
実は、あまり期待しないで読み始めた。
大阪ローカルの話だし、成功事例といっても「デパ地下」の話で終始するのではないか、と。
ところが!
確かに「デパ地下」の話もあるが、それはあくまでも第1章のことで、次々と凄い話が登場してくる。
元々、阪急、大丸、近鉄など錚々たる百貨店が揃う関西。
「弱小集団からどこにも負けない店になるには食品しかない」とデパ地下の改造に取り組む。
そのアイデアは”祭り”を演出し、「気取った非日常」を消し去る、こと。
・全国から実際にうまいものを発掘しては口説き、出店してもらう
・マグロの解体ショー
・”いか焼き”を阪神百貨店名物化
・大福500個を売り場に積み上げる
etc… 数々のアイデアでデパ地下をテーマパーク化し「デパ地下の阪神」と言われるようになる。
で凄みがあるのがこのあと。
・裏切られたのを機に、最大手レナウンを締め出す作戦(!)
・新しく加えた百貨店ブランドの衣服を売るのに、阪神タイガース選手・監督をうまく活用
・男性下着 ≒ パンツ、の革命。
商品だけでなく、売り方にも「三枝」ならではのアイデアが!
・時代に遅れだした○○分野をどううまく取り除くか
さらに化粧品分野では、
・日本一の売り場に変貌させた三枝にその手法を聞いた資生堂、唸る
・ハンカチ売り場の常識、を覆す ー 既成概念に囚われていては、何も新しいことは生まれない
そして経営に関わってからは、
・年末年始挨拶とりやめ、中元歳暮(百貨店の心臓!?)の廃止
・百貨店の名物「エレベーターガール」の廃止
・銀行と対等にモノを言うには ー ハナっからこれは無理と決めつけず、何でも試してみること
銀行追い出し作戦!
・「質流れバザール」が当たった本当の理由は、北新地のホステスたちに関連した現象だった
・もったいなくて捨てられないショッピングバッグ、を開発
彼の人生訓が企画する者にとりとても重要だと思うので以下、引用。
「他人におもねることや、上司にゴマをすってその場を取り繕うような姑息な生き方は決してしてはならない」
結論:「弱い」阪神百貨店を「強く」したのは、企画アイデア。 今年のベストに入れます!