前回紹介しました通り氏の所信表明は、「内政」、「外交」、「安全保障」の順番ですが、肝心の「憲法改正問題」を語らないため、中身のない一般論となっています。氏の饒舌な話を詳しく紹介することに何か意味があるのかと、疑問が生じてきました。
このブログの目的は「NHKの映像問題」で、公共放送の使命を忘れ、国民の信頼を失いつつあるNHKを、なぜ自民党の議員諸氏は黙認しているのか、その原因を検討することにあります。氏のような大物議員が総務会にいれば、なるほどNHKへの危機感が議題にならないいだろうと、おおよその検討がつきます。
憲法問題について正論を持ちながら、総裁選挙で自ら封印した姿勢を見れば、信念の所在も疑わしくなりました。日本を愛する心がある政治家なら、持論を隠し、対立候補の批判に終始する演説をするのかと不快感さえ覚えます。氏の意見を聞いていますと、安倍氏が何もしなかったということになりますが、安倍内閣の閣僚だった時、氏は何か積極的に指摘をしたのでしょうか。
次も「内政」に関する意見の一部を紹介しますが、以後は大きく割愛しようと思います。あくまでもブログの目的は、氏のような総務委員がいて、NHKの「年度予算計画」を黙認しているという事実を確認することにあります。
〈 石破氏の意見紹介 〉・・内政問題 (経済)
「内政について、申し上げます。その一番目は、経済です。私はこれを、石破ビジョンと呼んでおります。骨子は、次の三点に絞られます。」
1. 中小企業、地方経済の潜在力を可能な限り伸ばし、経済成長の中心とする。
2. 多様な働き方と社会参加を推進することにより、新しいアイディア、技術、イノベーションが生まれる構図を構築する。
3. 経済格差問題を含め、国民に信頼を持って頂ける社会保障制度を確立し、安定的な消費を喚起する。
「毎年各省庁が発表する目玉政策を、競い合っているだけでは、国民は翻弄されるばかりです。大事なのは、潜在成長力を高める施策なのです。具体的に言いますと、次の三つです。」
1. 現在官邸、各省庁にある会議や委員会を整理、再編する司令塔として、「日本創造会議」を設け、この下に各種委員会が機能する体制を作る。
2. 地方の中小企業に対し、幅広く寄り添う形で伴走する「地方創造推進機構」を設立する。
3. 総理直轄の「経済・金融総合対応会議」( 日本版NEC )を設立し、経済のグローバル化や経済戦争に対応する。
「 NECとは社会と技術の変化を見据え、I C Tで新たな社会価値を創造するもので、ビッグデータ、クラウド、ネットワーク、パブリックセーフティなどの最先端I C Tで、豊かで明るい未来の創造に取り組んでいく。」
理論家を自認する人間は、論点毎に番号をつけて話をしますが、この番号にはさらにいくつも小番がつきますので、ぼんやり聞いていると何が何だか分からなくなります。具体論とは言いながら、新しい会議や機構を作るという抽象論ばかりです。
「日銀の黒田氏は、2年間で2%の物価上昇率を達成すると言いました。しかし、もう 6年目に入りましたが、昨年は前年比 0.7%の上昇しかしていません。地方の中小企業こそが、経済成長の力なのです。それを忘れてはなりません。」
最後に安倍総理の財政金融政策を批判して、内政の意見が終わり、次は社会保障政策ですが、限られた時間の中で何もかも話そうとしているのか、手にしたメモを忙しく読み上げ氏は先を急ぎました。今でも私は、こんな氏を支援した議員たちが理解できませんが、当時のマスコミは安倍氏より石破氏に好意的な記事を書いていました。移り気なマスコミは不人気な氏に見切りをつけ、今度は河野太郎氏を持ち上げ、総理候補にしようとしているようです。
〈 石破氏の意見紹介 〉・・内政問題 ( 政治・行政の信頼回復百日プラン )
「内政問題の最後に、〈政治・行政の信頼回復百日プラン 〉 について、ご説明いたします。内容は、官邸の信頼回復、国会の信頼回復、行政の信頼回復の3点です。」
「まず最初に、官邸の信頼回復について申し上げます。」「内閣人事局設置の目的は正しかったが、運用がまずかった。従来の官僚は省益を第一として働き、国益を忘れました。省益より国益を優先する役人を任用するため、官邸が官僚の人事権を握るという目的は正しかった。」
強いて引用する必要もありませんが、氏が総裁選でどのように安倍総理を批判したのかという例の一つとして、息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に紹介します。
「しかし、官邸の人事考課のプロセスが不透明だったため、機能しませんでした。官邸の人事考課のプロセスの明確化と、透明化、そして事後の検証を可能にする体制を、構築します。このためには、外部の専門家も登用します。」
「現在の外部有識者の登用基準を見直し、党によるチェック機能も確立します。利害関係者と、官邸の接触基準も明確化し必ず記録を取るようにし、その保管も義務化します。」
モリカケ問題の時、安部総理が誰と何時会っていたのか、記録が不明確だったため、国会が紛糾したことに対する提案です。野党や地方の自民党員には賛成者が多いのでしょうが、煩雑な事務処理の改善説明が、総裁選挙の所信表明に相応しいのか疑問になりました。
「 2点目は、国会の信頼回復について、申し上げます。」「私は行政管理機構を創設し、同時に、オンブズマン制度を導入致します。党首討論は、定期的開催といたします。憲法改正に関する、国会論戦の進め方を改正します。」
「スキャンダル系の議論を、憲法改正や予算審議など、本来の議案を審議する委員会から分離します。スキャンダル系の議論は、新たに別の委員会を設けます。」
国会議員の選挙時の公約のように、思いつくままに上げれば、こういう意見も出てきます。全て法律の改正が伴いますから、氏の考え通りにできるのかよく分かりませんが、画期的な提案も混じっています。
「国会審議における、事前通告制度を徹底し、充実した議論ができるようにいたします。官僚に対する政治家の対応は、パワーハラスメントになってはなりません。」
国会討論の動画を見ていますと、質問する議員が、事前通告無しの案件を突然持ち出し、審議を中断させたり混乱させたりしています。大事な提案ですがこの提案も、国会関係者が集まって検討すれば良い話で、総裁選の所信表明に加える案件でしょうか。
「3点目に、行政の信頼回復について申し上げます。」
1. 公文書管理の徹底。
全省庁に公文書管理官を置き、国会への報告義務を負わせる。
2. 電子媒体による文書管理の徹底。
改ざんのできないシステムの構築をする。
3. コンプライアンス体制の確立。
官邸のもとに、各省庁の法令遵守調査室長の連絡会議を創設する。
4. 人事制度の見直し。
幹部公務員と一般公務員を分離し、幹部公務員には外部人材の積極的登用をし、官界、民間、政界の交流を積極化する。
5. 公務員の働き方改革推進。
「公務員が、奮い立って働けるような体制の構築。中央省庁でやれないような改革が、どうして全国でやれようか。局長級の政策立案会議は現在もあるが、抜本的に見直し強化します。行革担当大臣が、兼務することが必要です。」
安倍総理との違いを出そうとする思いが先に立ち、総理を目指す選挙の趣旨を間違え、単なる項目の羅列をしたと、今でも私はそう考えています。国会で関係者を集め、事務的な作業をすれば良いレベルの話ばかりで、メモをとりながら私は呆れました。
そろそろ止めたくなりましたが、外交関係の意見は重要なので次回に紹介します。