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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『日本史の真髄』 - 59 ( NHKに続き、参議院もか )

2023-02-18 16:27:22 | 徒然の記

   「 十闋 城伊澤  ( いざわにきづく ) 桓武天皇と蝦夷征伐       8行詩 」

 桓武天皇のお人柄についての、氏の解説を紹介します。

 「ご在位中の政治で目立つことと言えば、何と言っても新しい大きい都の建設という巨大土木工事と、たび重なる蝦夷征伐である。更に文化面では、藤原葛野麻呂 ( くずのまろ ) を大使とする遣唐使を送ったことが重要である。 というのはこの中に最澄や空海がいて、日本仏教の新しい出発のもととなるからである。」

 蝦夷征伐についてはあまり知りませんが、平安京の建設や最澄や空海の話はよく知っています。桓武天皇と結びついていなかったのが、今回は一つになり、日本史の転換点におられた方と認識しました。

 「また一方、私生活のスケール(?) も大きかった。記録に残っているだけでも、皇后以下二十六人の後宮の女性に、十六人の皇子と十九人の皇女を産ませている。三十五人の子を持つのは、日本人の中では珍しい。徳川十一代将軍家斉と比べられる数である。後宮の女性の中には、子供を産まなかった者も少なくなかったであろうから、三十人以上の女性と関係があったと考えてよいであろう。」

 氏自身も疑問符をつけていますが、こういうこともスケールが大きいと言うのでしょうか。79年生きてきた自分の経験からしますと、自慢にも何もならない話です。

 「ただこれは、これだけの女性が同時に後宮を成していたわけでなく、主として桓武天皇の長寿によるものである。当時の女性は死亡率が高かった。産褥熱なども多かった。従って、長寿の権力者の後宮の女性の数が多くなるのは、交替が激しいことが大きな原因となっていることが考えられる。」

 そう言う歴史的事実の説明なら参考になり、桓武天皇のお人柄を満遍なく読者に伝えたいと言う、氏の学者としての姿勢も評価します。それでも、わざわざ知りたい話でありません。

 「いずれにしろ、平安京を定めた天皇は、スケールが大きかった。桓武天皇という漢用の呼称は『詩経』にある、〈 桓々たり武王、その土 ( くに ) を保有せり 〉という文句から取られたものであるという。」

 息子たちや「ねこ庭」を訪問される方々にとっても、後宮の説明より『詩経』の話の方が参考になる気がします。

 「そしてどの国でも、大王の風格のある君主の治世を特徴づけるには、軍事と土木の両面を取り上げた。頼山陽も、この桓武大帝を『日本楽府』で扱うにあたっては、まさに軍事と土木の側面を取り上げた。しかもそれを、下積みの犠牲になっている者の視点から見るという、鳥瞰的ならぬ、蛙瞰的なユニークな切り口を示したのである。」

 蛙瞰的 ( あかんてき ) という言葉を初めて聞きます。辞書を引いてもありませんので、おそらく鳥瞰的 ( ちょうかんてき ) の反対語なのだろうと見当をつけました。面倒を好まない息子たちのため、私の推測を紹介しておきます。

 ・鳥瞰的・・鳥が空から地上を眺めるように、全体として広く眺めること

 ・蛙瞰的・・蛙が地面から空を眺めるように、物事の一部分を眺めること

 十闋で紹介される漢詩は、蝦夷征伐のため奥羽に建設される城の工事で、使役に駆り出された庶民の気持ちを代弁したものだそうです。どれほど大変な工事だったかを先に説明する方が、読者の理解を深めると考えたのでしょうか。頼山陽の詩を紹介せず、蝦夷征伐の解説を優先させています。後宮と違い、蝦夷征伐の話は学徒として関心がありますので、氏の手順に従います。

 話と言えば国会では、当選以来一度も議場に顔を出さず、欠席を続けているN党のガーシー議員が話題になっています。なぜ氏は議員としての責務を果たさず、出席を促されても外国に居続けるのか。

 「日本に帰ったら、反対勢力から犯罪者にされる。」

 「国会議員になっても日本へ帰らず、外国から日本の間違いを正す活動をすると有権者に約束して、当選した。だから自分は、30万人の有権者との約束を守っている。」

 「党首の立花氏からも、当分日本に帰らず、外国で政治活動をするように言われている。」

 本人の言い訳ですが、呆れて物が言えません。日本は議会制民主主義の国ですから、議員の政治活動は国会を通じて行われるようになっています。国会を無視して政治活動をするというのなら、この人物は「議会制民主主義」を否定し、日本の政治基盤を破壊しています。間違いを正すという本人が、こんな大きな間違いをしてどうするのでしょう。

 「NHKをぶっこわす」というN党が、「日本をぶっこわしている」というのに、与党も野党も参議院では何も対応ができません。NHKに自浄能力が無いと言ったのはつい先日でしたが、何と参議院も同じでした。「良識の府」と言われたのは昔の話で、今は常識さえもない政治家が集まるようになったのでしょうか。

 恥を知らないガーシー氏とN党党首も、屁理屈が許されるのは暫くの間です。やがて国民に愛想を尽かされ、「澱みに浮かぶうたかた」のように、かつ消えかつ結びて流れに埋没するに決まっています。 

 今の私はこんなつまらない話を聞くより、渡部氏の蝦夷征伐の説明を聞く方が遥かに有意義です。次回は、蝦夷征伐の説明を紹介します。

コメント (2)
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