ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

驕るNHK - 38 ( 『日本を決定した百年』 )

2019-09-07 15:30:16 | 徒然の記
 今回は横道に入り、吉田茂氏の著書『日本を決定した百年』の紹介です。
 
反日吉田教授のおかげで、50年ぶりに読み返しました。
 
 参考までに、目次を転記いたします。
 
  第一章 明治の創業  ・・・ 冒険と成功
 
  第二章 近代化のジレンマ
 
  第三章 戦後の二、三年  ・・・ 困難と努力
 
  第四章 奇跡の経済発展  ・・・ 勤勉と幸運
 
  第五章 奇跡の後で
 
 ワンマン宰相と新聞で叩かれていましたから、少年だった頃の私は良い印象を持っていませんでした。わが家の新聞は朝日新聞でしたので、私と朝日も考えてみれば長いつき合いでした。
 
 学生時代と違い、今回の再読は意義深いものになりました。朝日の酷評と異なり、氏は立派な日本の総理でした。田島氏の違法なメモよりずっと歴史的価値のある氏の著作を、息子たちにも伝えたくなりました。
 
 「率直に言って、食うものも着るものもない当時の日本で、百年の大計などはおろか、先々のことを考えて対策を立てるなどと言う、生やさしい事態ではなかった。」
 
「極端に言えば、その日暮らしの窮境にあった。」
 
 「政府と同じように国民もまた、その日の生活に追われて、生きるために奮闘しなければならなかったのである。」
 
 この文を読みますと、父や母の姿が浮かんできます。それだけでなく、近所の大人たちの貧しい服装や笑顔などが思い出されます。陛下とだけでなく、吉田総理も、私の親たちと一つになり戦後を生きていたと、そんな気持なってきます。
 
 息子たちに言います。せっかくの機会なので、総理の言葉にしばらく耳を傾けてください。NHKや反日学者たちの解説の誤りだけでなく、もしかすると父の偏見も、明らかになるかもしれません。
 
    「幸か不幸か、われわれはその日の生活のことだけでなく、日本の将来に関することも考えなくてならなくなった。」
 
 「占領軍が、徹底的な改革を指令したからである。」
 
 「実際、第二次世界大戦後に訪れた占領軍は、歴史に例を見ないものであった。」
 
 「すなわちアメリカは、ただ単に勝者としてでなく、改革者として日本を 〈 非軍事化〉するために、進駐してきたのである。」
 
 敗戦後の日本で最高責任者であった陛下と吉田総理の、占領軍に対する想いを図らずも、知ることができました。日本を非軍事化し、弱体化させたGHQを憎んでいましたが、案外そうでもない事実がありました。
 
 「彼らはそのための計画を、日本に進駐する前から作っており、日本に進駐してくるやいなや、計画通りに日本の非軍事化と、民主化を推し進めていった。」
 
 「アメリカ本国で組織され、準備を進めて、日本に来た人々は日本を改革すると言う情熱に燃えていた。」
 
 「彼らは典型的なアメリカ人として、精力にあふれ、楽天主義に満ちた人々であり、本質的な善意のため、日本人の尊敬と協力を得るのに成功した。」
 
 50年前の読書では気づきませんでしたが、総理は、GHQに対しかなり肯定的な評価をしていました。居丈高に高圧的に、政府を追い詰めるばかりではなかったと言うことになります。
 
 「しかしまた、彼らはいささか尊大であり、かつ過酷でもあった。彼らは、日本の経済の復興を認めていなかった。」
 
 「昭和20年11月、アメリカ本国から、マッカーサー総司令部に与えられた司令は、貴官は日本経済の復興または強化に対し、なんらの責任を負う事なし、と書いている。」
 
 「彼らは、古い政治構造を破壊し、徹底的な社会改革を行うことが、日本人の生活にどんな影響を与えるかについても、単純に、楽観的であった。」
 
 学生だった50年前の自分と、今の自分の違いも教えられます。学生時代は何も知らずに読んでいましたが、今は氏の一言一言が、「生きた歴史」として心に響きます。
 
 「8月末に進駐してきた進駐軍は、9月11日に、東条元首相などの戦争犯罪人を逮捕したのをはじめとして、日本軍隊の完全な武装解除と、軍事機構の廃止、国家主義団体の解散などの、非軍事化のための措置、」
 
 「好ましからざる人物の公職追放、思想警察、政治警察の廃止、婦人参政権の付与、労働組合の結成、などの民主化のための措置を矢継ぎ早にとった。」
 
 「教育改革、土地改革、財閥解体、新憲法制定などの措置も、だいたい一、二年のうちに行われたのである。それは、無血革命と呼べるような、大変化であった。」
 
 総理の叙述には、GHQに対する怒りや憎悪がありません。この発見は、陛下のお言葉と同じくらいの驚きで、田島氏のメモ以上に貴重な歴史の資料だと、そんな気がしてきました。
 
  ( このまま続けたいのですが、スペースの都合で、一旦終わります。)
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驕るNHK - 37 ( 一部の不心得者の、意見紹介 )

