ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

ジャパン・アズ・ナンバーワン - 2 ( ヴォーゲル氏の来日は2回 )

2019-09-18 16:15:46 | 徒然の記
 とっくに読み終えた本なのに、NHKの犯罪的番組と自民党の村上氏のため、書評が遅れてしまいました。
 
 このままスルーしようかと、何度か考えましたが、このところ日本に失望するブログばかり書いているので、多少とも日本を評価する米国人の意見を、息子たちに紹介するのも大切でないかと、そんな気になりました。
 
 今から40年前といえば、昭和54年のことです。氏が、日本のどこを評価したのか。確認するのも、無駄なことではありません。昭和54年がどういう年であったかを、ネットで検索しました。
 
【 1月 】
  •   アメリカ合衆国と中華人民共和国が国交樹立。
  •   イランのモハンマド・レザー・パーレビ国王がエジプトなどへ亡命。
 •    上越新幹線の大清水トンネル貫通(2万2228mで貫通当時は世界最長のトンネル)。
 •    鄧小平が、米中国交樹立をうけ、訪米。大統領ジミー・カーターとの会談後、最先端の航空・宇宙産業、自動車産業、通信技術産業を視察した。
 
【 2月 】
 •    イラン革命。
 •    カンボジアをめぐる対立から中越戦争が勃発。
 
【 3月 】
 •    アメリカのスリーマイル島原子力発電所で放射能漏れ事故。
 
【 5月 】
 •    イギリス、保守党の党首サッチャーが首相に就任(先進国初の女性首相)。
 •    日本電気(NEC)がパーソナルコンピュータ「PC-8001」を発表。
 •    本州四国連絡橋の第1号、大三島橋が開通。
 
【 6月 】
 •     欧州議会議員選挙の投票が実施され、欧州議会初の直接選挙が行われる。
 •     ウィーンでの米ソ首脳会談で、SALTII(第二次戦略兵器制限条約)が調印される。
 •     第5回先進国首脳会議(東京サミット)開催。
 
【 7月 】
 •     ソニーがヘッドホンステレオ「ウォークマン」を発売。
 •     イラク、バース党のサダム・フセインがイラク大統領に就任。
 
【 8月 】
 •    第1次大平内閣衆議院解散(増税解散、一般消費税解散)
 •    中央アフリカ帝国で、フランス軍による無血クーデターにより帝政が崩壊。
 
【 10月 】
 •  アメリカが、海外領土パナマ運河地帯の施政権を、パナマに返還。
 •  韓国の朴正煕大統領暗殺。
 
【 12月 】
 •   韓国で粛軍クーデター、全斗煥少将が軍の実権を掌握。
 •  ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻。
 
 1つ1つの出来事が、懐かしく思い出されます。パーレビ国王、鄧小平、サッチャー首相、サダム大統領、大平首相、朴大統領など、すでに故人となっています。「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり。」・・と、平家物語の一節を、思い出します。今も昔も世界は激しく動き、国々はいっときも休まず、争っていました。
 
 実際にヴォーゲル氏が日本を訪れたのは、昭和33~34年( 岸内閣 )と昭和50~51年( 三木内閣 )の二回ですから、主な出来事を調べるのなら、この時点にすべきでした。しかしそれはもう、面倒になりましたので、息子たちに言います。
 「各自ネットで検索してください。」
 
 次回から、書評に入ります。
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ジャパン・アズ・ナンバーワン ( 日本を分析した学者 )

2019-09-18 10:43:37 | 徒然の記
 エズラ・F・ヴォーゲル氏著『ジャパン・アズ・ナンバーワン』 ( 昭和54年刊 (株)ティービーエス・ブリタニカ)を、読んでいます。今から、40年前の本です。手にするのは初めてですが、有名な本でしたから、書名だけは知っていました。
 
 翻訳者は、数学者として有名な、広中平祐氏の夫人広中和歌子氏と、木本彰子氏ですが、どうして書名を、英語のままにしたのでしょう。中を読みますと、日本賞賛の書というより、成功した日本を分析・検討した解説書です。
 
 まだ98ページなので、断定するのは避けますが、印象としては、ルイス・ベネディクト氏の『菊と刀』に近い感じがします。つまり、日本への思い入れとか、好感からでなく、いつしか強大な国になった東洋の小国について、成長の原因を明らかにする、という姿勢で書かれています。
 
 『菊と刀』は、第二次世界大戦時、日本との開戦を前にしたアメリカが、日本研究のために書かせたと言われています。ヴォーゲル氏の本も、そういう意図を持つ文章ですから、題名の下には、「アメリカへの教訓」という言葉が添えられています。
 
