ATSUー歴女(おばさん?)のひとりごとー

見たこと・聞いたこと・ちょっと調べたこと,気ままに「My 日記」として書いています。

黒田基樹(「真田丸」時代監修)『百姓から見た戦国大名』

2016-03-23 11:07:53 | 日記
おもしろいです。

真田丸もこの本も


「軍師官兵衛」の時,播磨の領主・・・
(と言ったらいいのでしょうか?戦国大名と言うべき?・・。正しい呼び名は分かりませんが,ここでは,「領主」に統一します。)
播磨の領主は大変だと思いました。
織田と毛利に挟まれ,生き残るためにどっちにつくべきか・・・。

「真田丸」では,織田の後,
徳川につくべきか,北条につくべきか,はたまた上杉か?
小さな信州の領主(こっちは国衆ですね。)たちは大変です。
徳川と北条が手を結んだ前々回(?だったかな?)は,声を上げてビックリしましたね。テレビの前で。

そして思いました。
戦国大名だの,領主だの,そういう人はいいよね,こき使われる農民はもっともっと大変じゃないですか。
戦争になったらかり出されるし,田畑は荒らされるし。


この考え,根本的に間違っている!!!

確かに,戦争にかり出され,田畑は荒らされ,百姓は気の毒(?)でしょう。
でも,戦国大名や領主は百姓によって選択されているのです。


まず,戦国時代は,戦国大名が戦争をしているだけではありません。
百姓間においても,たえず,近隣の村と争っています。
それも,武器を持って
自分の村だけでは力が足りないので,合力する村が存在します。
お互いに協力するのです。敵の敵は味方と言った具合に
なぜそうなるのか
飢饉と戦争が常態化しているからです。

年貢・公事などは,大名や領主・村の間で行われ,
領主が個々の村人に課すのではない,
教科書でも出てくる「村請」です。
戦国大名は一方的に支配するのではなく,「契約」で成り立っています。
領主は支配下の村の戦争に「合力」し,
外部勢力の侵攻から防衛します。
村は,この領主ではダメ・・・と思えば,違う領主に代わります。
「飢饉と戦争が日常化していたなか,
 村の平和と安穏を保障する,
 それが大名や領主の責務であった。」(137ページ)

また,
「戦国大名があれほどまで侵略戦争をを続けた根底には,
 慢性的な飢饉状態があったとみても,的はずれではなかろう。」(58ページ)
そして,略奪のため,戦争をするのです。


そういえば,
本郷和人氏の「日本中世の自由と平等」(JMOOCの講義)のなかで,
「戦国大名は,みんな京都を目指していたわけではない,
 ドラマではまるで,戦国大名がみな,天下をねらっていたようにしているが,
 ねらうのは信長ぐらいだ。
 実のところ,自分の領国を支配するのがやっとだった。」
と言うようなことを聞きましたが,このことにもつながりますね。

それが,秀吉の「惣無事令」
つまり,
「全国の戦国大名に停戦を命じ,
 その領国の確定を秀吉の裁定にまかせることを強要した。」(山川日本史152ページ)
以降,徐々に戦争による紛争解決ではなく,
「裁定」による解決へと流れていく。
徐々に・・・
村でも・・・

江戸時代は,はじめの頃はともかく,
次第に,戦争のない時代になり,
生産量も増え,人口も増える。

ちょっと歴史学をかじったことのある私にとっては,
ある意味,懐かしい,でも,新しい本でした。

大河ドラマ「真田丸」では,こういうところはほとんど描かれることはないでしょうが,
ドラマがいっそう面白くなりそうです。




コメント
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