いいもの見ぃ~つけた!

「いいもの」は探せばいっぱいあります。独断と偏見による個人的「いいもの」情報発信所です。

イッピンNHK 「丈夫で長持ち 心なごむ明かり~茨城 水府提灯~」

2023-12-16 07:04:44 | イッピンNHK

 第237回 2019年11月12日 「丈夫で長持ち 心なごむ明かり~茨城 水府提灯~」リサーチャー: 野村佑香

 番組内容
 昔ながらの照明器具ちょうちん。茨城県水戸市は江戸時代から続く産地だ。ここで作られるものは水府提灯(すいふちょうちん)と呼ばれ、丈夫なことが特徴。職人の技で作り上げられる過程を紹介する。そこには様々な工夫が。また斬新でユニークなものも生み出されてる。書道家の文字や、四季折々の花を描いたもの。そしてデザインにこだわり、鳥の形にしたちょうちんも。リサーチャーは野村佑香さん。心なごむ明かりの魅力にまる。

*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201911121930001301000 より

 

 茨城県水戸市は提灯の産地です。
 岐阜、八女(福岡県)とともに「提灯の日本三大産地」と言われています。
 
 茨城県水戸市は水戸藩の城下町として発展したものづくりの盛んな街です。
 水戸の提灯は「水府提灯」と呼ばれ、水戸藩の産業振興として生まれました。
 因みに、「水府」は江戸時代の水戸の別称です。
 
 江戸時代、提灯が庶民に広まりました。
 水戸近郊には、丈夫な厚い和紙「西ノ内紙」の産地や良質な竹の産地があったことから、財政難に苦しむ水戸藩は提灯づくりを奨励しました。
 
 「西ノ内紙」(にしのうちし)は、茨城県常陸大宮市の旧・山方町域で生産されている和紙です。
 強靱で保存性に優れたその性質から、江戸では商人の大福帳として用いられたそうです。
 
 下級武士の内職から始まった提灯づくりでしたが、その「堅牢、質実剛健」な提灯は丈夫で長持ちすると評判となり、
江戸の町などで多く用いられるようになり、水戸は提灯の一大産地となりました。
 現在も、「三社祭」や「神田祭」で 使われているそうです。
 
 「水府提灯」は、丈夫な厚い和紙「西ノ内紙」の産地や良質な竹を主材料とし、更に「一本掛け」という独自の手法で作るため、丈夫で、力強く引っ張っても型崩れしないのが特徴です。

  
 水府提灯づくり(蔭山利兵衛商店・蔭山興一さん)
 
 蔭山利兵衛商店は、寛政10(1798)年創業の提灯づくりの老舗です。
 蔭山興一さんは昔ながらの提灯で結婚や出産などに使用されている「弓張り提灯」を手掛けています。
 
 「弓張り提灯」の特徴は、弓のような取っ手です。
 提灯の本体を強い力で引張って固定して、使わない時はコンパクトにまとめられることが出来るという伸び縮みする提灯です。
 
 まずは本体の木型には8枚使い、”あみだ”と呼ばれる部品に差し込んで上下を固定します。
 木型の表面には細かい溝があり、そこに沿ってひごを巻いていきます。
 次に固定するために糸をかけるのですが、これが力がいる作業。
 蔭山さんはお手製の畳針を変形させたもので綿の糸を巻き付け、ひごを固定します。
 その後、ひごの上に糊をつけ、和紙をシワやくぼみが出来ないように刷毛を動かして貼り付けていきます。
 更に丈夫にするために扇形の和紙を使って、糸を巻き付けた部分に貼っていきます。
 名前を入れたら、取っ手を付けて完成です。
 
 蔭山利兵衛商店 茨城県水戸市本町3-3-7

 

 オリジナル提灯(青野商店・青野れい子さん)
 
