ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

驕るNHK - 42 ( 米軍基地に関する陛下のお言葉 )

2019-09-09 14:23:46 | 徒然の記
 「沖縄メッセージ」の説明は、「沖縄県公文書館の公式サイト」にあります。
 
 同館の公式サイトでは、米国国立公文書館から収集したとして、『天皇メッセージ 』の英語の原文を、平成20年3月25日付けで公開しています。日本語で紹介されているのは、下記3つの文書です。
 
  (1)米国による琉球諸島の軍事占領の継続を望む
 
  (2)上記(1)の占領は、日本の主権を残したままで長期租借によるべき
 
  (3)上記(1)の手続きは、米国と日本の二国間条約によるべき
 
 同館の説明を、紹介します。
 
  ・終戦から2年後の、昭和22年9月19日、昭和天皇が宮内省御用掛の寺崎英成を通じて、GHQのシーボルト政治顧問に伝えられたもので、昭和54年アメリカ国立公文書館で見つかった。
 
  ・当時のメモには昭和天皇が、米国による沖縄占領は日米双方に利し、共産主義勢力の影響を懸念する、日本国民の賛同も得られるとしていたという。
 
 NHKのお陰で、米軍基地に関する陛下のお考えを知ることができ、「沖縄メッセージ」についても、正しい理解ができます。沖縄のマスコミは、NHKや朝日新聞以上の反日ですから、彼らが鬼の首でも取ったように、陛下のメッセージを濫用している様子が浮かびます。
 
 陛下のお考えを正く知っていれば、メッセージが、憲法を改正し軍を再建するまでの、あくまでも臨時措置として米国へ伝えられたものだと分かります。
 
 昭和22年がどういう年であったのか、これを忘れると的外れな意見になります。
 
 朝鮮の北半分をソ連軍が支配し、南の半分は米軍が支配し、米ソ両国が朝鮮半島の覇権を狙い、一歩も譲っていない時です。
 
 昭和23年の8月に、米国の支援で大韓民国が成立すると、9月には北朝鮮人民民主主義共和国が作られました。軍事力を背景にした米ソの対立が、一触即発の事態を招いていました。
 
 反日左翼の人間たちにはソ連をユートピアと見ていましたが、日本の保守層は共産主義を危険視していました。マルキシズムが、日本の文化や伝統を破壊する危険思想であるとは知られていましたが、当時はまだソ連の革命が、何千万という国民を虐殺していた事実は知られていませんでした。
 
 自国の利益のためなら、国際条約を破り、武力で他国を侵略するスターリンについて、戦後の政治家なら知らない者はいません。
 
 朝鮮半島での対立と抗争を見ていれば、次は日本の番かと警戒して不思議はありません。戦乱の中を生きられた陛下は危機感を抱かれ、独立のためには国を守る軍が不可欠と、お考えは一貫していました。
 
 しかし現実の日本は軍を解体され、米軍の占領下にありました。
 
 陛下が自己保身のため米軍の駐留を求め、代償として沖縄を差し出したと、反日の学者たちが言います。しかし陛下の「自己」は、「日本の国民」のことだと、「最後の御前会議」でのご発言を知る国民には、分かっています。
 
 反日左翼の古川氏は、次のように説明しています。
 
  ・沖縄とか本土の一部の地域に駐留米軍を置いておくことで、日本を守るんだという考えが、昭和天皇の頭の中に、ずっと戦後通貫した考えとしてあったと受け取っていいのではないか。
 
  ・昭和天皇にとって、安全保障上の持論だったということが、今回の資料で改めて分かった。
 
 氏と同じ資料を見て、「ねこ庭」のブログを書いていますが、陛下のお言葉から、氏のような結論は出てきません。
 
 「沖縄は見捨てられた。」「沖縄は差別されている」と、氏の言葉がそのまま反日のスローガンに利用されます。沖縄県公文書館を訪ねたことはありませんが、「沖縄メッセージ」の説明文には、おそらく同様のことが書かれているのでしょう。
 
 日本が憲法を改正し軍を再建したら米軍の駐留が不要になると、陛下のお考えは一貫しています。だが憲法改正後も、日本の安全を守る観点から、おそらく北海道と沖縄には軍の基地が置かれます。陛下が決められてそうなるのでなく、地政学的見地からそうなります。
 
 茶谷氏には、お言葉の文章全体の読解力が足りないのでしょう。米軍基地が今日も残っているのは陛下のせいでなく、「憲法改正」をしない政治家と、「憲法改正」を邪魔する国民の責任です。
 
 基地に関する陛下のお言葉を、息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々のため再度紹介します。
 
    「世の中の事は、全部正しいとか、全部正しくないという事は、まずないので、一部は真理を言うが、一部の不完全は免れぬと言うのが物の常。」
 
 「基地の問題でも、それぞれの立場上より論ずれば一応、もっともと思う理由もあろうが、全体の為に、これがいゝと分れば、一部の犠牲は、已(や)むを得ぬと考える事、」
 
 「その代り、一部の犠牲となる人には、全体から補償するという事にしなければ、国として存立して行く以上、やりようのない話であるのを、憲法の美しい文句に捕われて、何もせずにし全体が駄目になれば、一部も駄目になってしまうという事を考えなければと、私は思う。」
 
