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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『日本史の真髄』 - 53 ( 遣唐使と、明治政府の話 )

2023-02-13 22:32:41 | 徒然の記

 渡部氏の解説の前に、頼山陽の「書き下し文」と徳岡氏の「大意」を紹介します。

 〈「書き下し文」( 頼山陽 ) 〉 七行詩

   遣唐使 留学生

   臣清河(きよかわ) 臣朝衡(ちょうこう)

   使いする所は何の命ぞ 学ぶことは何の道ぞ

   顔(がん)あり 能(よ)く結ぶ李家の纓(えい)

   猶(なお)知る 頭(こうべ)を回(めぐ)らして出月(しゅつげつ)を望むを

   月の出(い)づる処は 即ち日の出(い)づる処

   月光明明として海光はるかなり

 〈 「大 意」( 徳岡氏 )  〉

   遣唐使がいた 留学生がいた

   臣清河(きよかわ)であり、 臣朝衡(ちょうこう)である

   どのような命を受けて遣唐使となったのか、何を学ぶへく留学生となったのか

   面目あることに 立派に唐朝の官職に就いた

   それでもやはり、東方に月の出を望まずにいられなかった君

   月の出るところは、とりもなおさず  " 日出づる処  " 日本 君の故国だから

   月の光はしらじらと冴え 海は月光にきらめいて限りないその距離・・・

 ここで渡部氏は直接頼山陽の漢詩の説明をせず、思いがけない話をします。

 「留学生というのは、明治以来の日本の青年にとって、最も魅力的な言葉であった。日本を代表するに相応しいと目された青年が、欧米先進国の学問・文化・制度などを研究して、日本の近代化の先達になろうというのである。」

 「日本の陸海軍を作り、ロシアに勝つ制度を作った人たちも、学問の諸分野で権威と言われるようになった人たちも、たいていは留学生だったのである。」

 遣唐使の漢詩が、どのように明治維新時の留学生の話と繋がるのか、何となくわかる気もしますが、真意はまだ掴めません。

 「そして明治政府の留学制度は、成功であったと言ってよいであろう。日本は最も遅く欧米の勢力に門戸を開いたにもかかわらず、たちまち近代化に成功した、唯一の有色人国になったからである。」

 唯一のアジアの国と言わず、氏は有色人の国と説明します。世界史を理解する上で、白人と有色人という言葉は重要な意味を持ちますが、人種差別につながるので世間的には曖昧にされている部分です。白人対有色人の話を始めると、それだけで何冊もの本となり、しかも未解決の難題です。

 氏も、この問題に重点を置いている訳でありませんから、別の説明をしています。

 「日本の成功は、他の有色人種の国々によっても真似られた。あの誇り高きシナ人 ( 当時は清朝末期 ) も、日本の近代化の成功を見て甚大なる衝撃を受け、千年以上も続けてきた科挙の制度を廃止して、代わりに日本へ留学生を送ることとしたぐらいであった。」

 この辺りの話になりますと、中国や韓国・北朝鮮の政府が反発し、「歴史認識が間違っている」と文句をつけてきますが、氏は事実を語っていると思います。

 「第二次世界大戦で日本は敗れたけれども、欧米の大国と対等に近代戦をやれるほど近代化に成功した唯一の有色人種の国として、世界の各地に新しく独立した数十の国々の手本になった。」

 こういう氏の説明も今日の日本では歓迎されず、認められません。単に事実を述べているに過ぎないと、私は思いますが、日本国中に根を張った反日左翼勢力が大反対します。少しでも戦前の日本を肯定的に語ると、大合唱が始まります。

 「軍靴の響きがする。」「他国を侵略した軍国主義を賛美している。」「反省のない植民地主義者の居直りだ。」

 昨日まで「ねこ庭」で取り上げていたNHKが、マスコミの先頭に立ち世間を扇動します。こういう風潮を知りながら、氏はなぜ明治政府の話をするのか、何か別の意図があるのでしょうか。自分のブログでもそうですから、テーマを外れて横道へ入ることには慣れています。

 「遣唐使の話」とどこで繋がるのか、次回も息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々へ続きを紹介します。

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『日本史の真髄』 - 52 ( 情報戦争下の日本 )