 今、美しいインテリアとして、新しい提灯も生み出されています。
 創業大正10(1921)年の青野商店では、水戸市在住の書家・北條蘭徑先生の文字を大胆にあしらった提灯「書道提灯」、国際的に高い評価を得ている茨城出身の木版画家・富張広司さんとのコラボレーションによる「富張版画提灯」など、様々なオリジナル提灯を作成しています。
 
 「ひめシリーズ」は、丹精込めて漉かれた「西ノ内紙」に季節の花々がデザインされた、青野商店の人気シリーズです。
 青野商店の青野れい子さんは提灯を通して季節の移ろいを感じて欲しいとおっしゃいます。
 
 青野商店 茨城県水戸市新荘1-5-50

 

 西ノ内紙(紙のさと・菊池大輔さん)

 「西ノ内紙」は350年の歴史を持つ、茨城県常陸大宮市の旧・山方町域で生産される和紙です。
 水戸黄門こと徳川光圀公が命名し、光圀自身が編纂した『大日本史』にも使われました。

 奥久慈地方にある常陸大宮市の和紙職人・菊池大輔さんは紙の原材料として日本最高級とも言われる「那須楮」(なすこうぞ)の栽培から紙製品に仕立て上げるまでを全て手作業で行っています。
 
 「那須楮」(なすこうぞ)は日本最高級の原料です。
 水はけが良く、瘦せた土地で、寒暖差が激しく、冬になっても滅多に雪が降らない奥久慈地方は楮を栽培するのに適した所です。
 ここで採れた楮の繊維により、丈夫で緻密な美しい紙が出来るのだそうです。
 
 ユネスコ無形文化遺産に登録された「石州半紙(島根県浜田市)、本美濃紙(岐阜県美濃市)、細川紙(埼玉県小川町・村山村)」これらの和紙制作に使われており日本はもとより、世界が認める質の高さを誇っています。

 西ノ内和紙の特徴は紙が厚くて丈夫。
 提灯、唐傘、大福帳などとして、江戸の街に広がりました。
 大福帳は商人が大事な取引を書く大事なもの。
 家火事が起きても井戸に放り込んで後で乾かせば文字も滲まずに元通りに使えました。
 明治35年から大正15年までは、丈夫な紙として選挙投票用紙として使われてきました。

 菊池さんの作る水に強く、まるで布のような和紙は現在、クッションカバーや暖簾、財布、名刺入れなど、多くのファンに愛される人気商品になっています。
 
 紙のさと 茨城県常陸大宮市舟生90

 

 左右非対称の提灯(鈴木茂兵衛商店・由元君平さん)

 鈴木茂兵衛商店(すずも提灯)は創業150年を超える提灯の老舗製造元です。
 製造から販売まで一貫して行っています。
 
 由元君平さんは、理学部で隕石を学んでいたそうですが、すずも提灯でアルバイトをしたことをきっかけに、現在は、製造開発担当として伝統の技を活かしながら新しい提灯の開発を行っています。

 2012年のグッドデザイン賞受賞のミック・イタヤさんとのコラボ「ミック・イタヤシリーズ」は、オレンジ色のLEDにゆらぎ機能を搭載した独自の照明を開発し、また、音感セン サーによるスイッチやコードレス使用はオブジェとしても楽しめる作品です。

 左右非対称の提灯を作るには様々な工夫が必要。
 新しい形はCAD(コン ピュータによる設計)を使いますが、ただ型を作ればいいというものではありません。
 普通の提灯よりも凹凸が大きく、型の溝に沿ってひごを巻いていくのも簡単ではありません。
 
 それを作るのが職人の安部志保さんです。
 カーブや突起の部分が多く、かなり神経を使うそうです。
 きめ細やかな手仕事によって「提灯」が完成するのです。

 鈴木茂兵衛商店 茨城県水戸市袴塚1-7-5

*https://omotedana.hatenablog.com/entry/Ippin/Ibaraki/SuifuChochin より


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« <異名-人物> 毛同志 | トップ | <おせち> 福島 浸し豆 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

イッピンNHK」カテゴリの最新記事