 「一部一部が、自分の利害の上から考へて、自分の利益権利という方に重きをおいて、全体の為にする義務という考えがないから、困ると思う。」
 
 「日本の国防という事を、現状に即して考えて、日本としてなすべき事たるが分かれば、誰かが、どこかで不利を忍び、犠牲を払わねばならぬ。」
 
 「その犠牲には、全体が親切に賠償するというより仕方ないと、私は思う。」
 
 「米軍が、日本の準備なき内に退去するよう仕向ける事は、いかぬと思う。」
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驕るNHK - 41 (  『沖縄メッセージ』への誤解 )

2019-09-09 05:05:36 | 徒然の記
 総理の話に一段が落つきましたので、『拝謁記』に戻ります。
第5章の(5)は、下記5項目でした。   2項目が終わり、本日は3項目からです。
 
  ◦   驚きだが、気をつけて見るべき               ・・・  日本大学・古川隆久教授
 
  ◦  国際政治の冷厳な現実を重視                     ・・・ 一橋大学・吉田宏特任教授
 
  ◦  主権国家なら、当然と言うこだわり        ・・・ 歴史家・秦郁彦
 
  ◦   リアリスト昭和天皇の、安全保障論       ・・・  志學館大学・茶谷誠一准教授
 
  ◦   大局的に考えている                                    ・・・  日本大学・古川隆久教授
 
 【  主権国家なら当然だというこだわり   】・・・ (  歴史家・秦郁彦氏の話 )
 
  ・旧軍閥の復活はダメだというのが前提で、憲法9条を改正して再軍備をすることが、主権国家として当然だというのが昭和天皇のこだわりだ。
 
  ・一方吉田茂も、独自の再軍備の構想を持っていた。ちょうどこの頃に、警察予備隊ができたが、吉田としては、日本の経済力が足りないうちは、本格的な再軍備はできないので、待っていてもらいたいという意味を込めて再軍備に反対していた。
 
 「掃き溜めに鶴」という言葉があります。類似語に、「ごみために鶴」「塵塚(ちりづか)に鶴」という言葉も、あるそうです。秦氏の意見がまさにそうで、ヘドロの中で、場所に似合わぬまともな意見に出会いました。
 
 古川氏と異なり、「旧軍閥の復活はダメだというのが前提で」と、正しく陛下のお言葉を解釈しています。
 
    自衛隊のような軍を考えておられるとか、外国に侵略できるような軍でないなどと勝手な解釈をしていません。
 
 経済力がついたにも関わらず、総理の後継者だった自民党の政治家たちが、憲法を改正しなかった怠慢だけが、残る日本の課題となりました。
 
 秦氏は、吉田清治が慰安婦狩りをしたと大嘘をついた時、済州島で現地調査を行い、事実が存在しなかったことを明らかにした学者です。もともと、このような反日番組に参加する人物でないのですから、断ればよかったのです。
 
 【  リアリスト昭和天皇の安全保障論   】・・・ (  志學館大学・茶谷誠一准教授の話 )
 
  ・実際に私の祖母が、内灘で試射場反対の座り込みやっていたので、その孫としては、少し複雑な心境なのは確かだ。
 
  ・今の観点から言うと、昭和天皇がひどいことを言っている。とても保守的な人だと思うかもしれないが、戦前の自由主義の価値観では、自分たちの国を自前の軍隊で守るというのは、当然のことなので、
 
  ・その視点から言えば、当然のことを言っているだけだ。現実主義的な、『リアリスト昭和天皇』の安全保障論が強く出ている。
 
  茶谷氏の意見を読みますと、「二羽めの鶴か?」と早合点する人がいるのではないかと思います。しかし氏は、そうではありません。
 
  ・昭和天皇が、昭和22年まだ日本が占領中の時期に、戦後日本の安全保障論として、沖縄および他の琉球諸島に、駐留米軍にとどまってもらいそれで日本の安全を守ってもらうしかないという、いわゆる『沖縄メッセージ』を出していることを考えると、
 
  ・沖縄とか本土の一部の地域に、駐留米軍を置いておくことで日本を守るんだという考えが、昭和天皇の頭の中に戦後通貫した考えとしてあったと、受け取っていいのではないか。
 
  ・昭和天皇にとって、安全保障上の持論だったということが、今回の資料で改めて分かった。
 
 『沖縄メッセージ』という言葉を持ち出し、陛下のお考えを推測するところに反日学者の影を見ます。『沖縄メッセージ』には以前から議論があり、様々な解釈があります。
 
 良い機会なので、曖昧だった自分の知識を整理し、息子たちに伝えておきたいと思います。陛下への誤解をなくすためにも避けて通れませんので、詳しくは、次回といたします。
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