風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

保守的な数字 (連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第20話)

2011年04月20日 07時35分44秒 | 連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』
 
 会議に出ていた時、「保守的な数字」という言葉を耳にした。
 どういうことなのだろうと思って説明を聞いていると、どうやら「控え目な数字」ということらしい。その後、彼は「コンサヴァティブな数字」とも言っていたので、それでぴんときた。
 ネットの辞書を検索してみると、conservativeには、
 1、保守的な、保守主義の
 2、〈評価などが〉控え目な、穏健な、用心深い
 3、〈服装などが〉地味な
 という意味がある。
 はじめは「コンサヴァティブな数字」=「控え目な数字」というつもりで使っていたのだけど、途中から別の訳語の「保守的な」と混同して「保守的な数字」と言うようになったのだろう。ひと口に保守といってもいろいろあるから、保守が控え目とは限らない。自己主張の激しい保守だっていくらでもある。「保守的な言葉」と言われても、なんのことだかぴんとこなかった。でも、言葉は生き物だから、そのうち「保守的な数字」という言い方が普及して市民権を得るかもしれない。
 いいか悪いかは別にして、こんな風にして言葉の意味が変わっていくんだろうな。



 この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第20話として投稿しました。『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/


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