「衰退する宗教、浮上する世俗主義」（米社会学教授）

[信教の権利より人権優先、表現の自由擁護、・・政教分離。全英世俗協会]

ハフィントン・ポストというサイトにアメリカのP.ズッカーマン教授が掲載した記事が載っている。それによると、現在世界の諸国を見渡して言えることは、宗教が未曾有の衰退を示しているということである。
　彼は最近ナショナル・ジオグラフィックが報じている、最新の事実をいくつかあげている。
*英国では史上初めて無神論者と不可知論者（神が存在するかしないかは判らないとする人）が神を信じる人を上回った。教会に行く人は人口の２％以下で史上最低。
*いかなる霊も、神も信じないヨーロッパ人の比率：スペイン人19%, デンマーク人24%, ドイツ人、ベルギー人27%, スエーデン人34%, フランス人40%。
*アメリカ合衆国では23~28%の成人が特定の宗教に所属していない。この人数は増加しており、行動や考え方においてもますます世俗化している。20代のアメリカ人は35%以上が無宗教で米史上最大の世俗的集団となっている。
*日本では60年前70%が個人的に宗教心があると言っていたが、今日20%に下がっている。住職のいない寺が2万に達し、神棚を置く家が1950年代に75%であったのが、2006年に44%になり大都市では26%に下がっている。

　Z教授は過去１世紀の間に多くの国で顕著な世俗化が起こり、世界史上初めて多くの社会で世俗的である方が宗教的であるより普通になっている、とまとめている。ピュー調査センターによれば、世俗的男女の人数は2010年に11億人いて、2020年には12億人になると見積もられている。

　将来の予測は難しいが、宗教的な両親が子供を宗教的に育てるのに対し、無宗教の人が増えると次世代が宗教的でなくなり、無宗教の人が増えることになる。また、世俗化はインターネットにアクセスすることと密接に関連していて、人々の生活の至るところにウェブが顔を出すようになって、世俗主義が行き渡ることになる。

　（宗教的な家族は子だくさんで、世俗的な家族は子供が少ない。それでピューは世俗主義が数十年で横ばいになると予測している。2050年にはイスラム教が世界最大の宗教になると見る）。

しかし、当座は世界で教会が次々閉鎖し、信仰は衰微の道をたどっている。他方、世俗的な価値観や人道主義的な原則に沿って生きる人々が増加している。（以上記事の要約）。

　伝道熱心な末日聖徒イエス・キリスト教会の指導者、日本を訪問する教会幹部や特に日本各地の伝道部長（特に外国人）、そしてステーク会長、監督（bishop）は、この現状を承知して布教活動をどうすべきか、会員の信仰維持をどうはかるか（シナリオを描いて）取り組むべきであると思う。教勢の弱体化は正に危機的状態にあり、その傾向は焦眉の急を告げている。単に理想論をかざして、信仰さえあればとか、必ず耳を傾ける人がいる、と言った希望的観測をかかげるだけでは、長期にわたる現実的な方針が生まれることなく時間だけが無為に過ぎ去っていく。

一昨日私が所属するステーク大会で、訪問していた地域幹部青葉太一長老は、四国でも人口３万人の町にある小さな支部（出席者十数名）の現状に触れ、「これ以上小さくなってはいけない。どうしたらよいか」とそこでの古参姉妹との真剣なやりとりを紹介し、「しかし、これは日本全国事情は同じだと思う」と大阪の教会員に注意を喚起していた。

典拠　
http://www.huffingtonpost.com/phil-zuckerman/religion-declining-secula_b_9889398.html