広東省の省都・広州から香港へ向かって流れる珠江。
古代から貿易船が行き交い、アヘン戦争の時はイギリス艦隊がこの川をさかのぼってきた。今でもひっきりなしに、貨物船が行き交う。
ちなみに、下の写真の左側のコンテナを積んでいる船は、珠江の水深が浅くて大型船が入れないために、香港やほかの港で積み替えて、内陸部へ運ぶもの。内陸に位置する広州周辺の川にはいくつもの港がある。
珠江にはいくつもの大橋が架かっているが、料金が安いことから、自動車専用フェリーはいまでも根強い人気がある。フェリー代は大橋の通行料の約四割。
フェリーターミナルの近くに高速道路の料金所と同じような料金所があり、そこで料金を払う。車の行列に並び、いざフェリーへ。フェリーの発着所は四か所もあって、ひっきりになしにフェリーが到着しては、乗用車へトラックを満載にして慌しく出発する。
所要時間は二十分弱。あいにく、天気はすぐれなかったけど、気持ちいい川風が吹いていた。ゆったりした川だから、ほとんど揺れない。広々とした風景が心地いい。日頃、高層ビルに切り取られた空ばかり見ているからだろう。こんな時でもなければ、空は広いんだとなかなか気付けなかったりする。
下のデッキの船首部分は川面すれすれだった。やんちゃな波が跳ねて、船のなかへ水が飛び散る。思わず飛びのくと、陽に焼けたトラックの運ちゃんと目が合った。
――びっくりしたね。
とたがいに微笑みあった。