
日常的に使われている、QRコード。
利便性において他の基準を圧倒し世界、特に中国のスマホ電子決済には欠かせないテクノロジー。
このイノベーションが日本発だということはなんとなくは知られている。
その背景を克明に掘り起こす一冊!
その原点は何と、トヨタの生産現場での「かんばん」
この電子化をめざし、子会社の デンソー で研究・開発がスタートしたのは1971年。
今から50年近く前!
「かんばん」はもともと現場の叩き上げ主義から成るトヨタの根幹。
現場からの反発や技術的障壁に鍛えられたのち(汗) 「バーコード付きかんばん」= NDコード として完成。
「かんばん」方式に組み込まれる。
そしてその直後、現場から時間・場合を選ばずクレーム処理に追われることになる。
そこで急遽、「バーコード付きかんばん」方式を管理する会社SSK を設立。
と修理屋としてスタートした会社ではあったが、これを外部に販売する方向に動く!
確かにそのニーズはあった。
それはセブンイレブンのPOSレジ。
レーザー入力かペン式しかなかった中、コスト的にもスピード的にも優位に立っていた。
こうして、バーコードが工場から社会に出る瞬間になったのだ!
開発開始から21年後の1992年、NDコードの機能は限界に達する。
そこでNDコードを超える「2次元コード」の開発を4名の小ユニットで開始した。
当時世の中にあった情報格納の3方式はそれぞれ長短があり、その欠点を一挙に克服するプロジェクトだ。
この突破口を開いたのが「切り出しシンボル」の開発。
読み取りやすさを追求した結果、この答えにたどり着いた。
そう、QRコード をじっくり眺めるとわかる、あの3つの正方形が「切り出しシンボル」
こうして Quick Response コード が誕生したのだ!
そしてNDコードと同様に、「工場」だけでなく「社会」を目指す。
国際基準として採用してもらうべく、国際自動車認識工業会他への根回し活動とともに。
前回同様、やはり現場にそのニーズはあった。
どれも興味深い事例ばかり。
さっというと、
・QRコード を携帯で読む (→ その後、スマホへ)
・QRコード を使い、飛行機のチェックイン他を飛躍的にスピードアップする
・QRコード を使い、都営浅草線のホームドア設置を低コストで実現
そして、
・QRコード を使い「決済」を瞬間的に実現(中国)
インフラを革命する重要なキー技術として、QRコード が活躍している!
最後に、著者あとがきで印象的だったフレーズを。
これといった特徴のない企業や業界の現場から、QRコードを鍵技術とする革新的変化
が起こり、先進的な業界や企業がそれに追随いするという展開は、少なくとも本書で
見てきた事例では見当たらなかった。
革新的技術や事業モデルの着想を得るのは、世界の動きを先取りする業界や企業の現場
が起点となるという視点は、わたしたちが考える以上に重要な視点かもしれない。