 裏表紙にある、著者の略歴を紹介します。
 
 ・「1930(昭和5)年、オハイオ州生まれの、社会学者。」「1958(昭和33)年、ハーバード大学で、博士号取得。」
 
 ・「1958(昭和33)年から、1960(昭和34)年、来日し、調査・研究を行う。」
 
 ・「1967(昭和42)年、ハーバード大学教授となる。」
 
 ・「1972(昭和47)年、同大学東アジア研究所長となる。」
 
 ・「1975(昭和50)年から、1976(昭和51)年、再来日し、調査・研究を行う。」
 
 日本を高く評価した、素晴らしい本だと聞いていましたので、ブルーノ・タウトの『日本美の再発見』のように、好意的な意見が述べられているとばかり、思っていました。私の周りにいた人たちがそうだったのか、マスコミの宣伝がそうだったのか。あるいは、欧米人が日本について書くと、何でも有り難がる評論家たちが、そんな書評をしていたのでしょうか。
 
 前回のブログで鈴木氏が、日本の悪口を国内だけでなく、外国でも主張する不埒な日本人として、  西洋至上主義かぶれと、左翼思想かぶれの二種類の人間をあげていました。
 
 彼らはいずれも迷惑な存在ですが、それだけでなく、むやみに日本を褒め称える、右翼かぶれも加えなくてなりません。贔屓の引き倒しで顰蹙を買い、結局日本の評価を落としていますから、過激な人物はみな「迷惑な仲間」です。
 
 4年前に読んだ『ライシャワーの日本史』を思い出します。元駐日米国大使だった氏が、退任後に出した本ですが、知日派の元大使が書いた素晴らしい本であると、この本も随分賞賛されていました。実際に読んでみますと、賞賛されていたのは隣の中国で、日本は中国文明のお陰で成長した娘だ、と書いてありました。それだけでなく、敗戦後、GHQの統治下で変貌した日本については、東京裁判史観そのままの見方をしていました。
 
 取り立てて日本を賞賛をしてもらいたいと、思っているのでありませんが、西洋至上主義者と、左翼かぶれの愚か者たちが、大袈裟な欧米人賞賛をするので、不愉快になっています。
 
 わが国には、進歩的文化人などと呼ばれる日本人がいかに多いかを改めて知らされます。話が横道へ入りますが、ついでなのでライシャワー氏の本の一部を、紹介いたします。マッカーサーの日本統治に関する、氏の意見です。
 
 「アメリカ人が、およそアメリカ人らしからぬ、革命的情熱を、」「日本で燃やしたのは、なぜだろう。」「よく聞かされる説明は、日本社会は極めて悪質だから、荒療治で臨まなければ矯正できない、という説であった。」「この弁明は、ある点では、無知がもたらした結果であり、」「ある点では、マルクス主義的な解釈によるものであった。」

 このようにして、米国の内情を遠慮なくに語るため、氏を「親日派」と誤解したのでしょうか。後に続く主張を読み、それでも親日派だと思う人間が、果たして何人残るのでしょうか。
 
 「しかし、予見がいかに間違っていようとも、」「この薬は結果的に、なかなかの効き目を見せた。」「マッカーサーは、アメリカが生んだ、最も過激的な社会主義者、」「と呼んでもいいくらいの、指導者と化し、」「目覚ましい成功者の一人となった。」「革命的変革というものは、どこかよその国が、」「有無を言わせぬ軍事力を背景とした方が、実現はたやすいのである。」
 
 マッカーサーがした革命的変革には、財閥解体、保守政治家と軍人の追放、農地改革など沢山ありますが、最低だったのが、現憲法の押しつけです。一週間たらずで、彼のスタッフが書き上げた憲法を、無理強いし、受け入れなければ天皇を有罪にしたがる勢力を抑えられなくなると、脅迫しました。
 
 マッカーサーは朝鮮戦争が勃発すると、日本に再軍備を迫り、レッドパージをするという変身をします。
 
 この時以来、日本には軍隊があるのか、ないのか、おかしな状況が発生します。軍隊と言えないため、最初「警察予備隊」と言い、次に「保安隊」と呼ばせ、最後は自衛隊と言わせるようになっています。
 
 兵士を隊員、戦車を特車と言い換え、訳のわからない自衛隊は、一旦戦争になったら、国と国民を守るため戦うことができるのか。中途半端のまま今日に至り、政治家が右左に分かれて言い争う原因になっています。それを反日・マスコミが「平和憲法」などと国民をたぶらかし、国論を二分させています。
 
 ライシャワー氏は、マッカーサーの統治を他人事のように叙述し、アメリカの力を使えば、日本はどのようにも作り変えられると、傲慢な思考をします。中国には、古代からの文明国として敬意を払い、日本は中国から派生した付録のような書きぶりです。
 
 今でもライシャワー氏の名前を聞くと、氏を礼賛した日本人たちを軽蔑せずにおれなくなります。ブログのスペースがなくなりましたので、ヴォーゲル氏の著作の書評は、明日からになります。
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