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モルモン教会の分類

2006-05-19 00:50:53 | モルモン教関連
モルモン教会は宗教社会学的にはどのように
分類されるのだろうか。

 古屋安雄はアメリカのキリスト教を、政治、
社会、経済などとの関連で研究しようとする時、
教会(church)、教派(denomination)、分派(sect)
の三類型に分けるのが、宗教の社会学的な見方
として常識である、と述べている。

 マックス・ウエーバー、トレルチの分類から
進めたこの分類は、1 「(国)教会」。広く国家や
民族全体を包む宗教、例、英国教会。 2 「教派」。
教会と国家の分離の原理が確立し、自由競争の国に
存在する宗教形態。3 「分派」。会員がそこに自発
的に参加してできる、初め(大きな)教会に批判的
な排他的少数派。しかし、分派は時間の経過ととも
に教派、教会になっていく。

 具体的な名前で言えば、1 「教会」型はルター派、
ツウィングリ派、カルヴァン派、英国教会、 2 「教
派」型はバプテスト派、クエーカー派、会衆派、 3 
「分派」型は1,2の型にプロテストして成立した
もの。厳格な戒律を守って世俗との妥協を排する。

 以上の3つの型が政治、経済、社会の問題とどの
ように関わるかを見ると違いが明確になる。第一の
教会型は、教会員と国民がほとんど同一で、戦時に
は戦争を全幅的に支持する。第二の教派型では、国の
人口が幾つかの教派に分かれ、戦争に対する態度に
違いが出てくる。また一つの教派内に違った態度を
取る者が出てくる。ベトナム戦争の時、大きな反戦
運動が起こったのはその例。第三の分派型の場合、
ほとんどが少数の集団で国家との妥協を拒否して成立
しているので、戦争に反対の立場を取る。クエーカー、
メノナイトなど。

 このように見てくると、モルモン教会は分派(sect) に
始まり、現在は第二の教派型に属するのではないか、と
思われる。イラク戦争に関しては少なくとも初めの段階
ではほとんどの米会員が支持していて第一型でさえあっ
たと考えられる。第三型でないことは言を俟たない。

古屋はこの三類型がアメリカの宗教研究に非常に有効
である、と記している。(モルモン教への言及は沼野)。

 古屋安雄「日本の将来とキリスト教」聖学院大学出版会
2001年 pp. 201-215




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