第5章 (1)の、2項目めです。
◦ 自分が司令官になる認識も
◦ 戦前の軍隊否定も再軍備止むを得ず
◦ 長官繰り返しいさめる
◦ 侵略者が人間社会にある以上
◦ 国民向けメッセージも
【 戦前の軍隊否定も再軍備止むを得ず 】( NHKの説明文 )
「この頃、独立後の安全保障をめぐり、」「再軍備や、それに伴う憲法改正の問題で、」「日本の国論は割れていました。」「『 拝謁記 』には、東西冷戦が激しさを増し、」「朝鮮戦争が勃発する中で、」「ソ連の侵略を現実的な脅威と認識し、危機感を募らせていた昭和天皇が、」「戦前のような軍隊を否定しつつも、」「再軍備はやむを得ず、そのためには、」「憲法改正も必要ではないか、という考えを示していた、と記されています。」
陛下と田島氏の対話となる前に、註書きが添えられています。
「再軍備をめぐる問題について、吉田総理大臣にたびたび意見を伝えようとする昭和天皇」
(昭和26年12月24日拝謁時のお言葉)
田島氏
「そういう事は、政治向きのことゆえ、」「陛下が、御意見を御出しになりませぬ方が、」「よろしいと存じます。」「たとえ吉田首相にでも、お触れにならぬ方が、よろしいと存じます」
(昭和27年2月11日拝謁時のお言葉)・・・ サンフランシスコ平和条約調印後、半年が経過
陛下
「私は、憲法改正に便乗して、」「他のいろいろのことが、出ると思って、否定的に考えていたが、」「今となっては、他の改正には一切触れずに、」「軍備の点だけ、公明正大に、堂々と改正した方が、」「いいように思う。」
(昭和27年2月16日拝謁時のお言葉)
陛下
「再軍備に関して、憲法改正の方が良いと、」「吉田に言っても良いか。」
( 田島氏が尋ねられ、それを止めたと記されています。)
(昭和27年2月18日拝謁時のお言葉)
陛下
「吉田には、再軍備の事は、 憲法を改正するべきだという事を、」「質問するようにでも 、言わぬ方がいヽだらうね。」
田島氏
「呼び出すのは、よろしくありませぬが、吉田が皇居に来た際なら、」「だいぶ国会で、再軍備問題で、議論があるやうだが、」「一体どうかという程度の、陛下の御考を仰せになりませぬ形で、」「御質問になる程度は、およろしいかと存じます。」
(昭和27年2月26日拝謁時のお言葉)
陛下
「軍備といっても、国として独立する以上は、必要である。」「かっての、軍閥が悪いのだ。」「それをアメリカは、何でも軍は、全部軍閥だという様な考えで 、」「アヽいう憲法を、作らせるようにするし・・・」
( 注 : 戦前のような軍隊を否定しつつも、独立時の再軍備は必要だという認識を、重ねて示すとともに、戦力の保持を禁じた 憲法9条の制定過程に、不満をにじませる様子がうかがえます。)
陛下のお言葉への註書きといい、田島氏の返答の仕方といい、陛下の我慢が見えてきます。憲法改正と、再軍備に関するお言葉の頻度が、氏のメモで明らかになりました。こんなにも度々、陛下をお諌めしたと、自慢の証拠にしたいのでしょうが、果たしてそうなるのでしょうか。
陛下が吉田総理に言われなくても、日本の政治家なら、憲法改正と再軍備は現実論です。警察予備隊を検討する官僚たちに、吉田氏が行った訓話が証明しています。
昭和30年保守合同が行われ、現在の自民党が誕生し、党綱領の最後の6番目に、憲法改正と再軍備が書き込まれています。
〈 自由民主党綱領 〉
1. 国民道義の確立と教育の改革 - 正しい民主主義と祖国愛の高揚、国民情操の純化向上
2. 政官界の刷新 - 選挙制度や公務員制度の改正、中央と地方の責任行政体制、行財政の効率化
3. 経済自立の達成 - 年次計画による経済政策、農林漁業の安定、中小企業の振興、労使協力体制の確立、原子力の平和利用
4. 福祉社会の建設 - 社会保障施策の整備、生活環境の改善、社会正義に立脚した福祉社会
5. 平和外交の積極的展開 - 自由民主主義諸国との協力、国際連合への加入、原水爆の禁止
6. 独立体制の整備 - 現行憲法の自主的改正、自衛軍
島田氏が邪魔をせず、総理にお言葉が伝わっていれば、吉田氏は6番目を綱領の1番目に上げ、憲法改正に重点を置いたのかもしれません。
しかし設立時の党綱領の最後には、次の文言が書かれていました。
「党綱領には、憲法改正と、再軍備が最後にありますが、」「現在の自民党で、憲法改正や、軍備を口にする議員は、それほどいません。」「自民党にも、良識派の議員がたくさんいるということです。」
党綱領の最後に、このような言葉が書かれていたと言う事実は、戦後が終わっていないことを教えてくれます。NHKは、自民党内の良識派議員たちに向かって、この違法番組を作ったのでしょうか。
自民党の議員諸氏は、そろそろ目を覚さなくてどうするのでしょう。