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高校時代の仲間が7人集まった。一人がその頃の写真を十数枚携えてきた。
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あろうことか、一人がサッポロジャイアンツの大瓶をぐい飲みしている写真があった。
広場で火祭りもした。滝にも打たれた。みなパンツ一枚きりだ。
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滝口には不動明王が祀られていた。ここは修行場だ。滝口を出たところに砂地の広場があった。
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これは高校3年生の夏休みに、仲間の10人ほどが山の中の滝に行って、
そこでキャンプみたいなものをしたときのものだ。
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タバコもビールも飲んだ。発覚していれば停学くらいくらっていたことだろう。
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素麺は、山中から薪を拾ってきて火をおこし、大鍋で茹でた。
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素麺のほか、安い牛肉を買い込んでいって、野菜をたくさん投げ込み、
フライパンですき焼きをして食べた。
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谷川の深いところに泳いでいって、鮠を捕まえてこれを串刺しにしても食べた。
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いずれもいずれも、十分に煮えないうちに食べてしまったので、あとで下痢をした者がいた。
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あれから45年ほどの年月が経過している。みな確実に老いた。
「もう後先が少なくなってきたね。じゃんじゃん遊ばなくちゃね、これから」などと言い合った。
じゃんじゃん遊べるかどうか怪しいものである。現に暮風は身体が不自由だ。薬を手放せないのもいた。
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次は4月、桜が咲いたら花見をしようと言うことになった。
花見がすんだら、例の不動明王の滝場をもう一度訪ねてみようということにもなった。
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「仲間とこうやっていつまでも遊べるなんて幸福だね」みんなが口々にそう言い合った。
たしかに幸福である。
誰も体は故障だらけのようだが、こうして集まると、精神は高校時代のまんまだった。
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偉くなったやつもいるが、横一線でつきあえる。仲間というのは気楽だ。
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いつまでもは遊べない、はずである。覚悟はしておこう。
遊べるまででいい。こうやって集まってまた気楽な遊びをしたいものである。