ねこ庭の独り言

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東大教授・小島毅氏 - 6 ( いつか国へ戻すべき神社 )

2021-04-16 14:43:39 | 徒然の記

 靖国神社は、なぜ国会議員の要請を受け入れなかったのか。その理由は、小島氏が言う「靖国神社の特異性」にあると考えられます。ただし、氏が述べるような、「忠臣・逆臣二元論」でなく、日本における特殊な位置づけにある、と言う気がします。

 ネットの情報で、次のような説明を見つけました。

 「靖国神社は単立神社として、神社本庁との包括関係に属していない。」「これは、『靖国神社は、日本国護持の神社であり、いつかは国に返すべきなので、」「特定の宗教法人の包括下に入るべきではない』という、靖国神社・神社本庁双方の判断によるものである。」
 
 「このような経緯のため、靖国神社と神社本庁とは、包括・被包括の関係にないながらも、密接な協調関係を保っている。」
 
 いつか国に戻される時のことを考え、靖国神社が神社本庁の管轄外にあるのだとすれば、合祀の基本を変更するような大問題は、国に戻った後で検討すべきとして、即答を避けているとは考えられないでしょうか。
 
 憲法が改正され、国を守る軍が再建されれば、昔のように陸海(空)軍が祭神を内定し、内閣の助言のもとに、天皇が承認されると言う手続きが戻ります。
 
 戦前は祭祀の手続き窓口が陸・海軍でしたが、現在では、厚生労働省の社会・援護局が窓口となっています。祭祀の基本を決定するような組織でなく、次のような様々な実務を担当しています。

 「残留兵の帰還や慰霊巡拝などの慰霊事業」「戦没者遺族や戦傷病者などへの援護年金等の支給」、「中国残留邦人への帰国援護や帰国後の生活支援」など ・・・

 平成8から10年にかけての橋本内閣時代に、行政改革が行われ、厚生省と労働省が一つに集約されました。年金、医療、介護、生活保護、児童福祉等々、予算額も仕事の内容も膨大な省庁となっています。

 靖国神社から見れば、軍から省への窓口変更は、軽視されている気がするのではないでしょうか。国のために命を捧げた英霊に対し、敬意を払う軍人でなく、単なる事務担当者ですから、相談する気が起きないのでないかと、そんな気がします。

 もし私が靖国神社の司祭者の一人だとしたら、国への失望が先にたち、議員諸氏の申し出や要望に、向き合う気持ちになれないと思います。

 「先生方が祭祀の変更を望まれるのなら、まずは英霊をお祀りしている靖国を、」「英霊に相応しい神社に戻すことが、先ではありませんか。」「順序が間違っていませんか。」

 現実には、誰もこのように意見は言っていません。いろいろなことを調べた私が、自分の気持ちを喋っているだけです。

 皇学館大学の新田均教授の言葉も、見つけました。「忠臣・逆臣二元論」は、とっくに解決されており、今更持ち出す話ではないと言う意見のようです。東大名誉教授の小堀桂一郎氏の意見を紹介する形で、婉曲に語っています。

 「靖国神社には、二種類のご祭神が祀られています。」「一つは、戦争で亡くなられた方々、」「もう一つは、戊辰(ぼしん)戦争以前の、維新の変革の中で犠牲になられた方々です。」
 
 「後者は数こそ少ないですが、志半ばで倒れていった同志をしのび、」「その志を継承して、生き残った者たちが営んだ招魂祭に由来し、」「それが、靖国神社の原点でした。」
 
 「その招魂祭が、明治天皇のおぼしめしで東京招魂社に、」「やがて靖国神社へと発展する過程で、」「『伝統的な温情と和解の心』が働いたと、小堀桂一郎氏は指摘しています。」

 私が注目しましたのは、『伝統的な温情と和解の心』が働いたという、小堀教授の言葉でした。新田、小堀両氏とも、具体的な事実に触れていませんが、政治家たちの申し出を説明する時、わざわざ使っている意味を考えさせられます。要するに『伝統的な温情と和解の心』とは、聖徳太子以来の日本人の心である、『和をもって尊しとなす』の意味ではないのでしょうか。

 元宮が京都から東京へ移され、東京招魂社から靖国神社へと発展する過程で、すでに二元論は解消していると、両氏が述べているような気がします。明治天皇の思し召しというだけでなく、時の政府の要人も国民も、和解を納得していたのではないでしょうか。現在の私たちの合理的思考では、曖昧でしかありませんが、こうした「玉虫色」の意見が、難題を解決するご先祖の知恵でもありました。

 とは言いながら、私自身自分の推察を全て納得しているわけではありません。新田、小堀両氏の意見を受け入れるとすれば、靖国神社としてやるべき行為が残っています。

 長くなりますので、一旦ここで一息入れ、次回へ進みます。

コメント
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