ねこ庭の独り言

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天皇の祭祀 - 6 ( 自民党内の「獅子身中の虫」 )

2019-03-15 21:51:33 | 徒然の記

 村上氏の著書への6回目の書評です。217と218、最終ページです。

 天皇制廃止を願う氏が、後世の人間に向かって訴える言葉です。さすが昔の左翼は、礼節と品格があります。今時の反日・左翼と異なり、汚い言辞で大騒ぎせず、間接的な天皇制否定論です。

 「天皇は、皇室祭祀を執行するさいに、」「私事と考えて、最高祭司をつとめているのではなく、」「この国の、祭司王である天皇として、執行しているであろうことは、いささかも疑う余地がない。」

 「歴史上の天皇は、何よりもまず、祭りをする人であり、」「この本質は、終始、天皇の、宗教的権威の源泉をなしてきた。」「敗戦後の日本においても、天皇の、」「最高祭司としての本質は、不変であり、祭司大権は、基本的に、揺らいでいない。」

 天皇のお立場への正しい理解ですが、現在、保守を自認する政治家の何人が、ここまでの認識を持っているでしょうか。しかし正しい理解をしていても、氏のように間違った思想に染まると、出て来る認識が歪みます。

 「天皇の祭祀は、日本国憲法が拠って立つ、政教分離の原則と、」「本来的に、矛盾する性格を持っている。」「象徴天皇制の存在は、日本国憲法に内在する、致命的な矛盾であり、欠陥である。」

 「この矛盾は、国家神道的風土に対する、自覚した国民の戦いが、全国的に広がり、」「政教分離の原則が、国民生活に根づくことによって、一歩一歩、解決されていくに違いない。」

 天皇の祭祀の矛盾を言う前に、崩壊したマルクス主義の矛盾、社会主義国家の矛盾を語りなさいと、忠告をしたくなります。しかし氏の著作は今から42年前で、まだソ連が崩壊する以前の出版ですから、無理もなかろうと許容いたします。

 日本の思潮は氏の思いに反し、自覚した国民は、むしろ反日・左翼・グローバリストへの疑問を深め、歪められた日本の過去を見直そうとしています。

 天皇は、国民の心を一つにするご存在であり、日本の伝統と文化の象徴であると、そういう思いを深めています。矛盾しているのは天皇の存在ではなく、俄か作りの憲法の方が、日本の伝統と文化に合わないのです。今はまだ、敗戦利得者である反日のマスコミと、利得にあずかる反日学者たちの声が大きく、自覚した国民の声が伝わらない仕組みになっています。

 息子たちのため、私はここで、平成29年の衆議院選挙終了時に、毎日新聞が行ったアンケートを、紹介します。国会議員諸氏が天皇制について、どのような考えをしているのかが、分かります。現在熱い議論となりつつある、「女性宮家」に対する、賛成・反対を問うたもので、女性宮家に賛成する議員は、女系天皇にも賛成し、将来の天皇制崩壊を容認する、馬鹿者たちです。

      自民党  公明党  日本維新  共産党  社民党  みんな 日本・みらい

  反 対     215          2             41             0            0             9            3

  賛 成      48         26               9            0             2             5            5 

  無回答        31          3               4             8             0            4             1

   合 計       294         31             54            8             2            18            9

  当時、民主党も存在したはずなので、なぜデータが抜けているのか不思議ですが、全体の数字が示されていますから、これでも大勢は分かります。

    全議員  480名  反対 280 名   賛成  129 名     無回答   71  名      

              (100 %)           ( 58.3 %)            (26.9%)                (14.8%)          

 結果は、国会議員の過半数が、天皇制の崩壊に反対しているということです。国会議員でありながら、自分の意思を明確にしない卑怯者が、「無回答」です。彼らは、情勢を眺めながら、どっちにでも転ぶ風見鶏です。共産党は、8名の議員が全員無回答ですから、卑怯者の集団であることが証明されました。村上氏は、宮本委員長に異を唱え、節を曲げず除名になりましたが、現在の共産党員は、様変わりしているようです。
 
 「天皇祭祀の矛盾が、自覚した国民により、一歩一歩解決されていくだろう」と、氏は楽観しましたが、国民より以前に、党員である議員が風見鶏の衆愚になっています。これでは、左翼の本が読まれなくなるはずです。
 
 もう一つ興味深いのは、政権与党にいる公明党の議員たちです。天皇制崩壊に賛成する議員が、31名中26名もいます。しかも「無回答」の卑怯者が3人います。この党は、保守自民党と一緒にいる意味があるのでしょうか。野党になったり、与党に与したり、公明党は立党以来,党自体がポピュリストであり、風見鶏です。
 
 一番興味深くて、情けないのは、肝心の自民党議員です。天皇制の崩壊に手を貸す議員が、なんと48名もいて、公明党の26名をはるかに超えています。「無回答」の議員数も31名で、断トツの数字です。戦後の日本の混乱を助長し続けた、矛盾だらけの政権党そのままの姿です。
 
 議員一人ひとりの信条を調べたいのですが、煩雑なので、主な議員を紹介します。ネットの情報ですが、まんざら嘘ではなさそうです。

  二階俊博 

 BS朝日番組の収録で、「女性尊重の時代に、天皇陛下だけ『そうならない』というのは、時代遅れだ。」「そうと決まれば国民には違和感はないと思う」と述べ、女性天皇を容認する考えを示した。

 岸田文雄 

 女性宮家の創設に反対で、選択的夫婦別姓制度にも、どちらかと言えば、反対。

  石破 茂 

 将来的に皇族は、悠仁親王ただ一人になってしまう可能性は、否定できず、男系男子のみで皇位を継承し続けることは、不可能に近い。皇室の安定的な継続を考える上で、このことに対しての議論を、避ける訳にはいかない。旧宮家の復活案もあるが、一般国民として長く人生を送ってきた人物を、皇位継承者とすることは、妥当性に疑問がある。

 皇室が途絶えることは、日本の国体そのものの滅失を意味するものであり、男系男子の皇位継承を基本としつつ、女系天皇の可能性も敢えて追求するべき。

  野田聖子 

 BS朝日番組収録で、女性天皇の是非について、「そもそも女性がだめな理由は、何なのか」と述べ、女性天皇が認められていない理由を、明確にすべきだとの見解を示した。

 二階、石破、野田の各氏は、間違いなく自民党内にいる、「獅子身中の虫」・「駆除すべき害虫」議員です。岸田氏は正論ですが、いかにせん優柔武断で、言語明瞭意味不明な、大平・竹下型の政治家です。信念を見せない策士政治家を、単純人間の私は、敬遠しています。

 村上氏の書評から外れたように、見えるのでしょうが、そうではありません。「天皇祭祀の矛盾が、自覚した国民により、一歩一歩解決されていくだろう」という、氏の期待が、現在の日本では当たらなかったとそう言いたいと思います。

 それでも完全な外れでなく、政治の矛盾と混乱が続いているというのも、事実です。氏の言葉通り、一歩一歩、努力する以外方法はありません。「皇統における、男系維持の重要性」につき、実例をご紹介する予定でしたが、次回にずれ込みました。

 次は書評から、大きく横道に入りますが、大切な皇室をお守りするためですから、息子たちも、我慢して聞きなさい。

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