2019-09-07 06:03:17 | 徒然の記
  第5章の(5)は下記5項目で、今回は、その2番目です。
 
  ◦   驚きだが、気をつけて見るべき
 
  ◦   国際政治の冷厳な現実を重視
 
  ◦   主権国家なら、当然と言うこだわり
 
  ◦   リアリスト昭和天皇の、安全保障論 
 
  ◦   大局的に考えている 
 
 
 【  国際政治の冷厳な現実を重視 】・・・ (  一橋大学・吉田裕特任教授 の話 )
 
  ・この資料を見ると、昭和天皇は憲法を改正したうえで再軍備すると、かなりはっきり繰り返し述べているので、昭和天皇が、独立国家であれば、軍隊を持つのは当然だと考えていることが、よく分かる。
 
  ・明示的に憲法を改正したうえで、しっかりと再軍備することを考えていたと分かったことは、新たな発見だ。
 
  ・吉田茂は、軽軍備や安保のもとで憲法を改正せずに、経済成長を優先させるという、いわゆる『吉田ドクトリン』を採っていたが、昭和天皇がそれとはかなり違う路線を考えていたということも新しい発見だし、あまり予想していなかったので、驚いた。
 
 「ねこ庭」では、学者たちが何度も同じ言葉を繰り返し、NHKがそのまま伝えているところに注目しています。同じ言葉を繰り返すのはコマーシャルの手法で、視聴者をその気にさせる魔法です。
 
  ・吉田路線によって、憲法の問題をきちんと議論しないままなし崩し的に、再軍備が進み、その延長線上に今日があるということを考えると、原点においてこれだけ議論があったということを振り返ることは、重要だと思う。
 
 NHKが、多くの国民を共感させる素晴らしい番組をたくさん作っていることを、「ねこ庭」は評価しています。従って「ねこ庭」では、NHKの全てを否定しているのでなく、NHKの中にいる一部の不心得者を批判していることを知ってもらいたいと思います。
 
 数%にも満たない彼らが、NHK全体のイメージを損なっている事実を指摘し 、息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に紹介しています。
 
 その一部の不心得者の一人、吉田裕特任教授の意見の続きです。
 
  ・昭和天皇は一貫して、国際政治の冷厳な現実を重視する一種のパワーポリティクスみたいな議論が、非常に強くて、軍事的な空白が生じたらそこにソ連が入ってくるという考えが非常に強い。
 
  ・背景として、朝鮮戦争の勃発によって冷戦が熱戦に転化してしまったことが大きく、それとともに起こった国内の治安問題やレッドパージなどの、騒然とした事態への危惧も非常に強い。
 
 パワーポリティクスという言葉を辞書でひくと、「国際関係を理解する、最も基本的な考え方。」と説明されています。陛下がこの様な視点で話をされているからといって、それがどうしたと言うのでしょう。
 
 左翼学者たちはパワーポリティクスを、「権力政治」や「武力政治」と勝手に解釈していますから、陛下のお言葉を間違って受け取ります。だから氏も、左翼学者の仲間なのでしょう。
 
 略歴を調べると、次のようにありました。
 
  ・吉田 裕(よしだ ゆたか )は、昭和29年生まれ
 
  ・日本の歴史学者、一橋大学名誉教授 東京大空襲・戦災資料センター館長
 
 「戦争の記憶を風化させるな。」と訴える、平和的人道的左系学者の仲間でした。どうやら氏は、陛下より「吉田路線」を押し通した総理の方を批判している様です。
 
  ・吉田路線によって、憲法の問題をきちんと議論しないままなし崩し的に、再軍備が進み、その延長線上に今日があるということを考えると、・・
 
 総理の経済優先には理由があり、「なし崩し的に、再軍備を進めた」と決めつけるのは間違いです。軽装備を主張したのは、敗戦後の貧しい日本の現実を踏まえたためです。「なし崩しも」何も、吉田氏の頭にあるのは軍の再建で、時期がくれば「吉田路線」は変わりますし、変わって当然です。
 
 『拝謁記』を読めば分かる通り、田島氏が壁の役割をし、陛下のご意思は吉田総理に伝わっていません。「お言葉が伝わっていれば、終生氏が「経済優先」ではなかったはずと考えます。
 
  ・原点において、これだけ議論があったということを振り返ることは、重要だと思う。
 
「これだけの議論」と氏は言いますが、「これだけの議論」はどこにも存在しておらず、田島氏のメモの中の話です。
 
 学生時代に買った本が、手元にあります。吉田茂著 『日本を決定した百年』 です。なんとなく処分できず、本棚にしまいこんでいた一冊です。
 
 表カバーに葉巻を手にした笑顔の写真があり、裏表紙ーには和服に白足袋で、ステッキをついた氏が写っています。大磯の、自邸の庭で撮ったものと思われます。
 
 陛下だけでなく総理についても、反日左翼の学者たちのいい加減な評価を、NHKで発信してもらいたくないと思います。
 
 話が横道に逸れますが、丁度スペースがなくなりましたので、続きは次回といたします。
コメント (2)
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