2023-02-13 14:30:35 | 徒然の記

 NHKのドキュメント『緑なき島』のブログが終わりましたので、今日から中断していた渡部昇一氏の『日本史の真髄』 へ戻ります。先月の16日以来ですから、約一ヶ月ぶりです。どこまで進んでいたのか、自分でも分からなくなっているため、目次を確認しています。

   八闋 和気清  (  わけのせい  ) 和気清麻呂と道鏡                 7行詩

   九闋 遣唐使    ( けんとおし ) 帰らなかった遣唐使                    7行詩

   十闋 城伊澤    (いざわにきづく) 桓武天皇と蝦夷征伐                   8行詩

  十一闋 髫齓天皇    ( ちょうしんてんのう  ) 藤原一族の繁栄             6行詩

  十二闋 賢聖障子    ( けんじょうのしょうじ  ) 菅原道真の出世と左遷         8行詩

 青字で表示した、八闋(けつ)の漢詩の紹介が終わったところでした。氏の著書の目次は全部で二十三闋ありますから、まだ半分以上残っています。日本に住む私たちにとって、公共放送であるNHKも大切ですが、皇室はそれ以上に大切な日本の宝です。何日間中断しても、「ねこ庭」で取り上げ続けなくてなりません。

 皇室とNHKは憲法と共に、戦後の日本で反日の左翼学者によって歪められつつあるところが共通しています。この三つの存在が、それだけ日本にとって大切なものである証明ではないでしょうか。皇室とNHKと憲法が日本に重要なものでないのなら、世界の反日勢力がここまで執拗に干渉する理由が見つかりません。

 元々戦前の国内に、皇室を否定し、NHKの報道を批判攻撃する人間たちがいましたけれど、誰の目にも見えるように批判し、ゆがめるようになったのは、敗戦後のGHQによる統治が出発点でした。以後日本の重要な問題に関する争いには、国内の反日勢力だけでなく他国の反日勢力が関与するようになり、現在に至っています。

 ウクライナの戦争を見ていますと、日本の姿が重なります。マスコミはひたすらロシアを悪者にし、ウクライナを悲劇の国として報道しますが、ゼレンスキー政権の中にいて、他国の支援を自分の懐に入れる腐敗した指導者のいることを忘れてはいけません。こういう政治家は国民の敵であり、「獅子身中の虫」です。マスコミの報道を見て感じるのは、この戦争が最初から今日まで、互いに真偽不明の情報戦を仕掛けているところです。

 日本も弾薬の飛び交う戦争をしていませんが、にせ情報の氾濫する「情報戦争」の中にいます。血を流す傷がなく、重傷者や死者が発生しないため、戦争の自覚がありませんが、今の状況が「情報戦争」なのです。他国は意識して行動していますが、日本国民と政治家だけがこれを認めようとしていません。

 NHKと皇室、憲法問題の解決が、なぜこれほど長期間かかっても先が見えないのか、原因は国内だけでなく他国の反日勢力が関与する情報戦争だからです。

 これではいけないと、国民の多くが考えるようになり、自民党の政治家の中にも危機意識を持つ人物が声を出すようになりました。その中の一人が暗殺された安倍元総理だったと、私は今でも考えています。

 「国民主権」の憲法下だから国の主人は国民だと、学者や政治家が主張しますが、日本の歴史を考えますと果たしてそれだけで良いのかと、疑問を覚えるのは私一人でありません。

 ご先祖が護られたてきた皇統はこれからも護持すべきでないのかと、考えの末はここにきます。渡部氏のように節度を弁えながら、皇統や皇室について自分も意見を述べようと思います。左翼系の反日学者たちが扇動し、日本の伝統や歴史を崩壊させる心配が消えないからです。

 皇室の方々ご自身も日本の歴史を本気で学ばれ、ご自身でも皇統を守る大切さを身につけられるべきでないかと、そんな気がしています。1月16日のブログと重複する意見となりますが、何度述べても言い足りない日本の現状があります。自分の気持ちが切り替わりましたので、次回は九闋の紹介をします。

  九闋 遣唐使  ( けんとおし )  帰らなかった遣唐使          7行詩

コメント (2)
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