今日から、「第5章. 再軍備・改憲」の(2) にかかります。
(1) 再軍備・改憲 やりとり詳細
(2) ソ連の侵略 現実的な脅威を認識
(3) 旧軍と軍閥 頑なに否定
(4) 基地反対闘争に批判的な見解も
(5) 再軍備・改憲 専門家の見方
上記(2)の 内容は次の2項目で、上から順番に行きます。
◦ 募るソ連への危機感
◦ 吉田はどうも楽観に過ぎる
「『拝謁記 』の記述からは、東西冷戦が激しさを増し、朝鮮戦争が勃発する中で、昭和天皇がソ連の侵略を現実的な脅威と認識し、危機感を募らせていたことが、みてとれます。」 ・・・ 以上が、 NHKの説明文 です。
【 募るソ連への危機感 】
〈 昭和27年4月9日の拝謁時のお言葉 〉
陛下
・ソ連という国は、何をするかわからない 。
・中立不可侵条約があったにもかかわらず、日本が仲裁を頼んであったにもかかわらず、か宣戦して来るという国だ。
・ソ連は自国発展の為には、手段を撰ばない国柄だ。
〈 昭和27年4月30日の拝謁時のお言葉 〉
陛下
「ソ連の、侵略的なる事は確かだ。」
〈 昭和28年6月17日の拝謁時のお言葉 〉
陛下
・ソ連の、平和を口にして侵略的の実行をするのは、どうも戒心を要する。
・戦前のドイツが今のソ連であり、持てる国、持たざる国という様なスローガンが、今度は、平和という違いはあるが、これは全く同じで、その表面の言葉につられて、国民がだまされては大変だ。
・日本は海一つ隔てているだけで、いつでもやって来れる。それに備へるものがなければ、共産勢力は弱いと見れば来るに決まっている。
〈 昭和28年6月24日の拝謁時のお言葉 〉 ・・ ソ連共産党大会でのスターリン演説
陛下
・英国は成長した国で、老巧であるが、然しこれは実力が落ちた。
・そこへ行くと、ソ連は米国より上手だ。その上手のソ連が、朝鮮が変になると出て来る。
・中共ならばまだいいが、ソ連と直接境を接するやうな関係になると、日本は余程しっかりしないといけない。
〈 昭和28年6月30日の拝謁時のお言葉 〉
陛下
・ソ連のやり方は、米軍が駐留すれば戦場になるぞとおどかし、又、中共貿易のような甘言を以て釣り、 日本国を共産陣営へ引き込もうとしてる事は、戦前のドイツのやり方と全然同じであり、
・ヒツトラーが、武器を沢山作ってソ連にこれを売るぞと軍人をおどかし、反英米となれば日本人は利益を得ると釣った点は、全然同じだ。
・その点を日本人は、もっとはっきり認識せねば駄目だ。
【 吉田はどうも楽観に過ぎる 】 ・・ 米国に防衛強化を迫られながら、動かない総理へ
〈 昭和28年8月11日の拝謁時のお言葉 〉
陛下
・楽観して、呑気なことを言ってるのはどうかと思うがね。
・現に日本は、虎視眈々たるソ連が居るのに、国力がとか言って呑気なのはどうも心配だ。
ここで、古川教授の言葉をもう一度紹介します。
・昭和天皇が、田島との対話の中で、自らの考えが時代後れだと気づき、説得され、自分で考えて、納得した末に考えを変え、最終的に、落ち着くべきところに落ち着いていった過程が、この資料からよくわかる。
一連の会話のどこに、「時代遅れの」陛下がおられるのでしょう。
田島氏とブレーンが陛下を変えていったと、古川氏は喋りますが、陛下のお言葉を聞く限り、そのような気配はありません。逆に国民の多くは、陛下がここまで考えておられたのかと、敬意の念を抱くのではないでしょうか。
NHKと古川氏が合作した違法番組の悪臭に、顔を背けたくなるのは「ねこ庭」の私だけでしょうか。