめんなさい。)
このコースは厳しい坂がなく平坦も多くないので、S4レベルならアタックする場所を選べば逃げが成功する可能性が高いコースだと感じた。
アタックポイントは、やはり平坦に入る前の長い下り。(ポイント3あたり)
ここで加速して左折時に減速しないように注意すれば、集団で交差点を左折する際の減速は大きいはずなのでアドバンテージを得ることができるはず。
しかし、1名で逃げられるほどの脚を持つ選手はなかなかいないはず。
ここはやはり5名くらいの逃げ集団が欲しいところだけど、さすがに5名もの逃げ集団ができそうな時は、メイン集団も黙って見逃してはくれないだろう。それだけに、序盤での牽制状態のうちに逃げ集団を形成したかった。
その後も何度か平坦や下りを利用して少し飛び出してみたり先頭を牽いてみたりして、なんとか集団を伸ばそうとするのだけど、振り返ったらスタート時と同じくらいの集団がごっそりと落ち着いて走っており、一人で飛び出しても集団を絞り込むことはできなさそうだと感じた。
「まだみんな後ろにいるよ。」と逃げの誘いをかけてみても、あまり良い反応は得られなかった。
不安材料だった、平坦が終わってゴールまでのアップダウン(ポイント7から10)の登りは、それほど登りに強い選手がいなかったのか、それとも登りで引き離しても平坦で吸収されることを嫌ったのか、牽制が入っていたのかわからないが、登りが苦手な自分でも付いてゆけるペースでクリアすることができた。
(リザルトを去年や一昨年と比較すると、今回のペースが遅かったことがわかる。)
2周目も懲りずに、同じ場所(ポイント3あたり)でアタック。
逃げ切るつもりはまったくなかった。
自分にはスプリント力がないので、ゴール前までに集団をなんとか縦に伸ばそうと試みたのだけど・・・やはり協調して逃げてくれる選手は現れず・・・。
しかし、チャンスが訪れた。
それまでも積極的に前を牽いてレースを牽引してきた十勝のTさんがポイント6あたりで前に出てきた。
Tさんはレースに対する姿勢というか取り組み方が自分と似ているような気がする選手だ。
「S4クラスは前に出て積極的にレースに関わってなんぼ」という考え方が共通している。
我々S4は「初心者」なので、上のカテゴリーに上がる前にレースでいろんなことを経験しておく必要があると思う。
レースで前を牽くこと、アタックをかけること、逃げた選手をチェックすること、ローテーションに加わること等など、いろんな経験すべきことがある。Tさんはすべてをこなしてなおかつ実績を残している尊敬すべき選手だ。
Tさんが前に出てきたとき、後ろを振り返ると、数メートルの距離が空いていた。
チャンスだと思い、「離れた、逃げよう!」と声をかけて加速。
T選手と共に逃げ切るつもりだったが、2名では逃げ切ることはできず、あえなく集団に吸収された。吸収後も集団は落ち着くことなく、選手たちは殺気立っていた。
ポイント9を左折して登り始めてすぐに一人の選手がアタックをかけ、20mくらい先行した。
タイミング的にここでアタックすることを決めていたのだろう。
計画的なアタックに「ヤバイ!」と思ったが、加速してゆく際の走り方を見て容認することを決めた。
しかし、さすがに最終回だけに、他の選手達は逃げを容認することはなく、すかさず別の選手がチェックに入り、後続もそれに続き、逃げは潰された。
アップダウンが続き、登りで少し先頭から離れるものの、平坦や下りで追いついて先頭に出る繰り返しだった。やはり「脚質」の違いはあるのだろう。
ポイント10のあたりで先頭に出た。
ゴールゲートが見える下りで再び先頭に出たときのスピード感と景色の気持ちよさに、思わず「気持ちいい~!」と叫んでしまった。
そのまま緩やかな登りでゴールラインまでスプリント勝負!!
ゴールラインが近付いてくるにつれ、左右に人影が多くなってきて、ゴールラインを超えるときには5~6名に追い越された感じだった。
やっぱりスプリント力がないわ~。
前をひいたりアタックしたりして脚を使っていたからスプリントで沈んだのだと言えなくもないけど、あの程度のアタックや牽引で脚がなくなるのなら、それは弱いということ。まだまだ強化すべき部分はたくさんあることを再認識したレースだった。
ゴールラインを越えて脚を緩めた時に、車体が右方向に傾く感触がして、姿勢を制御しようとカウンターを当てる等試みたが間に合わず、右肩から地面に転倒してしまった。
自分の左側からゴールした選手と絡んでしまったようで、相手の選手の方が擦り傷が多くて痛そうだった。
ゴール後に自分がふらついてしまったのだろうか?巻き込んでしまって申し訳けないことをした。何度か声をかけさせてもらったが、大丈夫とのことだったので一安心。
自分は興奮していたので右肩が痛む以外は多少の擦り傷だけと思い、救護所でばんそうこうを貼ってもらい車に戻って後片付けを進めた。
リザルトを確認して帰路についた。
途中で実家に寄って昼食を食べて札幌に戻った。
時間が経つと、いろいろ痛む部分が増えてきたので、痛み止めを飲んで早めに就寝。
翌朝起床した際には、痛む部分は増えていなかったが、むち打ち症状で肩と首がこわばってしまっているのが辛い。整形外科での診察では骨折はなかったので一安心。
あとは時間が治してくれるはず。
ニセコクラシックとサロベツの二連戦で感じたこととして、アタックするのなら誰かが協調して付いてきてくれることを期待するよりも、レース前に一緒にアタックをかけることについて5~6名に声をかけておくべきだということ。もちろん、その日のレース展開にもよるので約束通りにアタックをかけられるかどうかはわからないけど、うまくはまれば逃げるという意思統一がなされた強力な逃げグループが形成できるのではないだろうか。
先頭集団から遅れてしまって集団に復帰するために頑張るよりも、集団に先行して逃げるために頑張る方が楽しいと思うのだ。
どなたか、一緒に逃げませんか?(笑)