村上氏の著書への6回目の書評です。217と218、最終ページです。
天皇制廃止を願う氏が、後世の人間に向かって訴える言葉です。さすが昔の左翼は、礼節と品格があります。今時の反日・左翼と異なり、汚い言辞で大騒ぎせず、間接的な天皇制否定論です。
「天皇は、皇室祭祀を執行するさいに、」「私事と考えて、最高祭司をつとめているのではなく、」「この国の、祭司王である天皇として、執行しているであろうことは、いささかも疑う余地がない。」
「歴史上の天皇は、何よりもまず、祭りをする人であり、」「この本質は、終始、天皇の、宗教的権威の源泉をなしてきた。」「敗戦後の日本においても、天皇の、」「最高祭司としての本質は、不変であり、祭司大権は、基本的に、揺らいでいない。」
天皇のお立場への正しい理解ですが、現在、保守を自認する政治家の何人が、ここまでの認識を持っているでしょうか。しかし正しい理解をしていても、氏のように間違った思想に染まると、出て来る認識が歪みます。
「天皇の祭祀は、日本国憲法が拠って立つ、政教分離の原則と、」「本来的に、矛盾する性格を持っている。」「象徴天皇制の存在は、日本国憲法に内在する、致命的な矛盾であり、欠陥である。」
「この矛盾は、国家神道的風土に対する、自覚した国民の戦いが、全国的に広がり、」「政教分離の原則が、国民生活に根づくことによって、一歩一歩、解決されていくに違いない。」
天皇の祭祀の矛盾を言う前に、崩壊したマルクス主義の矛盾、社会主義国家の矛盾を語りなさいと、忠告をしたくなります。しかし氏の著作は今から42年前で、まだソ連が崩壊する以前の出版ですから、無理もなかろうと許容いたします。
日本の思潮は氏の思いに反し、自覚した国民は、むしろ反日・左翼・グローバリストへの疑問を深め、歪められた日本の過去を見直そうとしています。
天皇は、国民の心を一つにするご存在であり、日本の伝統と文化の象徴であると、そういう思いを深めています。矛盾しているのは天皇の存在ではなく、俄か作りの憲法の方が、日本の伝統と文化に合わないのです。今はまだ、敗戦利得者である反日のマスコミと、利得にあずかる反日学者たちの声が大きく、自覚した国民の声が伝わらない仕組みになっています。
息子たちのため、私はここで、平成29年の衆議院選挙終了時に、毎日新聞が行ったアンケートを、紹介します。国会議員諸氏が天皇制について、どのような考えをしているのかが、分かります。現在熱い議論となりつつある、「女性宮家」に対する、賛成・反対を問うたもので、女性宮家に賛成する議員は、女系天皇にも賛成し、将来の天皇制崩壊を容認する、馬鹿者たちです。
自民党 公明党 日本維新 共産党 社民党 みんな 日本・みらい
反 対 215 2 41 0 0 9 3
賛 成 48 26 9 0 2 5 5
無回答 31 3 4 8 0 4 1
合 計 294 31 54 8 2 18 9
当時、民主党も存在したはずなので、なぜデータが抜けているのか不思議ですが、全体の数字が示されていますから、これでも大勢は分かります。
全議員 480名 反対 280 名 賛成 129 名 無回答 71 名
(100 %) ( 58.3 %) (26.9%) (14.8%)
二階俊博
BS朝日番組の収録で、「女性尊重の時代に、天皇陛下だけ『そうならない』というのは、時代遅れだ。」「そうと決まれば国民には違和感はないと思う」と述べ、女性天皇を容認する考えを示した。
岸田文雄
女性宮家の創設に反対で、選択的夫婦別姓制度にも、どちらかと言えば、反対。
石破 茂
将来的に皇族は、悠仁親王ただ一人になってしまう可能性は、否定できず、男系男子のみで皇位を継承し続けることは、不可能に近い。皇室の安定的な継続を考える上で、このことに対しての議論を、避ける訳にはいかない。旧宮家の復活案もあるが、一般国民として長く人生を送ってきた人物を、皇位継承者とすることは、妥当性に疑問がある。
皇室が途絶えることは、日本の国体そのものの滅失を意味するものであり、男系男子の皇位継承を基本としつつ、女系天皇の可能性も敢えて追求するべき。
野田聖子
BS朝日番組収録で、女性天皇の是非について、「そもそも女性がだめな理由は、何なのか」と述べ、女性天皇が認められていない理由を、明確にすべきだとの見解を示した。
村上氏の書評から外れたように、見えるのでしょうが、そうではありません。「天皇祭祀の矛盾が、自覚した国民により、一歩一歩解決されていくだろう」という、氏の期待が、現在の日本では当たらなかったとそう言いたいと思います。
それでも完全な外れでなく、政治の矛盾と混乱が続いているというのも、事実です。氏の言葉通り、一歩一歩、努力する以外方法はありません。「皇統における、男系維持の重要性」につき、実例をご紹介する予定でしたが、次回にずれ込みました。
次は書評から、大きく横道に入りますが、大切な皇室をお守りするためですから、息子たちも、我慢して聞きなさい。