一本一銭食べきれない大根である 山頭火
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托鉢ではもらえなかったとみえる。町の小店で夕餉の大根を買ってきた。大きい大根なのに一銭ぽっきりで。皮を剥いて輪切りにする。七輪に火をいれて、赤貝の剥き身の味だしで煮る。ちびりちびり飲む。なかなかに旨い。大根を摺って飯にする。大根のいのちで果てる。明日は明日だ。余りと青葉は味噌漬けにする。
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山頭火のような暮らしはできぬ。贅沢を知った。大根一本では一日が終わらない。一銭以上のお金があるからだ。魚をむさぼり、肉を食った。その上、作ってくれた者に、味が今ひとつだ、とか、堅い、だとか不満を漏らした。
食い散らして酔いが醒めて 李白黄
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托鉢ではもらえなかったとみえる。町の小店で夕餉の大根を買ってきた。大きい大根なのに一銭ぽっきりで。皮を剥いて輪切りにする。七輪に火をいれて、赤貝の剥き身の味だしで煮る。ちびりちびり飲む。なかなかに旨い。大根を摺って飯にする。大根のいのちで果てる。明日は明日だ。余りと青葉は味噌漬けにする。
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山頭火のような暮らしはできぬ。贅沢を知った。大根一本では一日が終わらない。一銭以上のお金があるからだ。魚をむさぼり、肉を食った。その上、作ってくれた者に、味が今ひとつだ、とか、堅い、だとか不満を漏らした。
食い散らして酔いが醒めて 李白黄