窓の外が暗くなった。日暮れた。大晦日12月31日の日が暮れた。
僕はNHK恒例の紅白歌合戦の番組は見ない。特別理由はないが、見ないことにしてもう20年くらい経っている。時代の音楽についていけないからだろう、きっと。家族は遅くまでテレビを見て過ごす。僕はテレビの音がしない部屋で静かにして過ごす。
今夜は除夜の鐘が鳴る。鐘を聞きながら目を閉じる。
窓の外が暗くなった。日暮れた。大晦日12月31日の日が暮れた。
僕はNHK恒例の紅白歌合戦の番組は見ない。特別理由はないが、見ないことにしてもう20年くらい経っている。時代の音楽についていけないからだろう、きっと。家族は遅くまでテレビを見て過ごす。僕はテレビの音がしない部屋で静かにして過ごす。
今夜は除夜の鐘が鳴る。鐘を聞きながら目を閉じる。
40歳過ぎの甥っ子が、さっき玄関に立った。小学校一年生の一人息子といっしょに遣って来た。
上がって20分ほどいて、われわれ4人とお喋りをして、「じゃ、よいお年を」で帰って行った。
親子ともコロナ感染をしたらしい。もうすっかり完治していた。熱が40℃近くも出たようだ。
一年生の息子が温泉好きらしい。これから近くの日帰り温泉に行くらしい。親子がべったりべったりだった。
小学生の頃はこう。みんなこうだよね。親子べったり。それが年長さんになるにつれて離れて行く。
独り立ちを始める。あんなにべったりしてたら、子離れがタイヘンだろうと心配になった。
*
いいんだよいいんだよ。べったりのときはべったりで。子離れ親離れの後は、けっきょくまた惹き付け合うんだから。静かにではあるが。
友人からもらっていたつくね芋を、包丁で皮剥きをしたあと、摺り器で摺りおろして、擂り鉢に入れて、卵を落とし、鰹出汁昆布出汁を薄めて投入。擂り粉木でごりごりごりと摺り回した。これで出来上がり。後は、食べる人がお好みで醤油をさす。
家内は痒いからこれをやるのを渋る。僕はちっとも痒くならない。で、この仕事は僕に回ってくる。客人が好きだというので、これも夕食に食べることにした。(僕も好きである)
僕が今日31日の料理作りで手伝ったのはこれだけだった。
来年こそは詩集を出したいなあ。第3詩集を。思い切って。
でも、お金が掛かるからなあ。しかも大金が。余裕がないなあ。
お爺さんの詩集は買い手がない。読み手がない。100%利益にならない。
だからもう25年間も出さなかった。出せなかった。
死んだら詩集は出せない。生きている間だけだ。
じゃ、思い切ってという気になる。
詩集を手に取って読んでくれる人(奇特な人)が現れるかもしれないじゃないか、と淡い期待を持つ。
実はもう85篇までは書き上がっている。そこで頓挫している。
100篇にして出版しようと考えていた。あともう少しだ。
大晦日の4時のコーヒータイム。インスタントじゃない。どうりで、うまかった。
このお爺さんは、味は分からない。コーヒー通でもない。だからインスタントでいっこうにかまわないけど。
今日は昨日から泊まっている客人が焙煎してくれた。有り難い。
客人はお正月まで我が家で過ごす。いっしょに酒が飲める。正月料理も手伝ってくれているので、家内は大助かりだ。
ジョウビタキさん、そりゃあんまりだよ。馴れ馴れしくしすぎだよ。
爺さんが畑で草取りをしているところへ、ジョウビタキさんが姿を見せた。
しばらく鳴き声だけだったが、いきなり、丸椅子に座って投げ出しているお爺さんの、右足の爪先の所まで降りて来た。
お爺さんはよろよろだから、捕まえたり懲らしめたりしないってことを熟知していたにしても、だ。
ちょっと危険だよお。
だからそう言ってあげた。もう少し人間との距離を置いた方が賢明だよ、って。
ジョウビタキさん、分かった分かったと言って、後方へ引き下がって行った。そしてそこでちっちっちと鳴いた。
大晦日の日も、畑仕事ができた。午後から、白菜を収穫した後の畑に、春菊の苗を移植した。プランターで種から蒔いていたのが育っていたので、捨てるのが忍びなくて。(移植の時期は遅すぎるけど) 20株ばかり。春までにはそれなりに成長を見るだろう。最後に水遣りをした。
その後、今度は、牛蒡の畑と蕗の畑の草取りをした。草は冬の間も伸びる。しかも、根を深くする。
*
合計で2時間程度。畑に出ているとこのお爺さんは機嫌がよくなる。浦島太郎になる。
今日のお昼。お昼ご飯は、まだ残っていたおこわご飯のおにぎりだった。俵型の。小さい。ごま塩のついた。
高菜の一夜漬けを細かく刻んで、鰹節を1袋投入して、そこに醤油を落として、それをおかずにして、おにぎりを頬張った。
少し堅くなっていたので、電子レンジで温めてから、食べた。あたたかくて、うまかった。おにぎり3個食べ終わった。
家の周囲を廻る小径、一年間ほっこりほっこり歩ませてもらった小径に、箒で箒目を付けた。丁寧に。箒目がはっきり読み取れるように。なんだか、これで至るところ、我がこころの中でも、清潔が溢れるようになった。うしうし、しししっし。にこりしている。
12時半を過ぎたところ。お爺さんは身勝手な妄想ばかりしている。ヘンなお爺さん。
*
畑の野菜は、宇宙から遣わされて来ているから、いわば天使。天のみ使い。彼らのお陰で、地球は緑色をしている。新鮮な空気であふれていることができる。木々もそう。草もそう。花もそう。言葉を使ってお喋りなんかしないけど、見ている。世界を感じている。自分たちの役割をしっかり認識している。そうできることに愉快を覚えて、にっこりしている。
野菜もにっこりしている。木々もにっこりしている。草もにっこりして、そこにいる。
・・・んではないか。お爺さんの妄想。しかし、妄想だけ合って、根拠がない。そうでもありそうだし、そうでもなさそうでもある。
いっつもこう。