「いもの子汁」
主な伝承地域 北上川流域
主な使用食材 さといも、鶏肉、木綿豆腐、大根、にんじん、ごぼう、だし、しょうゆ
歴史・由来・関連行事
北上川流域はさといもの生産に向いた土壌で、昔からさといもが多く作られている。さといもの歴史は古く、縄文時代に米よりも早く日本に入ってきたと考えられている。古くは万葉集にも記載があり、十五夜や正月に餅ではなく、さといもを供える文化が各地に点在している。
「いもの子汁」は秋に旬を迎えるさといもを、にんじん、大根、ごぼう、きのこ、こんにゃく、豆腐、鶏肉等をひと口大の大きさに切ったものを煮込んだ汁物の料理。一杯で多彩な食材が食べられるので、たんぱく質やビタミン類、食物繊維など、幅広く栄養を摂ることができる。昔は稲刈り後など農作業が一段落した時や人が集まる時のごちそうとして、また、身体を温める料理として振る舞われた。現在は、北上川の川岸にグループで集まり、いもの子汁を食すのが秋の風物詩となっており「芋煮会」「いもの子会」と呼ばれる。
食習の機会や時季
秋口から晩秋にかけて、さといもの収穫時期に食される。家庭の食卓にも日常的に並ぶ、人気のメニュー。 人が集まる席やお祭りで作ることもあれば、「いもの子汁」を食すために集まることもある。
飲食方法
地元のさといも、大根、にんじん、ごぼう、木綿豆腐、鶏肉などを煮込み、しょうゆで味をつける。豚肉や味噌を入れる地域もある。岩手にはねっとりやわらかい舌ざわりが特徴の「二子さといも」と、ホクホクした食感の「津志田芋」、特徴の異なる二つの有名なブランドいもがあり、それぞれ人気がある。「二子さといも」の産地である北上市二子地区では、さといもの味をしっかり味わえるようにするために、皮はこそぐようにむき、さといも以外の根菜を入れずに「いもの子汁」を作る。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
北上川流域では、グループでいもの子汁を作って食べる「芋煮会」「いもの子会」がよく行われる。北上市二子地区の「二子さといも」は、国の地理的表示保護制度(GI)に登録されている。地域では毎年「二子の里・いものこまつり」が開催される。また奥州市水沢区では「いもの子汁」を食す大規模なイベントも開催され、数千食分が振る舞われる。さといもの旬の時期には地元の飲食店で提供され、給食メニューにも取り入れられる。 岩手県は郷土料理を伝承する人や団体を「岩手県食の匠」として認定しており、「いもの子汁」についても「岩手県食の匠」がいる。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/28_13_iwate.html より
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