「長崎白菜」
【生産地】長崎市
【特徴】中国伝来の白菜の原種とされ、別名「唐人菜」と呼ばれる。半結球性で、葉は立ち、外開きになる。黄葉の早生種と黒葉の晩生種がある。早生種は、葉色は淡緑色で縮みが多く、中心の数葉が黄白色。晩生種は、光沢のある濃緑色で縮緬状のしわが顕著である。葉の中央を縦に通っている太い葉脈である中肋(ちゅうろく)が広く、独特の白味がある。葉質は柔らかい。一般の葉物野菜は霜に弱いが、長崎白菜は霜に強く、夜間に冷え込み、昼間は暖かいという気象条件のなかで緑色に色づき美味となる。秋蒔きが一般的だが春蒔きもできる。間引菜として周年栽培も可能で、間引き菜は浅漬けにする。生長して冬場に収穫されたものは、漬物や鍋物、正月の雑煮に利用される。
【食味】柔らかく、漬物、煮物の他に炒めても美味。鉄分がほうれん草の3倍含まれている。漬物、煮食用として珍重されてきた。
【料理】雑煮、浅漬け、おひたし等
【来歴】長崎県へは中国山東省から伝来したとされる。中国の瓢菜(ひさごな)である江戸唐菜(えどとうさい)の土着種であることが農林水産省試験場で判明している。江戸時代の1800(寛政12)年に刊行された広川獬(ひろかわかい)の「長崎見聞録(ながさきけんぶんろく)」によると1797(寛政9)年に半結球タイプの「唐菜」の記事が記載されているが、その記載図は長崎白菜とは似ていないともされている。1905(明治38)年度の農事試験成績報告第8号には、1877(明治10)年頃に長崎市の橋本泰吉氏が栽培を始め、その後、1898(明治31)年に長崎市中川町に開設された農事試験場で早生・晩生の2系統を選抜していることが記載されている。また、大正期にかけて長崎市内で栽培の広がりをみせ、現在でも、西山木場地区、茂木地区等で生産されている。以来、漬物や長崎雑煮(ながさきぞうに)に欠かせない食材として親しまれてきた。ローフードジャパン「味の箱舟」に認定されている。
【時期】12月~2月
*https://tradveggie.or.jp/42-nagasaki/#i-15 より
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