前回このように言いましたが、予定を変更し、別の小道を選択します。なぜなら息子たち、あるいは「ねこ庭」を訪問される方々に、重要な情報が不足しているのではないかと考えたからです。
・国連はなぜ、日本にそれほどの重きを置いていたのか。日弁連の弁護士戸塚悦郎のロビー活動が、なぜ国連を動かすほどの影響力を持っていたのか。
これを明確にしないと、国連人権委員会が、日本固有の問題を重要課題として取り上げた理由が判明しません。別の言葉で言いますと、「国際社会での日本の位置づけはどうなっていたのか。」ということです。
情報が溢れている日本にいながら、私たち国民は「国際社会での日本の位置づけ」を意外と知りません。
「日本国憲法」が、先の戦争では日本だけが間違った戦争をした悪い国として以来、政治家もマスコミも国民に対し「反省」と「謝罪」を語り、大国となった日本の実態を説明しませんでした。得意になり威張る必要はありませんが、国民はやはり自分自身で大国となった日本の姿を知っておく必要があるのではないでしょうか。
これについて2010 ( 平成22 ) 年 2月の「大和総研リサーチ」が、分かりやすく解説していましたので一部を紹介します。
・日本のGDPが世界第2位になったのは、太平洋戦争後、奇跡的な戦後復興を遂げ、高度成長を実現し、欧州の先進国を抜き去った1960年代末のことである。
・以来、約40年にわたって、米国に次ぐ第2位という言葉が、漠然と日本の経済力や日本人の豊かさを象徴する表現として使われてきた。
・海外のメディアも「世界第2位の経済大国、日本は・・・」という表現をよく使ってきたから、日本の世界経済の中での立ち位置をこれほど簡潔かつ便利に表わしてくれる表現はなかったのだろう。
私たちの親世代の日本人が、焦土となった敗戦後の国で懸命に働いた結果、日本が世界第2位の経済大国になっていました。言葉として知り、豊かな日常生活を味わいながらも、私たちの多くは「世界の中の日本」を特に意識せず暮らしてきました。国連がアジアの小国日本を強く意識していることも、知りませんでした。しかし国連が日本を重要視していた理由は、「国連予算の費用分担金と分担率」を知れば理解できます。
過去と現在の日本の「国連費用分担率」を、外務省の資料から紹介します。
2010 ( 平成22 ) 年から2012 ( 平成24 ) 年 2022 ( 令和4 ) 年現在
1 位 アメリカ 22 % 1 位 アメリカ 22 %
2 位 日 本 12.5 2 位 中 国 15.2
3 位 ドイツ 8.0 3 位 日 本 8.0
4 位 英 国 6.6 4 位 ドイツ 6.1
5 位 フランス 6.1 5 位 英 国 4.4
国連加盟国が 173ヶ国ある中で、日本は上位5ヶ国中の2番目の負担をしていました。アメリカの22%はダントツですが、日本はドイツ、英国、フランスを超える負担をしていたことが分かります。アメリカや他の国は、決められた負担金を滞納したり、未払いのままにしたりしましたが、日本はき真面目に支払っていました。
今は中国が日本の位置にいますが、国連が日本を重要視していたのは、国連予算の負担金を大きく受け持っていた時期と重なります。
・日本が国連予算の負担金を大きく受け持っていたのに、「国連人権委員会」はなぜ日本に厳しい要求や勧告をしたのか ?
おかしいではないかと、こうなります。スペースがなくなりましたので、なぜこうなったかの理由は次回に説明いたします。